ANDPADの利用状況をデジタルにスコアリングし、ANDPADを最も使っているユーザーを称賛するANDPAD AWARDのユーザー部門。本記事では、「ベスト黒板ユーザー賞」3位を受賞したNSリノベーション株式会社の倉益 涼さんと永田 勝也さんにお話を伺った。
NSリノベーションは、1974年の設立から関西・中京地域を中心にビル・マンションの設備改修工事を行う給排水設備会社だ。⽔回りのメンテナンスからマンション全体のリノベーションまで引き受けており、1万件以上の工事実績を誇る。
インタビューの前編では、同社の現場監督の仕事とANDPAD黒板活用による業務の効率化、そしてANDPADにデータが蓄積する価値について、お二人に語っていただいた。
INDEX
ワンストップ体制でマンション設備を守る「水」の専門家
1物件で写真を1万枚以上!? 膨大な写真管理をANDPADで効率化
ANDPADにデータが集まることで、「顧客カルテ」としても活用
監督の頑張りがお客様満足度に直結する
ワンストップ体制でマンション設備を守る「水」の専門家
──まず貴社の事業内容を教えてください。
永田さん: 当社は、「人と水のプロフェッショナル」として、マンション・ビルの設備改修や管理を行なう専門会社です。水関連設備の劣化診断から、改修のご提案、工事計画、施工、施工後の管理・メンテナンスまで、建物管理に対しての全てをカバーできる「体制」を取っていることが強みです。しかも夜間もお電話いただければ、すぐ駆けつけますので、「当社に任せてもらえば365日24時間、マンション内の水が守れます」という点でも評価いただいています。
──水回りの設備診断から改修工事までの流れを教えていただけますか?
永田さん: まず設備診断について説明します。マンションの重要設備は、壁の中や天井裏などの目に見えない場所にあります。普段は目に見えないので気づきにくいですが、時間が経てば設備はどうしても劣化するものです。「現在、マンションがどういった状態なのか」、当社では排水管に内視鏡カメラを入れて、ご要望に応じて設備診断を行なっています。その後、当社のチームで改修の設計・積算を行い計画を提案し、お住まいの方々との工事合意形成もお手伝いしています。
──改修工事は、どういった種類の工事があるのですか?
永田さん: 工事は大きく3つ、専有部エリア、共有部エリア、地中エリアに分かれています。専有部エリアの工事では、各住戸内のキッチン、洗面台、洗濯機からの排水管を対象としたものです。共有部エリアでは、マンションの上の階から下の階につながり、地下の配管へとつながっている「共用排水竪管」の工事を行ないます。そして地中エリアでは、マンションの地下で合流し下水配管につながっていく、「共用排水横主管」を改修します。
いずれの工事もお住まいの方の負担が大きいので、その負担をなるべく減らすべく、当社では技術開発に力を入れており、特に当社が開発した「モール工法」はかなり画期的でしたね。
──ありがとうございます。貴社の強みと、居住者の方への負担軽減に注力していることが分かりました。続いて、ANDPADの利用についてお話伺いたいと思います。
1物件で写真を1万枚以上!? 膨大な写真管理をANDPADで効率化
──改めてANDPAD AWARD2023 ユーザー部門「ベスト黒板ユーザー賞」全国3位の受賞、おめでとうございました! 受賞の感想を聞かせていただけますか?
倉益さん: 受賞のお電話をいただいたときは、「何のことだろう?」と。黒板の写真を撮り過ぎているから、むしろ苦情の電話かと思いました(笑)
永田さん: 報せを受け、社長も大喜びでした。我々はマンションの給排水設備に特化した会社です。ニッチな専門分野ということで賞を貰える機会はほとんどないですし、業務を効率化できていると証明されたことがうれしいです。
──貴社では、ANDPAD黒板がリリースされた初期から非常に活用していただいております。導入の目的は何だったのでしょうか?
永田さん: 一番は「写真」です。従来の写真管理のやり方に課題を感じていたところ、ANDPAD黒板を含めてアンドパッドさんから業務改善の提案をいただき、導入したのが経緯です。我々が請け負う工事は規模が大きく、工期が長いものも多いため、写真の撮影や管理が大変だったんです。写真の撮影・管理は現場監督が行なうのですが、写真に関する業務で残業が多くなっていました。「そのため彼らの負担を減らしつつ、増えている残業代を削減できないだろうか」と考えていたんです。
──給排水設備工事の平均工期はどれくらいなのでしょうか? また、どのくらいの工事写真を記録するのでしょうか?
