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ごえん|ANDPADを「外部メモリ」にして高品質の仕事を実現

職人15人を束ねる「外装のスペシャリスト」

目次

  1. 建材営業から「外装のスペシャリスト」へ。ごえんの強みと独立の経緯
  2. 職人とのプロフェッショナルとしての関係性
  3. システム連携で回す少数精鋭のバックオフィス
  4. 頭の中を空にする「外部メモリ」としてのANDPAD
  5. 受発注のオンライン化と横断工程表で実現する、効率的な現場回し
  6. 前職からのANDPAD活用と、ともに成長する未来へ

ANDPADの利用状況をデジタルにスコアリングし、優れた活用を見せたユーザーを表彰する「ANDPAD AWARD」。今回は、「ANDPAD AWARD 2026 ユーザー部門 総合賞」で全国第2位を受賞した、株式会社ごえん 石井力平さんに話を伺った。

長野県千曲市に拠点を置く株式会社ごえんは、屋根・外壁・足場・防水など、建物の外装を一気通貫で請け負う。

代表の石井力平さんは、建材商社および建材施工会社でのBtoB営業を経て独立。少数精鋭の体制でありながら、常時15名ほどの職人とパートナーシップを結び、高品質な施工と質の高い顧客体験を提供している。

職人を「対等なプロフェッショナル」としてリスペクトする組織づくり、そして少人数で膨大な現場と事務業務を滞りなく回す経営スタイルの裏には、どのような思想と仕組みがあるのか。同社の強みや独立の経緯、独自の組織論とバックオフィス体制について迫る。

 

建材営業から「外装のスペシャリスト」へ。ごえんの強みと独立の経緯

──ANDPAD AWARD 2026 ユーザー部門「総合賞」全国2位のご受賞、おめでとうございます!まずは株式会社ごえん様の事業内容と、石井さんのご経歴について教えてください。

石井さん: ありがとうございます。当社は長野県千曲市を拠点に、戸建て住宅を中心とした屋根・外壁・雨どい・足場・ベランダ防水・太陽光・蓄電池など、建物の外周部全般の工事を手掛けています。売上の約8割がリフォーム関連工事で、残り2割ほどが新築関連です。

株式会社ごえん 代表取締役 石井力平さん

石井さん: 私自身の経歴としては、大学卒業後に建材会社で6年間、主に合板の仕入れ販売やパワービルダー向けの建材営業を担当しました。その後、地元の工事会社へ転職し、6年間BtoBの営業として既存顧客のフォローや新規開拓に携わりました。そこで12年間の経験を積んだ後、3年前に独立して株式会社ごえんを設立しました。

──商社と施工会社の両方で経験を積まれたのですね。リフォーム外装領域で独立されたきっかけや、貴社ならではの強みはどこにあるのでしょうか。

石井さん: 商社や施工会社でBtoB営業をしていく中で、リフォーム営業を担当されている方々の「困りごと」が見えてきたのがきっかけです。

新築工事であれば、現場ごとの仕様や入る業種・職人さんの組み合わせがある程度パターン化されています。しかし、リフォーム現場は物件ごとに状態も対象も全く異なります。水回りなどの内装が得意なリフォーム営業担当の方が、お施主様から「ついでに屋根や外壁も見てほしい」と言われた場合、屋根専門会社、塗装専門会社、防水専門会社、仮設・足場専門会社……と、何社も専門会社さんを呼んで現地調査や工程調整を行わなければならず、大変な手間がかかります。

そこに大きな需要があると感じました。「外装のことなら、屋根も塗装も壁も防水も、全部石井に任せれば一括で対応してくれる」という存在になれれば、リフォーム営業の方にとって大きな価値になります。

──外装の複数工種をワンストップで提案・管理できる点が、元請企業様から深く信頼されている理由の1つなのですね。

石井さん: そうですね。ありがたいことにリフォームの営業担当の方は、「外は石井さんに任せよう」と言って頼ってくださいます。通常なら5工種の会社を集めて5社と日程調整しなければならないところを、当社が1窓口で引き受けることで、元請企業の担当者様は本来集中すべき営業や顧客対応にリソースを割くことができます。自分の領域を超えて柔軟に外装全般をコンサルティング・施工管理できる体制を磨いてきたからこそ、独立して3年目でも事業を拡大できているのだと感じています。

