ANDPADの利用状況をデジタルにスコアリングし、優れた活用を見せたユーザーを表彰する「ANDPAD AWARD」。今回は、日々ANDPADの報告機能を活用し、現場の可視化と信頼構築を実現している「ベスト報告ユーザー賞」で全国第2位を受賞した、株式会社アイエスイナモトの石井晶子さんに話を伺った。

前編では、産業廃棄物収集・運搬という社会インフラを支える仕事の実態と、同社が追求する付加価値、ホスピタリティあふれる経営について紹介した。
後編では、同社が実践するANDPAD活用の具体像に迫る。「やった・やっていない」といった認識の齟齬を防ぐ報告の工夫や、現場判断を支える情報共有の仕組み、そして産廃業者にとってのDXの本質を、実務の視点から詳しく見ていく。
「証拠」と「共有」が現場を変える。日々の報告が生む信頼の連鎖
──貴社では、建築系の廃棄物回収において、元請企業である建設会社から招待を受けてANDPADをご利用いただいています。報告機能については現在、どのように活用されているのでしょうか。
石井さん: 現場で廃棄物を回収したことを元請企業様に正確に伝えるために、報告機能を活用しています。基本的には、現場に到着した時と、廃棄物をトラックに積み込んだ後の2回、写真を撮って報告するという流れです。回収前の状態と、回収後にきれいになった状態をセットで残すことで、「確かにこのタイミングで回収しました」という証拠になります。
──報告の主目的は「証拠の担保」ということですね。
石井さん: そうですね。実は廃棄物が出るタイミングと、こちらの回収時間のズレによって、職人さんから「今日はまだ回収されていない」といった、認識の齟齬が生まれてしまうケースがあるんです。そうしたときに、写真付きの報告がされていれば、「この時間に回収に行ったが、そのときには廃棄物がなかった」と説明ができます。この“証拠として残る”という点は、本当に大きな価値だと感じています。
また、電子マニフェストではどうしても伝えきれない現場の状況、例えば廃棄物の量感や現場の整理状況といった情報も、写真で直感的に共有できる点もメリットですね。

──社内での情報共有においても、ANDPADは役立っているのでしょうか。
石井さん: はい。ANDPADの報告によって「この現場にはこれだけ廃棄物があった」という情報を社内で共有できるため、「まだ回収に行かなくても大丈夫」「そろそろ回収した方がいい」といった判断がしやすくなりました。
事務所でANDPADを開きながら「今日は誰がどの現場に行くか」を決めることもあります。ルート自体は専務が組みますが、「この現場はこの前回収したばかりだから、次は3日後でいいよね」といった判断を、現場の情報をもとに柔軟に行っています。

株式会社アイエスイナモト 代表取締役 石井晶子さん
──現場判断の質が変わっているのですね。
石井さん: さらに、ANDPADを見ればどの現場にどの監督がついているかも分かるので、「この監督なら電話した方が早い」「そろそろ連絡してみよう」と、コミュニケーションの取り方も変わってきました。「監督からまだ連絡がないけど、来週は車両の空きがないから先に回収しておこう」といった判断も、従業員の側から自然に出てくるようになっています。
──社員の方々がかなり主体的な動きをされているのですね。
石井さん: 工程表や現場の進捗を見ながら、各自が先読みして行動できるようになりました。もともと持っていたホスピタリティの意識が、ANDPADによってさらに引き出されている感覚があります。

──経営面への効果も何か感じられていますでしょうか。
石井さん: 現在はドライバー不足やガソリン価格の高騰もあって、「いかに無駄なく動くか」が本当に重要になっています。その中で、現場の状況をリアルタイムで共有できることで、最適な配車や人員配置がしやすくなりました。
「行かなくてもいい現場には行かない」「必要なタイミングで確実に行く」という判断ができるので、全体の効率も上がっています。単なる報告ツールではなく、現場の動きを最適化する基盤として機能していると感じています。
“受け身のDX”から転換。ANDPADが現場の共通言語に
──会社として高い水準でANDPADを活用いただいているかと思います。元請企業がANDPADの導入を決めてから、どのように貴社内で浸透していったのでしょうか。
石井さん: 従業員もITに詳しいわけではないので、最初は戸惑いがありましたね。ただ、導入時に説明会があったのですが、その雰囲気が印象的でした。
最初は「難しそうだね」「よく分からないね」と事務員と話しながら参加していたのですが、周りの職人さんたちが隣の人の写真や食べ物の写真を登録したりして、楽しみながら操作を覚えていったんです。業務ツールではありますが、最初の入口が少しくだけた空気感だったことでハードルが下がりました。

──難しく構えず、楽しんでANDPADに触れられたことがハードルを下げたんですね。
石井さん: 導入してから、「現場に行く前には必ずANDPADを確認しよう」といった基本的なルールは設けましたが、細かく縛ることはしていません。それでも自然と浸透していったのは、「みんなで仕事をやりやすくしよう」という意識がもともとあったからだと思います。
日記のような感覚で、とにかく写真を撮って上げる。それを続けていくうちに、「あの現場、そろそろ回収しないとまずいね」といった会話が自然と生まれていきました。「今日はいっぱい回収したね」といったちょっとした会話も含めて、現場の状況をみんなで共有できるようになった感覚がありました。
──コミュニケーションの質が変わっていったのですね。
石井さん: 以前は電話やLINEで個別にやり取りすることが多かったのですが、今はANDPADを見れば現場の状況が分かるので、無駄な確認が減りました。ANDPADに登録された地図で現場の住所や行き方も確認できるので、新しく担当する人でも迷わず行けますし、分からないことがあれば写真をもとに専務に相談することもできます。
──そのほかに、現場の動きが変化したと感じることがあれば教えてください。
石井さん: 同じ現場を複数の従業員で日ごとに担当することもあるのですが、ANDPADに情報が蓄積されているので、誰が入っても状況を把握できます。「この現場は今こういう状態なんだな」という共通認識があることで、引き継ぎもスムーズになりました。また、従業員の側から「そろそろ取りに行かないとまずいのでは」といった相談が上がるようになり、コミュニケーションもより主体的なものに変わってきています。
──ANDPADを使いはじめてから、業務効率にも変化はありましたか?
石井さん: 大きく変わりました。電話での確認が減り、現場とのやり取りにかかる時間も短縮されています。その分、回収や運搬そのものに集中できるようになりましたし、確認の手間が減ったことで、結果的に元請企業様側にもメリットが出ていると思います。今では社内外のコミュニケーションを支える基盤になっています。

