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新築、建て替え、リフォームとニーズはさまざまですが、エンドユーザーに共通するのはインターネットを通じて熱心に情報収集していること。このため、建築業界でもホームページ(HP)の内容をいかに充実させるかが大きな課題となっています。株式会社D-Gripシステムは、建築業界に特化したHP制作を行うIT企業です。2008年の創業以来、得意分野にターゲットを絞った活動を続け、1000社以上のHP制作を手がけてきました。急成長した要因はどこにあるのか、元大工という異色の経歴を持つ、同社代表取締役の宮坂嘉男氏に話を伺いました。
建設関連企業のみで1000社以上 そんな制作実績を誇るD-Grip社の強みとは
D-Gripシステムは、工務店をはじめとする建築業界に特化したホームページ(HP)制作を行っています。会社を設立した2008年以来、現在にいたるまで1000社以上の企業にサービスを提供してきましたが、その10年ほどの間に業界も大きく変わってきたように感じます。
D-Gripを創業した10年ほど前には、携帯電話でメールをやり取りすることさえも難しいと感じる方が建設会社や工務店には多かったように思います。しかし、現在にいたっては、スマートフォンを活用し、メールだけでなく各種アプリも自由に使いこなせる方が増えてきました。全体的にITリテラシーが格段に向上していると実感しています。
そんな流れもあり、建築会社におけるHPの取り扱いに関しても、「とりあえず作っておく」という時代から「HPを通じて確実に成果を出す」という風に大きく変化しています。こうした期待にいち早く応え、お客様の本質的な課題を解決する仕事を創業当初から心がけてきた結果として、1000社以上の会社にお声がけをいただけたのだと考えています。
そんな我々が最も大切にしているのは、誰に対しても「誠実であれ」ということです。精一杯努力したにもかかわらず、トラブルやミスが生じることはあります。しかし、その時の対応として、言い訳や嘘でその場を凌ぐようなことをしてしまえば、D-Gripに期待していただいたお客様の期待を大きく裏切ることになります。そのような対応をされたお客様はもう二度とD-Gripに仕事を依頼することはないはずです。このため、社員採用の面接時などでも「ウソをついたらクビ」と伝えています。幸い、まだ1人もクビにしたことはありませんが(笑)。
当然ながら、HP制作の現場においても、この方針を貫いて仕事をしてきました。1000社という実績のうち、その6~7割は「HP制作ならD-Gripが良いよ」といった紹介経由でご依頼いただいた仕事になります。今後も方針はブラさず、既存のお客様からの紹介が増え続けるよう努めていきたいと考えています。
さて、制作会社として「誠実であれ」ば、それで良いかというと、当然そうではありません。きれいなデザインで文字や画像を使ってホームページを見やすくするのは当たり前です。それをクリアした上で、どのような付加価値を提供できるのかといったポイントにフォーカスしてきました。そのような観点からD-Gripの成長要因を挙げるとすると、次の4点に要約できます。
①建築業界に精通していること
②現行HPの課題抽出ができ、修正点を提案できること
③ITおよび業界の最新情報を提供できること
④HP制作にとどまらない多角的なサービスを提供できること
では、これら4点について詳細をご案内させていただければと思います。
まず一点目、当社が建築業界に精通している理由についてですが、実をいうと私自身がもともと大工をしており、さらには工務店経営の経験があったことによるものが大きいです。10代より大工として経験を積んだ後、30歳手前で独立し、工務店とD-Gripの2社をほぼ同時期に立ち上げました。D-Gripへのご依頼が多かったことなどの諸事情もあり、工務店の方は経営譲渡し、それからはD-Grip一本に絞って全力を注いでいます。私には、「最大のパフォーマンスを発揮できるのは得意な分野のみ」という信念があります。工務店の経営者として私自身がお施主様と接した経験を活かし、これから家を建てようと考えている方々は、どのようなことに興味があり、特に何を知りたいのかといった点を最大限考慮して提案を行なっています。工務店や建設会社側の一方的な想いだけをホームページ上などで展開したとしても、エンドユーザーの心には響きません。各会社が見せたいものとユーザーの見たいものが一致したHPを制作することで、はじめて成果は上がります。当たり前のことのように思われるかもしれませんが、実際にはホームページが出来上がる過程において、いつのまにかデザインなどが優先されてしまい、ギャップが発生してしまうことが多い気がします。