──お取引先との関係で意識されているリスク管理などはありますか。

石井さん: 特定の元請企業様に依存しすぎないポートフォリオを組むことです。一番お付き合いの大きいお取引先様でも、自社全体の売上の12〜13%程度に収まるように調整しています。毎年新しく5社ほどお取引先が増えており、年間で約40社様とお付き合いさせていただいています。どこか1社に傾斜しすぎないことで、経営の健全性と対等なパートナーシップを保てるようにしています。

 

職人とのプロフェッショナルとしての関係性

──貴社では常時15名ほどの職人さんと一緒にお仕事をされているとお聞きしました。職人さんと業務委託のパートナーシップを結ばれている理由について教えてください。

石井さん: 職人さんが自社の社員であれば依頼通りに動いてくれやすい反面、固定給という仕組みが、職人さん本来の「腕を磨いて稼ぐ」というモチベーションを薄めさせてしまう側面もあるのではないかと感じたのです。

私は、職人さんとは指示・被指示の関係ではなく、「対等なプロフェッショナル」としてお互いをリスペクトし合える関係でありたいと考えています。

──「対等なプロフェッショナル」として付き合うために、具体的にどのような還元や働き方を意識されていますか。

石井さん: 地域の平均収入をしっかりと上回る報酬を得ていただくことです。職人さんには「しっかり稼いでほしい」と日頃から伝えています。

そのためには、発注金額を適正に出すことはもちろん、現場の効率を上げてスピード感を持って工事を進めてもらうことが大切です。例えば「10日間かかる予定の工事を、技術と工夫で8.5日で完了できれば、その分次の現場に入ってさらに稼ぐことができるし、自社も工事を多く回転させられる」という考え方です。

しっかり利益還元をするからこそ、自立したプロとして高品質な施工を追求してもらえる。指示待ちにならず、自ら現場を納めてくれる職人さんたちのおかげで、少数精鋭でも質の高い工事が提供できています。

──日々の施工調整やコミュニケーションで工夫されていることはありますか。

石井さん: 毎夕、ANDPADの「横断工程表」を確認し、翌日入る職人さんへ到着時間や作業のポイントをチャットで事前に連絡するようにしています。

職人さんも自身のスケジュールや数週間先までの動きが見えていれば、自律して準備を進められます。過剰な管理や手戻りが発生する指示出しをなくし、気持ちよく現場に集中してもらえる環境を整えることが、番頭であり経営者である私の役割だと思っています。

 

システム連携で回す少数精鋭のバックオフィス

──年間でこれだけ多くの現場・案件を動かされている事業規模を、実質的にお二人体制で回されていると伺い驚きました。バックオフィスの仕組みはどのようになっているのでしょうか。

石井さん: 実質的には2名体制でバックオフィスを回しています。私が経営・営業・現場管理・番頭全般を担当し、社員が経理帳票の作成、請求書発行、入金確認、職人さんやお取引先様への振込決済業務などを担当してくれています。

業務フローについては見積もりや実行予算の作成にはスプレッドシートを活用、発注はANDPAD受発注を活用しています。工夫しているのは、その後の経理処理です。スプレッドシートで作ったデータをクラウド会計ソフトに手入力するのは手間がかかるので、ANDPAD受発注を使ってデータを構築し、そこからクラウド会計ソフトのマネーフォワードへと自動で繋ぎこみを行っています。このおかげで入力負担が減りました。また、月締めの段階で支払総額がすぐに算出できるため、案件ごと・取引先ごとの粗利が即座に可視化される仕組みになっています。

──形式化とクラウド連携を進めることで、少人数でもミスなく迅速に業務が回っているのですね。

石井さん: はい。手元の効率化を最低限かつ確実に仕組み化しておくことで、事務作業に圧迫されることがありません。社員のサポートがあるからこそ、私は安心して現場の開拓や案件管理に集中できています。

──今後の事業拡大や組織のスケールについて、どのように考えていらっしゃいますか。

石井さん: 商社時代に「売上至上主義」で「毎年10%増を目指す」といった目標を追いかける世界を経験しましたが、ただ人員や売上規模を増やすことだけが正解だとは思っていません。信頼できるパートナー企業や職人さんへ業務を委託・連携していく形の方が、自由度が高くリスクも少ない経営ができると感じています。