倉益さん: 工期は数カ月から半年の物件が多いですが、大型の物件だと1年以上かかる場合もあります。監督は、基本的に担当する現場に完工するまで常駐します。大型の現場の場合は、監督が複数人入って、それぞれが1万枚以上写真を撮っていますね。
倉益さん: 監督の業務領域は実際に工事が決まった段階からスタートして、工程の計画から現場管理、品質管理、安全管理まであり、居住者さんとのやりとりも監督が行います。写真は、計画を立てるための現地調査の段階から撮り始め、施工の進捗も随時撮影しています。工事箇所は仕上がってしまうと直接見えない隠ぺい部になるので、必然的に記録する写真枚数もかなりの数になります。そのため写真台帳を作成するのも、なかなか骨が折れますね。
──ANDAPDA黒板を活用することで写真撮影や整理は効率化されましたか。
倉益さん: まず、撮影がしやすくなりましたね。手書きの黒板を使っていた時は、狭い場所で撮影する場合、画角を決めるのも苦労したのですが、そういった手間がなくなりました。その後の写真整理や写真台帳作成の時間も、半分くらいになった印象です。事務所に戻ってからパソコンに写真を取り込む必要もなくて楽です。何号室の写真かも、黒板を見ればすぐ分かるのも便利です。
永田さん: 以前は、たとえば写真を3万枚撮って、そこから1枚ずつ選んでエクセルに貼り付けていたわけです。撮った写真をフォルダ分けもせず1つにダーッと入れて、整理にすごく時間かけている人もいました。今でも、ANDPAD黒板を活用できていない監督は1週間以上かけて写真台帳をつくることもありますが、倉益のように使いこなしている人は1日で終わると思います。その分、居住者さんとのコミュニケーションに時間を当てられますし、退社の時間も早くなるでしょう。
永田さん: 当初は単純に「写真整理の時間を短縮したい」という思いだけでANDPADを導入したんです。それは、見込み通り成果が出ています。ただ、使っていくうちにANDPADの違う価値に気づいたことが当社としてはとても大きいです。今では顧客管理にANDPADが欠かせないものになっています。
ANDPADにデータが集まることで、「顧客カルテ」としても活用
──写真にまつわる業務の効率化にとどまらず、ANDPADの価値を感じていただいたというのは、具体的にどういうことでしょうか?
永田さん: その質問にお答えするには、まず当社の事業構造ついて改めてお話しさせていただきます。
当社の強みは、先ほどお伝えしたように工事から管理・メンテナンスまで、建物管理に対してワンストップでソリューションを提供できることです。ただ、どのマンションも基本的にどこかの管理会社と既に契約しており、新規で契約いただくことは非常に難しい領域です。
──それではどうやって新規契約を取るのでしょうか?
永田さん: 当社は飛込み営業は行いません。代わりに名刺になるのが、地域の評判です。マンションは地域のつながりがあって、理事同士の会合で「あのメンテナンス会社良かったよ」と言ってもらえると、メンテナンス会社の変更やリノベーション工事の提案、つまり当社の新規契約につなはることがあるんですよ。また、新規での営業の障壁が高いため、既存のお客様に保守管理の契約を継続していただくことも当社の事業にとって非常に重要です。
では、顧客であるオーナーや管理組合の方々から、どうしたら満足いただけるかというと、居住者の方の評価が非常に重要になってきます。居住者の方の工事の満足度が、管理組合の方々の安心に直結するのです。
永田さん: そして最初の質問の回答に戻りますが、ANDPADは使っていくうちに「顧客カルテ」になることが分かってきたんです。
──案件の情報がどんどん蓄積されていくので、そのマンションの情報が管理しやすくなった、と。
永田さん: そうです。私たちの仕事は、街のお医者さんのようなものです。かかりつけ医に「自分の数年前の病気がどうだったか教えて」って言ったら、すぐ教えてくれるでしょう。我々もマンションの過去の情報をすぐに分かるようにしないといけないんです。
もともと紙の設備点検表はあったのですが、恥ずかしい話、それしかなかったんです。過去に何号室で漏水があったとか、何号室で何の工事をしたか、というような工事履歴は監督個人の頭の中にしかなかった……。それが、ANDPADに案件情報が蓄積されることで、各住戸の工事履歴となり、すぐに確認・共有できるようになりました。
