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ANDPADの利用状況をデジタルにスコアリングし、ANDPADを最も使っているユーザーに対して贈呈するANDPAD AWARDのユーザー賞。今回は、ANDPADのベーシックな機能を、西日本エリアで総合的に最も使いこなしたユーザーに対して贈呈する「総合賞 〜西日本〜」部門で全国2位を受賞した、有限会社トップ・サポート代表取締役の玉井未来さんにお話を伺った。
同社は、賃貸物件の退去立会いから原状回復工事、リノベーションまで、賃貸物件に特化した住宅メンテナンスサービスを総合的に提供している会社だ。対応エリアは、本社を置く愛媛県西条市を拠点に愛媛県東部・香川県全域をカバー。広範囲にわたる営業エリアにおいて、平均月100件の現場をANDPADを活用して管理している。現在では、ANDPADを導入する得意先が増えはじめ、社外ユーザーとして招待されてANDPADを利用する機会も増えてきたという。
今回は、同社で代表取締役を務める玉井さんにインタビューを実施。玉井さんは、「従業員が長く働ける会社」と「誰が抜けても業務が滞りなく進む会社」の両立を目指し、ANDPADを活用した業務効率化に取り組んでいる。玉井さんが従業員や協力会社とともに試行錯誤を繰り返して作り上げてきた業務フローをぜひ多くの人に知っていただきたい。
前編では、同社の事業の特徴や創業者から会社を受け継いだ時の玉井さんの想い、ANDPAD活用によって生まれた就業環境にフォーカスを当てて紹介していく。
退去立会いからリフォームまで住宅メンテナンスサービスを総合的に提供
──「ANDPAD AWARD2022 総合賞 西日本」2位受賞、おめでとうございます! 周囲の反応はいかがでしたか?
玉井さん: ありがとうございます。まず西日本で2位に選ばれたことに驚きました! 表彰もしていただいてとても嬉しいです。従業員や協力会社さんにも伝えたところ、「西日本2位はすごい!」「ANDPADは使いやすいから、いっぱい利用しているもんね」と盛り上がりました。こういった賞があることを今後はぜひ大々的にアピールしてほしいです。取引先に伝わるほど知名度が上がっていけば、「実はうちが受賞したんです!」と言えますから(笑)。
有限会社トップ・サポート代表取締役 玉井未来氏
──アピールがまだまだ足りていないですね、すみません! そしてご期待くださりありがとうございます。ANDPAD AWARDがもっと皆さんが誇れる賞になるよう育ててまいります! では、玉井さんがどのようにANDPADを活用しているかを伺う前に、まず貴社の事業内容をお聞かせいただければと思います。
玉井さん: 当社は賃貸アパートやマンションに特化した住宅メンテナンスサービスを提供している会社です。お客様は、賃貸物件を管理している不動産会社さんが中心です。私が入社した当時は、入居者の退去時に行うハウスクリーニングや原状回復工事をメインで手がけていましたが、お客様からのご要望を受けて、現在ではリフォームやリノベーションにも事業領域を拡大しています。
──貴社の事業の特徴や強みも教えてください。
玉井さん: 原状回復工事を請け負うだけではなく、退去立会いサービスも提供していることが当社の特徴です。賃貸物件の解約時には、自然に生活をしていてできた汚れ・傷なのか、故意や過失でできた汚れ・傷なのかを判断して、修繕費用やクリーニング費用を算出し、敷金の精算を行います。ただ、実際に工事をしていない不動産会社の方々にとって、この判断は難しいもの。そこで、原状回復工事のプロである私たちが現地へお伺いして、第三者の立場で公平に査定を行い、入居者様とオーナー様の費用負担割合をその場で算出します。私は社長ではありますが、営業担当の一人として退去立会いにも、現地調査にも行っています。
私たちが退去に関わる業務を代わって行うことで、不動産会社さんは空いた時間を入居者の募集活動やオーナー様対応にあてることができます。これも私たちがお客様に提供できる価値のひとつだと考えています。
──貴社の対応エリアは愛媛県西条市・四国中央市・新居浜市・今治市、香川県全域と広範囲にわたっています。毎月どのくらいの案件が動いているのでしょうか?