何より、売上という数値の拡大ばかりに囚われず、家族との時間や自分自身が主導権を持てる生き方を大切にしたいという経営哲学を持っています。壁にぶつかった時には、人を増やすのではなく「システムや委託業務で解決できないか」をまず考える。独立して「自分の人生を自分で決められる自由」を得られたことが、今の事業をやっていて一番楽しい部分ですね。

 

頭の中を空にする「外部メモリ」としてのANDPAD

──ANDPAD AWARD 2026において、石井さんはログイン日数が全国的にみても高く、ANDPADを日常的にご活用いただいています。ANDPADは石井さんにとってどのような存在なのでしょうか。

石井さん: ログイン日数に関しては、不甲斐ないですね。365日毎日ログインしていたつもりだったのですが(笑)。ANDPADを開くことは、私にとって完全に毎日の日課です。

私にとってANDPADは、ただの管理ツールや連絡アプリではありません。自分自身の思考能力や処理能力を拡張してくれる「外部メモリ」なんです。

──「外部メモリ」とは、非常に興味深い表現です。具体的にどのように活用されているのでしょうか。

石井さん: 人間の脳のメモリには限界がありますよね。何件も現場を抱えながら、「〇〇様邸の足場の組み方はどうする」「〇〇様邸の補修箇所の確認は」と全部頭の中に溜め込んでいると、あっという間に脳のメモリがいっぱいになってしまいます。

だから私は、元請企業様から現地調査の依頼が来たら、その瞬間にANDPAD上で案件を作成します。現場調査に行ったらスマートフォンで何枚も写真を撮影し、そのままANDPADチャットや案件フォルダへアップロードします。

その際、気になった箇所や注意事項、足場の掛け方、希望する仕上がりなどを、ANDPADの「写真書き込み機能」を使って写真の上に直接文字や矢印で入力しておきます。写真へのメモ入力が終わったら、そのタスクを「自分の頭の中から一旦消す」ようにしています。

現地調査の際には写真を撮影したらすぐにANDPADにアップすることを心がけているという石井さん。

ANDPAD ONE編集部より
ANDPAD施工管理写真書き込み機能についての詳細はこちら

──一度ANDPADという「箱」に情報を預けて、頭の中を空にするわけですね。

石井さん: その通りです。ANDPADに情報を保管しておけば、脳のメモリが解放されるので、別の提案や営業活動、家族との時間に100%の思考力を注ぐことができます。

そして、実際に現場に入る職人さんが決まったタイミングで、ANDPADからその案件の情報を取り出します。電話で職人さんと話しながらANDPADの画面を一緒に見てもらい、「ここ写真にメモ書いてあるけど、こういう納まりでよろしくね」と説明すれば、確実な依頼が完了します。職人さん側も画面を見ながら確認できるので、認識のズレがほとんど起きません。ANDPADなしで動く自分と、ANDPADを外部メモリとして活用して動く自分では、こなせる仕事の量も質も全く違うと思いますね。

 

受発注のオンライン化と横断工程表で実現する、効率的な現場回し

──現場管理だけでなく、受発注機能や工程表の活用についても具体的にお聞かせください。受発注機能を導入されたきっかけは何だったのでしょうか。

石井さん: もともとは、Excelで作成した発注書をPDFに変換し、個人のANDPADチャットでお送りしていました。しかし、Excelを開いて、PDFにして、チャットに貼り付けて「〇〇様邸発注書」と送る作業は、後から遡るのも大変ですし、手間がかかります。

そこで「ANDPAD受発注」を活用するようにしました。ANDPAD上でやり取りが完結しますし、発注書の入力内容について過去のデータを参照して作成できるため、自分の事務工数が減りました。電子帳簿保存法やインボイス制度などにもしっかり対応していますし、ステータス管理が一目で分かるので、発注漏れや請求漏れが起きなくなりました。

