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札幌ベニヤ商会|100年企業が挑む多角化経営。「業界インフラ」へ進化する組織と気配りの仕事術~前編~

月5,000件の受発注を支える先読みのホスピタリティ

目次

  1. 建設業界のインフラを支える多角化挑戦
  2. 中途・若手が屋台骨を支える。フリーアドレス化で垣根を取り払うオープンな組織文化
  3. 保育士から未経験で飛び込んだ建設業界。気配りの受発注

ANDPADの利用状況をデジタルにスコアリングし、ANDPADを最も使っているユーザーを称賛させていただくANDPAD AWARDのユーザー部門。これまで紙でのやり取りが主流だった受発注業務を電子化し、発注書の送付や請負のやり取り、工事完了後の請求書の受け渡しなどをシステム上で完結することができるのが「ANDPAD受発注」だ。

2025年の1年間、日々「ANDPAD受発注」を通じて請負側の立場で業務を行い、最もANDPAD受発注を活用したユーザーとして、ANDPAD AWARD 2026 ユーザー部門「ベスト受発注ユーザー賞-請負-」2位を受賞した株式会社札幌ベニヤ商会 営業部 営業支援課主任 藤﨑優香さんにお話を伺った。今回は、取締役 営業部 統括部長 河村昌平さん、営業部課長 元村 秀一さんにも同席いただいた。

同社は、北海道札幌市を拠点とし2028年に創業100年を迎える老舗建材商社だ。資材販売にとどまらず、発寒物流倉庫を拠点とした独自の物流システムや施工体制の構築、さらにはEVを家庭用蓄電池に活用するV2H事業(※)の展開など、「家業から企業へ」を合言葉に多角化と経営改革を推し進めている。2024年には持株会社「サツベニホールディングス株式会社」を設立し、グループ経営体制へと移行。北海道の企業としての社会的使命から、地域活性化や環境配慮を見据えた北海道産木材の地産地消にも深くこだわっている。

(※)「V2H」とは「Vehicle to Home」の略で電気自動車を充電するだけではなく、貯めた電気をご家庭で使用する仕組みです。

参照:「EV充電器、V2H」(東京都省エネ・再エネ住宅推進プラットフォーム)(https://www.syoenesaiene-pf.metro.tokyo.lg.jp/setsubi/09.php)

同社で営業支援課主任を務める藤﨑さんは、保育士から未経験で建設業界に飛び込み、現在では月間約5,000件にのぼる受発注や請求業務のハブとして活躍している。お客様や自社の配送部門、協力会社さんといった全方位へのきめ細やかな気配りを原動力に、業務の円滑な進行を支える。本記事では前編として、多角化への挑戦を続ける同社の企業文化や、未経験から屋台骨へと成長した藤﨑さんの仕事への向き合い方に迫る。

 

建設業界のインフラを支える多角化挑戦

──はじめに、貴社の事業内容や強みについて教えてください。

河村さん: ありがとうございます。当社は1928年の創業以来、建築資材および関連製品の販売を主軸に事業を展開してきました。現在、札幌ベニヤ商会としては建築資材卸を中軸に、物流や建築設計事務所、建築工事部で工事支援もお受けしており、その他に木製サッシの企画製作・販売を行う「m.a.p事業部」(※)があります。また、ホールディングスの傘下にはV2Hシステム販売の「匠」、工務店向け建築資材販売会社の「道央機器」があり、グループ全体で51億円(2026年2月期)の売上規模となっています。ゆくゆくは売上高100億円企業を目指して、日々成長を続けています。

(※)https://www.map-sapporo.jp/

株式会社札幌ベニヤ商会 取締役 営業部 統括部長 河村昌平さん

河村さん: 当社の強みは、製造にも関わりながら、販売、配送、施工までを一貫して対応できる点にあります。メーカーさんから商材を仕入れてお客様にお届けするのが主軸ですが、「メーカーさん任せ」にはしません。営業担当が自ら知識をインプットし、技術的な価値も含めて適切に提案できる体制を整えています。

