ANDPADの利用状況をデジタルにスコアリングし、ANDPADを最も使っているユーザーを称賛するANDPAD AWARDのユーザー部門。今回は「ベストボードユーザー賞」で全国2位を受賞した株式会社catalystの代表取締役社長、天野佑介さんにお話を伺った。
同社は静岡県藤枝市を拠点に、戸建て住宅へのエアコンの新規取り付け・取り替え工事を中心に対応。大手家電量販店・マッチングサイト・自社HPと複数の受注経路を保有し、それらをANDPADボード上で管理している。今回の取材を通して見えてきたのは、同社を率いる天野さんの番頭としての働きと、それを支えるANDPADボードの存在、その活用法だ。実際、ANDPADボード導入以前と比較して、対応人数は変わらずとも受注件数はおよそ2倍になっていると天野さんは話す。電気工事業に関わらず、短工事を数多く抱える専門工事業で番頭業務を担う方にとって、天野さんの話は大いに参考になるはずだ。
前編では、天野さんに聞いたcatalystの成り立ちや組織風土づくりについて、紹介する。
修行期間を経て独立。仲間たちと働く環境を整える
──このたびはANDPAD AWARD 2025 ユーザー部門「ベストボードユーザー賞」全国2位の受賞、おめでとうございます! はじめに、天野さんのご経歴についてお聞かせください。
天野さん: もともとは今と全然違う仕事をしていました。飲食業が中心で、焼肉居酒屋とか、たい焼き屋とか、焼鳥の移動販売とか、いろいろやりましたね。生活リズムも不規則で、昼まで寝ていることも多かったんです。
でも2012年に娘が生まれて、いわゆる「普通の仕事」に憧れを持つようになりました。朝起きて、仕事に行って、夕方疲れて家に帰ってくるような生活をしたい。自分に何ができるかを考えたときに浮かんだのが、電気工事士の仕事でした。若いころに数学と理科が好きだったので、これなら気持ちを入れて取り組めるのではと思いました。

株式会社catalyst 代表取締役社長 天野佑介さん
天野さん: 妻の協力を得て電気工事士の資格を取り、いくつかの電気工事会社で「給料はいらないので修行させてほしい」と頭を下げて、修行をさせてもらいました。そこで出会った師匠たちにサポートをいただきながら、個人事業主として電気工事業を始めることができました。
──それから独立までは、何年くらいかかったのでしょうか?
天野さん: 早かったですね。トータル1年くらいだったと思います。
当時は仕事を覚えるために必死で、休みも関係なく、日付が変わるまで働いていました。そのとき良くしてくれた会社とは、今でもお付き合いがあります。独立後もずっとフォローしていただいたんです。わからないことがあれば何でも教えてくれましたし、困ったことがあればすぐに現場に人を送ってくれて、ありがたかったですね。
──株式会社catalystを立ち上げたのは2021年のことでした。従業員を抱えるようになったのは、いつぐらいからだったのでしょうか。
天野さん: 今いるメンバーは、個人事業主のころから一緒に頑張ってきた仲間なんです。そのうち1人とは、その前の商売から一緒にやっていました。「新しいことを始めたい」と修行を決めたときも、自分が抜けた穴を彼にフォローしてもらいましたね。もし電気工事業がうまくいったら、こっちを一緒にやっていこうと話していました。
──会社の設立には「ずっと一緒にやってきた仲間に機会を提供したい」という思いもあったのでしょうか。
天野さん: そうですね。個人事業主の売上が徐々に上がってきたところで、そろそろきちんと法人化しようと。会社設立のタイミングで、自分を含めて全員が社会保険に加入できるよう福利厚生もしっかり整えました。「ちゃんとした職場環境」で仲間を迎えたいという思いもありましたね。
幅広いルートからの依頼が増え、右肩上がりに成長
──現在、株式会社catalystには何名の社員がいるのでしょうか?
天野さん: 社員は自分を含めて4人です。事務や経理関連の業務を妻が担当していて、現場の手配や管理といった番頭業務は自分が行っています。あとの2人は職人です。自分の手が追いつかないときは、協力会社へ仕事を依頼する際の段取りをしてもらうなど、職人の2人にもサポートをしてもらっています。
そうしたサポートをお願いするときも、以前はホワイトボードにしか情報がなかったので、「ちょっとあの案件やってくれない?」と相談するのも一苦労だったんです。今はANDPADボードで情報共有ができるようになったので、サポートを依頼するのもだいぶ楽になりましたね。
──改めて主な事業内容についてお聞かせください。
天野さん: 住宅に関する家電設備工事です。一番多いのがエアコン設置工事で、アンテナ、トイレ、洗面台、エコキュート、照明などの設置工事も請け負っています。
建物の種別では、戸建てが多くを占めています。新築を建てたタイミングでの新規取り付けのほか、築10年から20年を経た住宅内のエアコンを入れ替える工事も多いです。3月の引っ越しシーズンには、「引っ越し先にエアコンを持っていきたい」という依頼もありますね。
──会社設立以降、売上の推移はいかがですか?
