ANDPADの利用状況をデジタルにスコアリングし、ANDPADを最も使っているユーザーを称賛させていただくANDPAD AWARDのユーザー部門。これまで紙でのやり取りが主流だった受発注業務を電子化し、発注書の送付や請負のやり取り、工事完了後の請求書の受け渡しなどをシステム上で完結することができるのが「ANDPAD受発注」だ。
2025年の1年間、日々「ANDPAD受発注」を通じて請負側の立場で業務を行い、最もANDPAD受発注を活用したユーザーとして、ANDPAD AWARD 2026 ユーザー部門「ベスト受発注ユーザー賞-請負-」1位を受賞したフォーム断熱株式会社 関東支店 営業部 統括部長の酒井賢治さんにお話を伺った。

フォーム断熱株式会社は、2004年に施工約3,000件・売上約7億円だった規模から、2024年度には売上高70億6,000万円、施工件数1万9,820件へと右肩上がりの大躍進を遂げている断熱工事の市場牽引企業だ。同社で関東・神奈川・仙台の計10名の営業部員を率いる統括部長の酒井賢治さんは、月間約300件に及ぶ案件の進捗の管理を担っている。本稿の前編では、月間約300件に及ぶ膨大な同時並行案件の進捗や工程をコントロールする酒井さんの取り組みや、チームを強くする先回りの人材指導について、詳しく紐解いていく。

広大なエリアの動きをリアルタイムに把握・適切に管理
──「ANDPAD AWARD 2026」ユーザー部門「ベスト受発注ユーザー賞-請負-」全国1位の受賞、本当におめでとうございます!まずは受賞を知ったときのお気持ちをお聞かせください。
酒井さん: ありがとうございます。正直にお話ししますと、私はこのような表彰制度の存在自体を全然知らなくて、ご連絡をいただいたときは、不思議に思ったのが最初の率直な感想でした(笑)。その後メールを改めて確認して、ようやく本当に受賞したんだなと実感が湧いてきました。
今回高く評価していただいたANDPAD受発注の運用に関しては、私が何か特別なことをしたというわけではなく、当社の事務員さんたちが日々担当してくれています。

フォーム断熱株式会社 関東支店 営業部 統括部長 酒井賢治さん
酒井さん: もともと私は名古屋営業所に勤務していたのですが、その当時の名古屋の事務員さんが、最多の取引先である元請企業様をはじめとする複数の元請企業様との受発注業務をしっかりと回してくれていました。写真の登録なども含めて、事務員さんの地道な努力のおかげです。ですから、この賞は私個人というよりも、毎日真摯にシステムを使って支えてくれている事務員さんたちみんなの努力でいただくことができたものだと思っています。
──事務員さんへの全幅の信頼が伝わってきます。関東から仙台まで広いエリアの組織を率いる統括部長の酒井さんからご覧になって、ご自身の具体的なお仕事内容や、これまでの歩みについて教えてください。
酒井さん: 当社には2010年に入社して16年目になりますが、前職はキッチンメーカーの営業でした。2025年6月に関東へ異動してきてからは、関東・神奈川・仙台の営業部計10名をまとめる管理職を担っています。
私の普段の役割は、自らは現場へ直行せず、事務所のパソコンの前から、広大なエリアで同時並行で動く案件の工程を確認しています。
──関東支店全体で月間に請け負う件数や、対応されているエリアはどのくらいの規模になるのでしょうか。
酒井さん: 関東支店の事務所全体で、月間約270〜280件に及ぶ案件が稼働しています。工事の割合としては、当社は新築工事を主軸に置いており、売上や施工の9割が新築一戸建ての断熱工事となっています。リフォームの割合は10%もあるかないかというバランスですね。職人さんたちは1日に3〜4現場を掛け持ちし、東京、千葉、埼玉、神奈川、群馬、茨城、栃木と関東圏全域を1日200〜300キロも車で走り回っています。彼らが現場で迷わないよう、施工日数を正確に読み解き、効率的に移動いただくための割り振りと進捗コントロールを、デスクの前から一手に引き受けています。

──これほど多くの現場の進捗を管理され、職人さんの適正な配置や割り振りを考えるにあたって、酒井さんご自身は普段どのようにANDPADを使いこなしていらっしゃるのでしょうか。
酒井さん: 私自身がANDPADで直接お取引先様にメッセージを頻繁に送信したりすることはほとんどありません。基本的には、支店全体のメンバーや職人さんたちの動きを正確に把握し、適切に管理するためにANDPADを確認しています。
気密・防水を一括で担う多角的な強み
──全体の進捗をコントロールされているのですね。それでは、貴社が提供されている断熱工事の強みについて詳しく教えてください。
酒井さん: 当社が提供している現場発泡ウレタン断熱材は、壁に直接吹き付けることで、断熱・気密・結露防止・遮音を同時に、かつ高いレベルで確保できる独自の強みを持っています。機能性と費用のバランスが工務店様や販売店様、そしてお施主様にとって最も使いやすく出しやすい選択肢に位置していることが、需要の拡大を後押ししているのだと思います。