──工程表の運用についても独自の工夫があると伺いました。

石井さん: リフォーム現場は元請企業様の都合や前工程の進み具合によって、スケジュールが変動しやすい特徴があります。そのため、私は契約前の段階から横断工程表に案件情報を入れ込み、自分のタスク管理として閲覧しています。

ご自身のタスクの把握に横断工程表を活用しているという石井さん。

石井さん: 契約前の変動性が高い時期から横断工程表上でスケジュールを可視化しておき、日程が確実に固まった段階で、現場に入るすべての職人さんに「うちの工事はここからだよ」とチャットや電話で伝えます。工事が完了して清算が終わったら、ステータスを「清算完了」へと変更します。

長野県には「なから(だいたい)」という方言があります。現場で進捗を確認した際、職人さんから「なから(順調に進んでいるよ)」とお返事をいただくことがあります。職人さんの豊富な経験に基づいた心強い言葉なのですが、次の工程の手配や全体のスケジュールを具体的に固める上では、正確なタイミングを把握するのが難しい面もありました。だからこそ、ANDPADの横断工程表で現場全体の動きを可視化し、職人さんの感覚とこちらの具体的な工程をスムーズにすり合わせられる仕組みを作っています。

 

前職からのANDPAD活用と、ともに成長する未来へ

──石井さんは前職時代からANDPADの社内導入を牽引されていたそうですね。ツールに対する強い思い入れの背景について教えてください

石井さん: 前職で新しい管理ツールを検討していた際、数あるツールの中から「絶対にANDPADを入れるべきだ」と決めて社長や社員に説明し、導入を推進しました。

当時からANDPADに魅力を感じていたのは、アプリの機能が使いやすいからだけではありません。アンドパッドという会社が、現場で働く人々の声に耳を傾け、ユーザーがより使いやすいように常にサービスを進化させていこうとする姿勢を持っていたからです。建設業界の「現場のその場」に寄り添い続けてくれると確信しています。だからこそ、独立した際も「ANDPADは最初から絶対に入れる」と決めていました。

──実際にANDPADを使いこなして独立・事業成長を果たされた今、同じ建設業界で働く仲間や経営者の方々へ伝えたいメッセージはありますか。

石井さん: 「業務改善のアプリ」として表面的な機能だけを見るのではなく、「ツールを使うことで、自分の仕事の能力を別のどこに注げるようになるのか」という本質を理解してほしいですね。

事務作業や写真整理、連絡のラリーに追われていた時間をANDPADに任せることで、職人さんとの信頼関係づくりや、お施主様への提案、あるいは家族と過ごす大切な時間など、人間が本来注ぐべき場所に能力と時間を使えるようになります。

職人さんの働き方の改善や自社の価値向上に繋げていくためにも、根本からツールの価値を理解して使っていくことが大切だと思います。

私自身、ANDPADがあったからこそ恐れずに独立できましたし、素晴らしい職人さんやお取引先様とのご縁に恵まれて事業を伸ばすことができました。これからもお互いに尊敬し合い、良い仕事をして価値を高め合えるコミュニティや業界の未来を、皆様と共に作っていければと思っています。

 

アンドパッドの平賀から石井さんへ、ANDPAD AWARD 2026 授賞式の招待状をお渡しした時のひとコマ

同社は、地域の平均を上回る報酬還元と効率的な現場回しによって「対等なプロフェッショナル」としての信頼関係を構築する。そして、バックオフィス業務はクラウド連携と形式化によって超少人数で完結させている。

その中心にあるのが、ANDPADを石井さん自身の「外部メモリ」として使い倒す独自のデジタル活用術だ。現調写真を撮影し、その場でメモを編集入力してANDPADへ保存。脳内のタスクを一度完全に消去することで、個人の処理能力を極限まで高め、施工管理・営業・経営のすべてを高いクオリティで両立させている。

ツールに作業を委ねることで生まれた余白を、人との信頼構築や家族との時間という価値ある場所へ注ぎ込む。石井さんの挑戦と実践は、これからの建設業界における新しい組織と働き方の可能性を示している。

株式会社ごえん
  
代表者代表取締役 石井力平
設立2023年
本社長野県千曲市小島3129
企画・取材: 平賀豊麻
編集: 齋藤夏美
デザイン: 森山人美、岩佐謙太朗
お客様担当: 佐保勇樹
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