ANDPADの利用状況をデジタルにスコアリングし、ANDPADを最も使っているユーザーを称賛するANDPAD AWARDのユーザー部門。本記事では、「ベスト図面ユーザー賞」3位を受賞した富屋工業株式会社の富澤国俊さんにお話を伺った。
「工業を通じて社会に貢献し、社会に富をもたらす屋号(組織)とする」を会社方針に、電気工事及び自動制御システムの設計・施工・管理を行なう富屋工業株式会社。1948年の設立以来、代々に渡って磨かれた高い技術力、新しい知見を取り入れた提案力には定評があり、電気工事のなかでも難しい案件や難航している現場を任せられる存在として知られている。
高い技術力を誇る同社において、日々の業務なかに「ANDPAD図面」をどのように組み込んでいるのか。前編では、受賞ユーザーである富澤さんのこれまでに迫るとともに、IT投資に積極的な同社がなぜANDPADを選んだのか、その理由を聞いた。
INEDX
積極的なIT投資の末、セルフコンペでANDPADを採用
──このたびはANDPAD AWARD 2023 ユーザー部門「ベスト図面ユーザー賞」3位の受賞おめでとうございます! 受賞に際して富澤さまの率直なお気持ちをお聞かせください。
富澤さん: ありがとうございます。他の会社はどのようにANDPADを使っているのか御社のサイトを見て参考にしていたので、ANDPAD AWARDのことは前から知っていました。弊社よりもANDPAD図面を使いこなしている会社が多いと思っていたので、受賞は意外でしたがとてもうれしいです。
──こちらこそ日々の業務にANDPAD図面を活用していただいて大変うれしく思います。本日は富屋工業様の本社にお邪魔してインタビューをさせていただいていますが、事務所内にもたくさんの電気装置や複雑な制御機器が置かれているのを見て、改めてその専門性の高さを感じています。まずは、貴社の事業について教えていただけますでしょうか。
富澤さん: 弊社は、主に大手電機メーカーが展開する、オフィスビルや大規模工場の照明における自動制御システムの設計・施工・管理を行っています。創業当初は水道衛生工事を請け負う会社でしたが、時代とともにエアコンなどの空調制御システムの設計施工に軸足を置くようになりました。その流れで「空調制御システムのノウハウを生かして、床暖房もやりませんか?」と大手電機メーカーさんから声をかけられたことをきっかけに今に至る取引が始まりました。
現在は、大手電機メーカーの製品をメインに、現場全体のオペレーション体制を見ながら自動制御を管理する“パートナー兼技術屋”として計画立案から設置管理を行っています。首都圏を中心に遠方は北海道から九州まで、オフィスビルや工場、学校といった大規模な物件を手掛けることが多いですね。売上比率としては、大手電機メーカー様とその関連グループ会社、代理店様からで7割、電気工事店様や工務店様からの発注が3割になります。
──電気配線をつないでいく電気工事屋さんというよりも、制御システム全体を管轄するコンサルティングとしての役割が色濃いのですね。
富澤さん: そうですね。先代である父の頃から、自動制御システムの設計・施工・管理がメインで、配線や取り付け工事などはほとんど行なっていません。まれにルーターなどの取り付けを行なう場合もありますが、工事単価をやや高めに設定していることもあり、一般的な電気工事会社とは少し工事の種類が異なると思っていただいてもいいのかもしれません。
──富屋工業様の技術力やその付加価値について詳しくお聞きする前に、まずは富澤さんの経歴について教えていただけますでしょうか。
富澤さん: 新卒で株式会社NHK総合ビジネス(現:株式会社NHKビジネスクリエイト)に入社し、専任の主任技術者として2年間従事しました。チャレンジ精神とガッツは誰にも負けなかったと思います。
とても良い会社で恵まれた環境だったのですが、「人が足りなくて困っているから手伝ってほしい」と父から声がかかったことがきっかけで富屋工業に入社しました。高校生の頃からアルバイトで家の仕事を手伝っていたこともあり、仕事内容についてはある程度知っていましたし、家業を継ぐというより、父と仕事をしてみたいという気持ちが大きかったですね。
その後、32歳のとき父が他界する前年に代表に就任し、2024年で14年目を迎えました。創業者である祖父、父の兄、父、そして私で4代目になります。
──代表に就任され、経営者として意識が変わったことはありますか?