玉井さん: 月間100件程度の現場が同時進行で動いています。今は私を含めて3名の営業で対応していますが、無駄な移動時間が生まれないように、例えば今治エリアに行く日は近隣の現場をまとめて回れるように予定を組んでいます。
事業承継を決意し、サラリーマンから経営者へ転身
──玉井さんは現在代表を務められています。そこに至るまでの経緯について教えてください。
玉井さん: 当社に入社して以降、営業として働いてきましたが、7年ほど前に会社を引き継がせていただき、今は社長を務めています。
事業承継は、私が「会社を辞めて独立したい」と会長に伝えたことをきっかけに話が進んでいきました。独立を志した理由は、当社で自由にチャレンジする機会を与えていただいたことで少しずつ自分に自信がつき、「経営にも携わってみたい」と思うようになったからです。ちょうど30代に入ったころだったので、「失敗しても若いうちなら挽回できる。やるなら早い方がいい」と思って心を決めました。
新しい営業担当を1年かけて育て、引き継ぎをしてから退職する計画を立てて会長に相談をしたところ、「それなら当社を引き継いだらどうか」とありがたいお話をいただきました。一から会社を立ち上げるのはもちろん大変ですが、事業承継にはこれまでの地盤、顧客、従業員を背負う大変さがあります。とても悩みましたが、責任の重さもやりがいに感じられるはずだと思い、お話をお受けしました。
玉井さんは、創業者である会長が掲げた社訓、「叡智」も引き継いでいる。「小さい会社だからこそ、人と人のつながりを大切にしよう。全員の知恵を絞って仕事に取り組もう」との想いが「叡智」の一言に込められている。写真は、アンドパッド コミュニティマネージャーの平賀から玉井さんへ、賞状をお渡しした際の1コマ。
──社員から社長へ転身されたのですね。会社を引き継いだ後には、どんな苦労がありましたか?
玉井さん: 「サラリーマンと経営者では見ているものが全然違う」と痛感しました。営業時代、自分の売上や利益は把握して仕事に取り組んでいましたが、それ以外のお金の流れは全く見えていなかったと反省しました。
また、「人」の問題にも苦労しましたね。私が会社を引き継いだタイミングでパートを含めて従業員を増員したのですが、新人指導と経営の両方をバランス良く進めていくのがとても大変でした。従業員をまとめ、全員の士気を高めていく難しさも痛感した時期でしたが、この体験があったからこそ、今は全員で同じ方向を見て前に進むことができていると感じています。
──社長就任後のご自身の変化、経営者になって良かったと思う点も教えてください。
玉井さん: 社長に就任してからは、どうすれば相手に理解してもらえるかを考えた上で、自分の思いを伝えるようになりました。サラリーマン時代は、協力会社さんや社内のメンバーが求めるレベルに達していない仕事をしたとき、怒りをぶつけながら要望を伝えてしまうことが多く、よく会長に叱られていました。ただ社長になった後、感情に任せた伝え方をしていては「社長に怒られた」「社長に当たられた」といった負の印象だけが残り、伝えたいことが伝わらないと気づいたんです。ですから今は言いたいことがあってもまずはぐっと我慢して、その人に伝わりやすい言葉やタイミングをしっかりと考えてから話をするようになりました。
経営者になって良かったことは、やはり事業や会社を自由に動かせることですね。新しいものを取り入れたいときも、自分の裁量で決めることができますから。ANDPAD導入もそのひとつです。
協力会社間の連携を図り、業務効率を上げるためANDPADを導入
──貴社がANDPADを導入した背景にはどんな課題があったのでしょうか?
玉井さん: 協力会社間の連携を図り、無駄なロスや手間をなくしたいと思ったことが、ANDPADを導入した理由です。以前からカレンダーツールを使って現場の予定は共有していたのですが、協力会社さんからなかなか工事完了の報告が上がって来ず、次の工程に入る協力会社さんの作業遅れなどの影響が出ていました。また、工事が完了しているかどうかを私たち営業がリアルタイムで把握できていなかったため、不動産会社さんへの請求書送付にも遅れが出ていました。営業アシスタントがその都度協力会社さんに電話をし、「工事が完了しているか」を確認するフローも効率が悪いと感じていました。
玉井さん: 正直に言うと、従業員や協力会社さんはANDPADの導入に反対していたんです。ただ、実際に使い始めてみたら、営業は「現場写真をその場でアップできて便利」だと分かり、協力会社さんも「電話をかけなくても住所や鍵・駐車場の場所、仕様書・指示書など、必要な情報がANDPADに全部揃っている」と分かり、それぞれ便利さに気づきはじめました。最初は「また新しいものを使わないといけないのか」と拒否反応があったものの、ANDPADの便利さを実感したことで利用が浸透し、今では協力会社さんも報告も上げてくれるようになっています。
──職人さんのなかには高齢の方もいらっしゃると思いますが、みなさん問題なく利用できているでしょうか?