──2028年には創業100周年を迎えられる歴史ある企業ですが、2024年にはサツベニホールディングスを設立されるなど、多角化を加速させていますね。

河村さん: はい。当社は一族が経営を担ってきましたが、社会変化のスピードがめまぐるしい中で、広く社会から必要とされる企業として持続していくためには、企業としての持ち味を磨いていく必要があります。

資材販売だけでは企業としての付加価値が生まれにくいので、できることは自分たちでやろうと、10年ほど前からV2H(Vehicle to Home)事業にも本格的に参入しました。電気自動車やプラグインハイブリッド車(PHEV)に搭載されたバッテリーの電力を、家庭用電力として活用する仕組みです。

電気自動車に蓄電された電気を自宅でも利用でき、家庭の電力を補完できるシステムですが、大手自動車ディ―ラー様とも提携し、販路拡大を進めています。公共物件などでもV2Hを完備する動きがあり、そうしたニーズにしっかりと対応できる体制を整えています。同じことをやっていたらだめだという思いで、新しい取り組みの積み重ねが近年さらに加速していると感じています。

──北海道産木材の積極的な活用など、地域や環境への配慮にも強いこだわりを感じます。

河村さん: 新築住宅のプレカットに関しては構造用木材の半分以上を北海道産木材の提案を推進しています。プレカットや木製サッシの製造においては、北海道内の企業と密に情報共有しタイアップしています。ウッドショックや原油価格の高騰、さらには中東情勢の影響などによる輸送コストの課題がある中で、地産地消の観点から北海道の資材を使っていくことは、北海道企業としての使命だと考えています。外材の供給が不安定な状況になっても、北海道産の木材であれば影響を受けずにお客様に安定して提供できるというメリットもありますね。

──長い歴史の中で培われたお取引先様との信頼関係も、安定した供給を支えているのですね。

 

中途・若手が屋台骨を支える。フリーアドレス化で垣根を取り払うオープンな組織文化

──老舗企業でありながら、新しいことに次々と挑戦されているのですね。社内の組織風土にはどのような特徴があるのでしょうか?

河村さん: 当社は新卒よりも中途採用が多く、異業種からの転職者も活躍しています。年齢層も30代が中心で、この業界の中では比較的若い会社だと思います。多角的な提案ができる体制を作っていく中で、常に新しいものを取り入れようとする企業文化があるため、レスポンスの良い若いメンバーが頑張ってくれています。会社の変わり目に入社してくれた藤﨑や元村が、今の営業を支える屋台骨になってくれています。

──部署間の連携も活発に行われていると伺いました。

河村さん: 近年は部署間の垣根を取り払う取り組みを進めています。以前は社内に間仕切りがあって、営業支援課はここ、営業部はここと机の位置も決まっていたのですが、フリーアドレス化を導入しました。建材販売店でフリーアドレスを取り入れているところは珍しいかもしれませんが、営業担当と事務所にいる営業支援課のメンバーが常に情報を共有できるようになり、非常に良い効果をもたらしています。また、従来のスーツや作業服だけでなくオフィスカジュアルも同時に導入し、柔軟な働き方を推進しています。

フリーアドレス化した社内で部署の垣根を越えたコミュニケーションが行われている

──元村さんから見て、フリーアドレス化や情報共有の強化はどのように影響していますか?

元村さん: 営業活動において、信頼関係の構築は非常に重要です。フリーアドレス化したことで、社内のコミュニケーションが円滑になり、お客様への対応スピードも上がりました。特に、藤﨑さんのような営業支援課のサポートがあるおかげで、私たち営業担当者は提案活動に集中できており、本当に助かっています。

株式会社札幌ベニヤ商会 営業部課長 元村秀一さん

保育士から未経験で飛び込んだ建設業界。気配りの受発注

──ここからは、今回の受賞者である藤﨑さんにお話を伺います。藤﨑さんは2021年にご入社されたとのことですが、建設業界へ進まれたきっかけは何だったのでしょうか?