二点目の課題抽出とその修正についてD-Gripがご提案できるのは「PDCAサイクル」を高速で回すことです。PDCAは「Plan=計画」「Do=実行」「Check=評価」「Action=改善」の頭文字をつなげた言葉となりますが、このサイクルを繰り返し実行することによって成果を改善していくことができます。より具体的な話をすると、既存のHPについてコンテンツごとにアクセス状況を分析し、数値が低いポイントを洗い出し、どのように変化・修正を行えば成果を改善できるのかといった提案をデータに基づいて行なっていきます。
三点目、最新情報の提供というのは「家を建てようとするお客様の興味はどこにあるのか?」「建築関連で一番検索されているキーワードは何なのか?」といった情報をできる限り共有させていただくことです。先述したとおり、D-Gripには建設業界のリーダーとなる企業をはじめ、数多くのお客様がいます。そのため、「まさにこれが旬」といったユーザーの動きに関するような情報も数多く入ってくるのです。HP制作の現場では、これらの情報が基準となるため、その基準を満たせないと思われるデザインやコンテンツでホームページを制作されているお客様には、遠慮なくD-Grip側からダメ出しを行い、改善点を提案させていただいています。
また、そこで終わらせておけば良いのですが、時には各会社の店頭や店内の清掃が不十分であったりするのを見かけると、ついつい「このスペースはお施主様との打合せに適していません」「このような店舗では夢など買えません」などとご指摘してしまうこともあります。余計なことだと感じられてしまうこともあるかもしれません。しかし、それはエンドユーザーを熟知しているという自負からくるものであり、成果を出すことにコミットしようとする姿勢からくるものだと理解していただけると幸いです。
最後の四点目、多角的なサービスの提供というのは、HP制作以外で当社から提供している各種サービスのことです。折り込みチラシ、のぼり、看板、イベント時に配布するノベルティなどのデザインを行なっています。その他、建設・建築に関連する情報を「デンタツ」という名称で毎月1回メール配信しています。各会社が独自の視点でその内容を簡単にアレンジし、それぞれのブログやSNSなどに掲載すれば、エンドユーザーからの注目を集めることもできるのではないでしょうか。
ホームページは集客手段の一つでしかない 成果につながる様々な方法を提案することが役割
幸いなことに、既存お客様からは「想定以上の集客を実現できた」であったり「問い合わせが急増した」であったりという言葉をいただきます。HPの内容を少し変更しただけで売上が急増した会社もあります。われわれの仕事の成果が結果として現れるのはとても嬉しいことです。しかし、昨今のユーザーやマーケットの状況を考えると、HP制作だけに注力してさえいれば売上もアップするという時代ではなくなりました。例えば、リフォーム市場の顧客は50代以上の高齢者が中心となっているため、HPだけで集客するのは難しいはずです。ポスティングや看板、OB客のフォローといった施策に注力したほうがいいケースもあるでしょう。そのような場合、D-GripはHP制作にかかるコストを削減し、その分を他の販促方法に回すことを提案します。HP制作は集客効果を高めるためのピースの1つです。HP制作だけでなく、各企業が期待する最大の成果を考え、最も効率のよい販促方法は何かという点をお客様と一緒に考えて提案することが当社の役割だと考えています。
顧客と会社がWIN-WINになるように 広報担当者を育成する
従業員数が10人前後の工務店や建設会社では、専任の広報担当がいないのが普通です。HP制作の過程で、PDCAサイクルを回す提案などを行なっていきますが、各企業の広報担当(HP制作担当)が営業や事務などを兼任している場合、HP掲載用素材の受け渡しやSNSでの告知等で遅れが発生してしまい、最大の集客効果が得られないことがあります。広報に関する業務を外部に頼る会社もありますが、このような仕事は社内の人材を活用した方が様々な要因からコスト面でも有利に働くことが多いはずです。
D-Gripでは、各企業の広報担当にまだ十分な経験がない場合、その方がスキルアップできるような支援も行なっています。じっくりと半年ほどの時間をかけて効果的な広報の手法やコツなどをお伝えし、日報を通じて課題や反省点を振り返りながら業務を進めていただくと最終的にはとても驚くような効果をもたらしてくれるほどに成長するケースもあります。このような仕事をコンサルタント業のようだと称していただくこともあります。大変うれしく感じる一方で、コンサルタントという言葉にはどこか「上から目線で難解な専門用語を並べたて、短期的な提案をする」といった悪いイメージを持たれている方も多いように感じます。D-Gripは、常に誠実であると同時に、お客様にファンになっていただくこと目指しています。そのためには、D-Gripにとって短期的な利益増を目指すというやり方ではなく、お客様と一緒に生涯価値を高めるような提案をしていくことを目標としています。お客様と誠実に向き合い、ご要望に沿った成果を出し、リピーターになってもらう。これこそがWIN-WINの関係だと考えています。