玉井さん: 当社では、スマートフォンの操作もおぼつかなかった70歳の従業員がANDPADを使いこなしているので、年齢は関係ないと思いますよ。彼には賃貸アパートやマンションの入居中に発生したアフター工事の調整をお願いしています。不動産会社さんから届いた資料の格納、工事の日程調整、工程表での担当者設定、案件情報の入力などをANDPADで行ってもらっています。
同社でアフター工事の調整を担当する三浦さん(70歳)。「最初は自分にできるか不安でしたが、慣れてしまえば対応できますよ」と笑顔で答えてくださった。
玉井さん: これまでアフター工事は、工事の情報を紙に出力し、ファイリングをして管理をしていました。そのため、会社に戻らないと情報が分からず、外出しているとお客様のお問い合わせに応えられませんでした。今は、営業にタブレットを支給しているので、外出先でもANDPADを開けばすぐに案件情報を確認できます。問い合わせにもすぐにお答えできるようになりましたね。
私たちの仕事は対応件数が多いので、効率良く業務を進めないと現場が回らなくなってしまいます。「効率がすべて」といっても過言ではないので、当社にとってITへの投資は必要不可欠です。今後も事務所でなければできない業務はなるべく減らし、従業員が効率良く働ける環境を作っていきたいと考えています。作業効率が上がれば労働時間が減り、従業員も「ここは働きやすい」と実感してくれるでしょう。働きやすい職場には人も集まりますし、定着して長く働いてくれると思います。
残業なし・有給休暇はほぼ100%消化。ホワイトな職場環境を実現
──実際に働きやすい環境は整ってきているのでしょうか?
玉井さん: そうですね。当社の従業員は残業はほぼしていません。勤務時間は8時〜17時なのですが、自分の担当業務が終われば16時半に帰っても構わないことにしていて、ほとんどの従業員が16時半に退社しています。会長が経営をしていた時代から残業はほとんどなかったのですが、ANDPADを導入してからより効率が良くなっています。お客様との打ち合わせが重なった場合、2件目へ訪問するまでの間に待機時間が生まれることがありますが、ANDPAD導入後は、その時間も工程表や発注書作成などに活用できています。
玉井さん: 有給休暇の取得率もほぼ100%に近いです。前もって申請をしてくれればその日には仕事を入れないようにしていますし、営業は自分の仕事が順調に進んでいれば、好きな日に有休を取得して問題ありません。
美装工事と内装工事は、ほぼ当社専属で動いてくれている職人さんがいますので、その方たちにも休みの希望を聞いて運用しています。専属ではない協力会社さんとも連携を図りながら、職人さんの休み希望を尊重しつつ、スピーディーに工事に対応できるようにしています。
──これほど働きやすい環境が整っているのであれば、紹介や口コミで人が集まってきそうですね。
玉井さん: そうですね。実際に友達を紹介してくれて、現場で一緒に働いている従業員もいます。当社は現在、社員とパートを合わせて16名在籍しているのですが、男性は会長と三浦だけなんです。ハウスクリーニング担当のスタッフも全員女性です。子育てと両立しながら働いている従業員も多いです。
「人とのつながり」を大切にしてきた同社を受け継ぎ、社長として新たなチャレンジを続けている玉井さん。ANDPADをはじめ、自社に必要なIT投資を積極的に行うことで業務効率を上げ、事業拡大と働きやすい環境の創造、双方を実現している。
後編では、実際に同社がどのようにANDPADを運用しているのかを深堀りしていく。広範囲にわたる営業エリアで月100件の現場を回す同社の運用ノウハウにぜひ注目してほしい。
URL | https://www.topsupport.jp/ |
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代表者 | 代表取締役 玉井 未来 |
創業 | 2002年 |
本社 | 〒793-0010 愛媛県西条市飯岡3755-6 |