藤﨑さん: 実は、私の父が現場監督をやっていまして、祖父も昔、建設関係の会社を経営していたんです。そのため、幼いころから自宅に図面があったり、建設業界の雰囲気がとても身近な存在として育ちました。もともと子どもが大好きだったので保育の専門学校へ進み、保育士として就職したのですが、心のどこかでずっと興味のあった建設業界にチャレンジしてみたいという思いがあり、転職活動の中で当社と巡り合って入社を決めました。

株式会社札幌ベニヤ商会 営業部 営業支援課主任 藤﨑優香さん

──保育の世界から建材商社への転身は、業務内容が異なりますが、そこからどのように知識を身につけたのでしょうか?

藤﨑さん: 当時の営業支援課の上司が、基礎から分かりやすく根気強く指導してくれました。誰がどの仕事を担当するかという形式的な決まりに捉われず、未経験の私を社内全体で支えてくれる温かい文化があったからこそ、安心して学ぶことができました。

専門用語がわからないときは、お電話をくださった大工さんにその場で思い切って「勉強不足で申し訳ありません。それはどこの部分に使う資材ですか?」と直接お聞きしていました。すると、皆さんとても優しく丁寧に教えてくださるんです。そこで教えていただいた内容をネットで調べたり、営業の先輩方に「大工さんからこう言われたのですが、これはどういう意味ですか?」と質問を重ねることで、少しずつ専門知識を蓄積していきました。

──藤﨑さんが受発注業務を行う上で、一番大切にしていることは何ですか?

藤﨑さん: 日々の納材調整において、私が最も大切にしているのは「元請企業様や協力会社さん、そして配送ドライバーの皆さんといった、関わる全員の業務が円滑に進行するよう配慮すること」です。

当社は月間約5,000件という非常に多くの注文書を処理しており、配送スタッフが稼働させる物量も膨大です。だからこそ、ただ言われた通りに手配を回すのではなく、現場の状況を先読みして動くことを心がけています。

例えば、事前に図面をしっかりと確認し、現場の道路状況や、入り口から実際の納品場所までに何メートルの距離があるかを読み解きます。もしトラックが近くまで入れず、手戻りや、手持ちでの搬入といった重労働が発生しそうだと判断した場合は、事前に倉庫や配送部門と密にやり取りを行い、「この現場は少し距離があるから、状況に合わせてサポートの人員を1人、時間を合わせて同行させてほしい」といった細やかな調整をしています。札幌市内であれば前日の段取りでも柔軟に対応できる場合もありますが、少し遠方の地域であれば、配送ルートを効率的に組めるよう2日前までに相談して進めています。

──相手の状況を先読みする気配りが素晴らしいですね。

藤﨑さん: ありがとうございます。お客様が一番喜ぶ動きは何かを常に考えています。お引き渡しの時期が迫っているような突発的な急ぎの案件が営業担当経由で入ってきた際も、お客様が今どんな状況にあるのかを的確に判断し、優先順位を瞬時に見極めます。緊急性が高い場合は、メーカーさんの直送ルートを調整したり、場合によっては「現場のすぐ近くにメーカーさんの拠点があるので、直接引き取りに行っていただいた方が最速でお届けできます」とお伝えするなど、お客様にとって最大のメリットとなるベストな解決策をこちらからお示しするようにしています。

藤﨑さんの元請企業様・現場・配送部門の三者を繋ぐ円滑な納材調整力は、社内外から厚い信頼を得ている。「家業から企業へ」の経営再構築を進める同社において、社員が存分に力を発揮できる背景には、縦割りを廃止したフリーアドレス化などのオープンな風土があるようだ。

続く後編では、月間約5,000件もの膨大な注文書を処理しながら迅速な「請書発行」と「データ不整合ゼロ」を両立させている藤﨑さんの具体的なタスク管理ルーティンと、営業担当との強力な連携が生み出す効果について、さらに詳しく掘り下げていく。

株式会社札幌ベニヤ商会
URLhttps://www.satsubeni.jp/index.html
代表者代表取締役社長 今井伸孝
創業1928年
本社北海道札幌市中央区北6条西19丁目23-6
企画: 平賀豊麻
取材:正木皓二郎
執筆・編集: 齋藤夏美
デザイン: 森山人美、岩佐謙太朗
お客様担当:高森正光
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