──日々ANDPADを活用いただくなかで、課題に感じている点はありますか。
石井さん: 現場によっては、かなりの頻度で報告を行っています。例えば新築の現場だと、1カ月で25日ほど回収に入ることもあり、工期が約3カ月だとすると、1現場あたり80回近く訪問する計算になります。それだけの回数、報告を積み重ねているのですが、その中で従業員からよく上がるのが、「この報告が、元請企業様にきちんと見られているのか不安だ」という声です。
──既読機能はあるものの、ということですね。
石井さん: そうなんです。既読はつくのですが、「報告内容を確認していただけたのか」「ただ開いただけなのか」が分からない。何かリアクションをいただけると、現場としては安心できますし、やりがいにもつながるのかなと思います。
ANDPAD ONE編集部より
ANDPADチャットでは、メッセージにOKボタンを付けて送信することで、相手がメッセージを確認したかどうかを把握することができます。
使いこなすことで価値が最大化する。主体性が引き出す産廃業界のDXの本質
──改めて伺いますが、ANDPADを使い始めたことによって、業務の進め方はどのように変わりましたか。
石井さん: 以前は、元請企業様への報告は電子マニフェストが中心でした。どのルートを回り、どの現場でどれだけ回収したかを事務員がまとめて報告していて、リアルタイムでのやり取りはほとんど電話に頼っていました。ただ、私たちの仕事はルートが決まっているため、急に電話で「今日、回収に来てほしい」と言われても対応できないことが多いのです。その点は、どうしても非効率さを感じていました。
──そこにANDPADが入ったことで変化があったのですね。
石井さん: はい、スマートフォンひとつで、現場の状況を写真付きでリアルタイムに共有できるようになったのは大きかったです。元請企業様からの指示を待つだけでなく、こちら側で状況を把握し、「そろそろ回収した方がいいですよね」と先回りして動けるようになりました。結果として、現場全体の流れもスムーズになっています。
──現場の主体性が活きているのですね。
石井さん: そうですね。トップダウンで徹底したというよりも、ANDPADを使っていく中で「これは便利だ」「こうした方がいい」と各自が考え、自然と運用が磨かれていきました。
専務もANDPADを見るようになってから、建築の現場に対する関心がさらに高まったようです。「クロス屋さんが入ったな」とか「そろそろ現場が終わりそうだね」といった工程の流れを、楽しみながら見ているんですよ。
──ツールが現場理解を深めているのですね。
石井さん: そう思います。単なる報告ツールではなく、現場のプロセスを共有し、理解を深めるためのツールとしても機能しています。
──最後に、同業の方へのメッセージをお願いします。
石井さん: やはり「まずは使ってみてほしい」ということに尽きると思います。私たちも最初は分からないことだらけで、戸惑いもありました。でも、使っていくうちに「こんなに便利なものはない」と感じるようになりました。
最初はつまずくこともあると思いますが、それを乗り越えれば、業務の見え方が大きく変わります。DXは難しいものではなく、現場をより良くするための手段です。その第一歩として、こうしたツールは非常に入りやすいものだと思います。

(左から)アンドパッド正木、アイエスイナモト 石井さん、アンドパッド小鹿

産業廃棄物収集・運搬業者は、建築や医療といった社会の基盤を支える「静脈」として機能している。廃棄物の適切な処理があってこそ、現場は安全に回り続けるのだ。その意味で、アイエスイナモトのような存在は、社会にとって不可欠なインフラと言えるだろう。
ANDPADの導入は、単なる業務効率化にとどまらず、同社がもともと持っていたホスピタリティや主体性をさらに引き出す契機となった。現場の状況を共有し、先回りして動く。その積み重ねが、結果として元請企業側の負担軽減や現場全体の最適化にもつながっていると感じた。
そして、その根底にあるのは、常に顧客にとっての最適を考え続ける姿勢である。目の前の業務にとどまらず、付加価値をどう生み出すかを試行錯誤する。誠実な、その積み重ねこそが、アイエスイナモトの「よい仕事」を支えているのだろう。

ANDPADの報告機能を駆使して社内の動きを最適化し、さらには元請け様や現場へと貢献の輪を広げていく姿に、深く感銘を受けました。
何より、これほど高い基準の取り組みを「当たり前」と言い切る姿勢に圧倒されます。
石井様お一人の力に留まらず、貴社全体に高い視座とプロ意識が根付いていることを証明する、素晴らしいエピソードだと感じております。
アイエスイナモトさんの存在は、現場の皆様にとっても大きな原動力となっているはずです。
これからもその高い志で、社内、そして業界全体を牽引していかれることを心より応援しております!

| URL | https://www.is-inamoto.com/ |
|---|---|
| 代表者 | 代表取締役 石井晶子 |
| 創業 | 2013年 |
| 本社 | 千葉県柏市鷲野谷890-10 2F |