例えば、「トイレ詰まったから来てください」と連絡があったときに、何の準備もなしに行ったら「前にも伝えただろう!」と怒られてしまう。けれども、ANDPADを見てその情報を知っていたら、居住者の方への最初のアプローチも変わってきますし、何回も詰まりが続いているなら管理組合に「改修工事が必要ですね」と伝えることができる。
倉益さん: 私が担当するリノベーション工事において、居住者さんの情報についても、以前はエクセルで在宅・外出・帰宅時間などを300戸だったら300戸分打ち込んでいたのですが、ANDPADにまとめられた顧客情報を見れば、部屋ごとの情報がすぐ分かるようになりました。
永田さん: 倉益たち施工部が行なっているリノベーション工事と、メンテナンスや緊急対応を行なう部署は違うのですが、ANDPADで双方の対応共有も楽になりました。
永田さん: 居住者さんとのコミュニケーションは、当社の現場監督の最も重要な仕事なので、その部分でANDPADが非常に役立っています。
監督の頑張りがお客様満足度に直結する
──監督さんは居住者さんとどういったコミュニケーションをとるのか教えていただけますか?
永田さん: リノベーション工事において、まず大事なのは、工事日程の調整です。お部屋内の改修は住みながらの工事になるので、工事日は必ず在宅してもらわないといけません。300戸入居されていたら、300戸対応します。「夫が帰ってくる時間にまた来てほしい」と要望があったり、居住者さんそれぞれに細かい予定があります。監督はこの調整にものすごい時間を使っています。
倉益さん: たとえば、ご高齢でケアが必要な方が入居されていたら、「ケアマネージャーが来るこの時間帯はダメ」「通院するからこの日は難しい」など、事前にお話を聞いて予定を調整します。監督は、計画通りに工事を進めることが仕事です。職人が現場に入った後に工事ができなかったということは、なるべく避けないといけません。
──マンション工事ならではの段取りがとても重要で、監督さんは居住者さんに対して一律ではない柔軟なコミュニケーションを行なっているのですね。
永田さん: 我々が工事する場所は、洗濯機置き場、お風呂、洗面所、トイレなどの生活空間。そこに毎日知らない職人が何人も出入りするのは、居住者さんからしたら、なかなかしんどいでしょうし、当然ストレスが溜まると思います。当社の対応に問題があって、もし居住者さんから管理組合を通してクレームが入ったら、工事をストップしないといけない。
──マンションリフォームの依頼主は管理組合であり、直接の依頼者ではない居住者さんは、工事に対する温度感がいろいろなのではないでしょうか。必ずしも積極的ではなく、厳しい目で見られることもあったり……。
永田さん: そうですね。こちら側の都合でいうと、工事をしたら写真を撮って記録を残す義務がありますが、居住者さんにとっては「何でうちの写真を撮るの?」と抵抗を感じる方もいるので、一つ一つのコミュニケーションを丁寧にとる必要があります。長い工事が終わったとき、「寂しくなるわね」と言ってもらえるくらいの信頼関係になっていることが理想です。なので、監督の第一の役目は居住者さんとの関係性構築と言っても過言ではないです。
先ほど話しましたが、「顧客満足度」は当社の事業の生命線です。監督が一生懸命やってくれないと、成り立たないんですよね。
──非常にタフなコミュニケーションをされているからこそ、居住者さんと接する時間を増やすために、写真管理などITの力で効率化できる部分は効率化する重要性を改めて感じました。
「もともとは写真管理のため」に、ANDPADを導入した同社。しかし、ANDPADを活用して、案件情報を蓄積することで「ANDPADの別の価値が見えてきた」と永田さんは語った。後編では、具体的にANDPADをどのように使って顧客管理を行なっており、黒板写真の整理をどのように効率化しているのか、話していただいた。
URL | https://nsr.inc/ |
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代表者 | 代表取締役 齊藤太嘉志 |
設立 | 1974年 |
本社 | 大阪市西区立売堀4丁目2番21号 銀泉阿波座ビル8階 |