天野さん: おかげさまで、少しずつ右肩上がりで成長しています。当初は主に大手家電量販店の協力会社として仕事を請け負っていましたが、最近は幅広いルートからの依頼が増えています。
個人のお客様と業者を結ぶマッチングサイトをはじめ、不動産会社やリフォーム会社からお声がけいただくこともありますし、自社のホームページから問合せをいただくこともあります。ネットで口コミを見たお客様が、社名で検索して直接問合せをされたケースもありましたね。工事原価については業務内容にもよりますが、人件費のほか材料費の2割から3割ほどがかかるイメージです。
──繁忙期・閑散期についてはいかがですか?
天野さん: エアコン工事は、6月から9月がピークですね。多い日だと1車両で5軒くらい回ります。冬場はエコキュートや浴室暖房機の工事で忙しくなります。
逆に、年間を通して比較的ムラが少ないのは、EVコンセント設置工事ですね。年2回ほど、補助金や助成金のタイミングでまとまった依頼が入るほかは、年間を通じて一定の需要があるように思います。
仕事の丁寧さを生み出す組織風土づくり
──天野さんご自身は、貴社の強みはどこにあると思われますか?
天野さん: とにかく丁寧に、お客様の希望にできるだけ寄り添うこと、でしょうか。水回り工事やお客様対応など、社員一人ひとりがそれぞれの得意分野を活かして仕事に取り組んでいるのも、その強みがベースになっているように思います。
──エアコン工事や照明工事など、室内に入られる機会も多いので、工事にはより丁寧さが求められるのではと思います。社員や協力会社の方へ伝えていること、徹底していることはありますか?
天野さん: 技術はもちろん大事なのですが、お客様とのコミュニケーションを一番大事にしてほしいと伝えています。
天野さん: あってはいけないことですが、仕事中にミスや間違いを犯してしまうこともゼロではありません。そうしたとき、「やり直してもらえるならいいよ」と言っていただけることもあれば、ゴミが少し落ちていただけで大きなクレームにつながることもあります。その違いは、お客様とコミュニケーションが取れているか否かにあると思っています。
──仕事に丁寧に向き合うには、社内の環境も大切なのではと思います。社内コミュニケーションや風土づくりで、意識されていることはありますか?
天野さん: うちの会社は、みんな釣りが好きなんですよ。どんなに忙しくても釣りに行くんですね(笑)。私が船の免許を取ったので、自分がキャプテンとなって船釣りを楽しんでいます。
昔は「夏だけとにかく頑張って、他の季節はちょっとゆっくりしよう」と言っていたんです。とはいえ、冬場は寒くてつらいんですが(笑)。最近は、ありがたいことに年間を通じて忙しくなってきたので、「夏も関係なく釣りをしよう!」と開き直りましたね。
場面によってANDPADボードを見るデバイスを使い分ける
──今回の受賞について、ノミネートの連絡を受けたときどう思われましたか?
天野さん: 「えっ俺が!?」と思いました(笑)。周りからは「何人から選ばれたの?」と聞かれましたが。
──現在、ANDPADのユーザー数は55万人です。
天野さん: そう考えるとすごいことですね。ANDPADボードは本当に便利なので、これをきっかけにさらに便利に使えたら嬉しいなと思っています。
──天野さんの仕事のなかで、ANDPADボードをどのようなタイミングで使われていますか?
天野さん: 特定のタイミングというか、もはや1日中触っていますね。オフィスでは大型のモニター2台にANDPADボードを映して確認しています。出先だと、情報確認レベルならスマホで済ませて、しっかり操作するときはノートパソコンを出していますね。
丁寧な仕事ぶりと、幅広い営業ルートによって、着実に成果を積み重ねてきたcatalyst。後編ではANDPADボードを導入した背景や、その活用法について、さらに深く掘り下げる。
URL | https://catalyst-job.jp/ |
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代表者 | 代表取締役社長 天野 佑介 |
設立 | 2021年10月1日 |
所在地 | 静岡県藤枝市高洲18-15 |