富澤さん: これは前職での話ですが、急に上司が倒れてしまい仕事の決定権が突然私に委ねられたことがありました。いろいろなことを判断して決めていかなければならないのに、周りの人たちの行動を促すのがなかなか難しくて……、「こうしなきゃいけない」「ここまで決めないと」とはっきり言わないと相手には伝わらないと痛感したのです。そのときの経験が、経営者になった今、お客様や職人さんに対してもはっきり物事を伝えなければならないという意識につながっています。
富澤さん: もう一つ変わったのは、積極的にIT・設備投資に力を入れるようになったことです。大型モニターやタブレット、ホワイドボードなどの導入に対して出費やコストだと考える方もいると思いますが、私は社員の生産性を高めるため、会社のレベルを上げるための“資産への投資”として考えています。設備以外にもソフトウェアのライセンス運用についてもきちんと見直したり、業務に必要な数のCADソフトを導入したりといったソフト面についても改善していきました。
代表に就任して以来、会社の経営方向性や仕組みをどうやって整えていくか、変えるべきことは何かといろいろ試行錯誤をしてきました。
──チャレンジと失敗を繰り返しながら富澤さんのモノを見る目は確実に培われてきたのですね。ITに関しての審美眼のある方がANDPAD図面を選び採用していただいているのはとても光栄です。
ANDPAD図面を選ぶ理由は「巨大現場での使い勝手の良さ」
──富屋工業様は2021年からANDPAD図面をお使いいただいています。導入のきっかけについて教えてください。
富澤さん: いろいろと業務について見直しをするなかで、とりあえず日々のやり取りにおける“紙”をなくしていきたいなと電気工事や建設業向けのSaaSをいくつか契約することしました。実際に併用しながら比較検討したうえでいいものだけ残そうと思っていたのですが、そのなかでANDPAD図面の使い勝手が一番でした。他製品と比べて頭一つ抜けていて「なんで、みんなANDPAD使わないの?」って同業のみんなに聞いているくらいです(笑)。
──うれしいお言葉をありがとうございます。当時感じられた、ANDPAD図面と他製品との違いはどのようなものだったのでしょうか?
富澤さん: 大きくは二つあります。一つ目は、図面の拡大表示の性能の違いです。同じPDFを入れてもANDPADの方が文字を読みやすかったこと。細かい字を確認しやすいというのは重要なポイントでした。
二つ目は、シート機能の使い勝手の良さですね。シートごとにレイヤーが分けられていて表示・非表示ができる機能が非常に優れています。誰かが書き込んでいる最中でも、レイヤーを分ければ私も書き込むことができますし、任意のシート名に変更できるのも便利です。他製品でもレイヤー分けする機能はありましたが、誰がどのシートに書いたのかを区別する方法が「色分け」しかなく、わかりづらかった。その点ANDPAD図面は、各シートを個人名に変更できるのがいいですね。必要な書き込みを見やすく管理することができるのは、断然ANDPAD図面です。
──貴社のどのような業務において使い勝手が良いと感じていただけたのでしょうか。
富澤さん: 現場ではタブレットを持ってANDPAD図面を見ながら作業しています。弊社で扱っている案件は巨大な現場が多く、一辺が200mや300mのものが多くなりました。A1サイズの紙を広げて一生懸命見る、というのは絶対に無理で、図面を詳細まで拡大できるタブレットは現場に欠かせません。さらに、大きな現場では一つの案件のなかでも工区によって社内の担当も分かれているので、同じ図面をユーザーごとにレイヤー分けして作業シートが使える機能はとても便利です。一つの図面を複数人で使うこともできるし、一元管理もできる。現場のユーザーのことをよくわかっていると思います。
これまでの経験から磨き込まれた富澤さんの高いプロフェッショナル性こそが、同社の圧倒的な強みになっていることがうかがえた。また、積極的なIT投資と社内コンペの末ANDPADを選んでいただいたことがわかった。
後編では、実際に巨大現場において同社がANDPAD図面をどのように活用しているのか、具体を深堀りする。
URL | https://www.tomiyakogyo.co.jp/ |
---|---|
代表者 | 代表取締役 富澤国俊 |
創業 | 1930年 |
本社 | 東京都品川区東大井4丁目12番17号 |