酒井さん: また、当社は資材の在庫を自社で確保し、施工までを一括して請け負っています。現在、大工さんの平均年齢は60歳を超えつつあります。体力的にも非常に厳しい中で、昔のようにすべての断熱材を大工さん自身が手作業でカットして壁にはめ込んでいくのは途方もない負担です。
私たちが断熱ウレタン施工を専門職として切り離して引き受けることで、大工さんは本来の木造仕事、つまり窓枠の取り付けやボード打ちといった専門の作業に専念できる環境を作れています。この分業化を進めることが、大工さん側の作業負担を減らせているのではないでしょうか。
さらに当社では、ウレタン現場発泡工事だけでなく、気密測定や全館空調機器の販売、屋根の防水シートの販売、住宅機器保証の代理店業務、さらには洗面化粧台やユニットバスなどの水回り製品販売や防水工事に至るまで、住まいの品質を高めるための多角的な事業を展開しています。(※)
(※)同社ホームページよりhttps://www.foam.co.jp/images/guide/guide.pdf
──ウレタン吹き付け断熱工事ならではの現場のプレッシャーや、施工管理における難しさはどこにありますか。
酒井さん: 一番の天敵は、雨ですね。私たちの工事は、住宅の上棟後、骨組みが立ってすぐ(約2週間後)というかなり初期の段階で現場に入ります。骨組みが建つ前の基礎工事の段階で雨が降って基礎が打てなくなれば、それだけで全体の工程が後ろにずれてしまいます。
断熱工事が遅れてしまうと、その後の工程に控えているクロス工事をはじめとした全ての職人さんたちの動きを止めてしまいます。元請企業の監督さんからも「この日に確実に入ってください」とピンポイントで指定されることが多いので、非常に大きな緊張感と責任を持って日々対応しています。
──わずかな遅延も許されないのですね。実際の施工期間はどのくらいなのでしょうか。また、その品質を組織として標準化するための具体的なプロセスについても教えてください。
酒井さん: ビルやマンションなどの大型建築になれば1週間から1カ月かかることもありますが、通常の木造住宅であれば、わずか1〜2日という非常に短い工期です。一度吹き付けて壁を閉じてしまえば、後から手直しすることが一切効きません。まさに現場一発勝負の高度な専門性と、施工を収め切るプロの技術が要求される工程です。

酒井さん: 現在、関東支店には実習生も含めて22名ほどのスタッフが在籍しており、社内の職人も12〜13人ほどいます。社内職人と協力会社様が一体となり、施工を行っています。元請企業の監督さんは、吹き付けが正しく行われたか、厚みがしっかりと保持されているかを証拠として確認したいわけです。職人が現場で撮影した施工前後の写真を、翌日までに確実にANDPAD上にアップし、報告・共有することで、高い施工クオリティを組織として標準化しています。
10名の営業担当者を率いる管制塔と、チームを育てる段取り
──これほど徹底された施工体制と品質管理があるからこそ、大きな信頼に繋がっているのですね。現在、建設業界が直面している人手不足への危機感について、全体を見渡す立場からどのように捉えていらっしゃいますか。
酒井さん: 若い職人さんが入ってこない、業界全体の高齢化が進んでいるという現実には非常に強い危機感を持っています。だからこそ、先ほどお話ししたような「職人さんの手を絶対に止めない」ための段取りや、大工さんの負担を減らす分業化の仕組みが、業界の持続可能性において決定的な意味を持つと考えています。当社はそうした厳しい環境下にあっても、供給力と施工品質を強みに、着実な成長を続けてきました。2004年度の施工件数3,197件、売上高約7億円という規模から、2024年度には売上高70億6,000万円、年間施工件数1万9,820件(約2万件)に達するまでの組織へと拡大しています。

──20年で売上高が10倍に成長しているのは驚異的です。近年は省エネ基準適合の義務化など、断熱を巡る国の施策も追い風になっていますか。
酒井さん: 全建築物への省エネ基準適合義務化など省エネ基準引き上げ(※)が加速する今、断熱性能は住宅の資産価値と快適性を決定づける要になったと言えます。この国の施策や市場環境の変化が、当社の需要拡大を強力に後押ししているのだと思います。

──業界全体が抱える人手不足の状況下において、知識や経験が浅い若いメンバーであっても、確実に施工するために、酒井さんが教育面で徹底しているルールはありますか。
酒井さん: 「仕事は段取りが8割」というのが、大切にしている信念です。断熱の専門知識が浅い新人や若手であっても、現場を正しくおさめることができるよう、施工の1週間前に現場監督や大工さんと綿密な「現場調査」を行うことを徹底指導しています。事前に図面から現場の納まりを正確に読み解き、1週間前に先回りの打ち合わせをして段取りを完璧に整えておきます。近隣に別の現場があればその足で向かうなどして、必ず先回りの打ち合わせをします。
この管理プロセスをチームの教育の土壌へと落とし込んでいるからこそ、若いメンバーたちも、現場の回転率を落とすことなくノーミスで案件を担当し続けることができています。現場作業において「職人さんの手を絶対に止めない」というのは、私たちの鉄則ですね。
前編では、同社の成長の軌跡とともに、酒井さんが全体を俯瞰して差配する役割から、どのように月間約300件に及ぶ数多くの案件の進捗を管理されているかをお伝えした。
事務員の皆さまによる真摯なシステム運用をはじめ、住まいの品質を高める多角的な事業展開、先回りの段取りといった地道な取り組みが、同社の安定した施工品質と歩みを支えている。
続く後編では、日々の業務における負担感を軽減する情報の一元化や、同社が大切にされている写真登録のルール、運用の統一、そしてANDPADへのさらなる期待について詳しく紹介する。
| URL | https://www.foam.co.jp/ |
|---|---|
| 代表者 | 谷﨑 孝 |
| 設立 | 1998年 |
| 本社 | 愛知県長久手市片平1丁目1105番地 |














