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オオトリ建設|未経験から「検収」を担う存在となった軌跡〜前編〜

「地域に価値を残す建設」を掲げる工務店。データ活用と現場へのリスペクトで拓いた未経験からの挑戦

目次

  1. 「地域に価値を残す建設」を叶えるため、お客様に寄り添い続ける東海エリアの工務店
  2. 「仕事を楽しむ」から始まった異業界からの挑戦
  3. 未経験から検収作業を担うまで——挑戦と成長を後押しした高め合う組織風土

ANDPADの利用状況をデジタルにスコアリングし、ANDPADを最も使っているユーザーを称賛するANDPAD AWARDのユーザー部門。今回は、「ベスト受発注ユーザー賞-発注-」で全国第2位を受賞した、オオトリ建設株式会社 工務部の山田裕子さんにお話を伺った。

2006年に創業したオオトリ建設株式会社は、愛知・岐阜・三重の東海エリアを中心に、高気密・高断熱と耐震等級3(※)を誇る快適で安心な家づくりを展開する地域密着の工務店だ。「家族の笑顔が絶えない家」を追求し、年間100棟以上の注文住宅を手掛けるほか、近年では店舗や介護施設といった非住宅領域にも進出し、2026年で設立20周年という大きな節目を迎えている。

同社が何より大切にしているのは、お客様に徹底的に寄り添う姿勢と、部署の垣根を越えて助け合うワンチームの組織風土だ。現場監督が施工管理やお客様対応へ専念できるよう、バックオフィスによるサポート体制を強化するとともに、ANDPADを活用してキャッシュフローなどの可視化も推進。人とデジタルが融合した盤石な体制こそが、近年の事業の多角化と成長を下支えしている。

そのサポート体制の要として活躍するのが、工務部の山田さんだ。リラクゼーション業界のエリアマネージャーという異業界からの転職で、前職で培った組織管理の知見を土台に、建築の専門知識を吸収され、ANDPAD受発注の活用度において全国2位に輝いた。本記事では、未経験の山田さんが現場の信頼を獲得し、受発注全国2位へと躍進を遂げた軌跡に迫る。

(※) 耐震基準には「仕様規定」という決まりの上に「性能表示計算」「構造計算」の2つの計算方法が存在します。仕様規定は国が定める最低限の基準、性能表示計算は長期優良住宅や多くのハウスメーカーで使われる基準、そして最も規定項目の多いのが構造計算です。オオトリ建設の家では、全棟構造計算を行い、耐震等級3を獲得しています。

参照:https://www.ootori8.com/earthquake

「地域に価値を残す建設」を叶えるため、お客様に寄り添い続ける東海エリアの工務店

――「ANDPAD AWARD 2026 ベスト受発注 -発注-ユーザー賞」2位受賞、おめでとうございます!まず、貴社について教えてください。

山田さん: 当社は愛知・岐阜・三重の東海エリアで、年間100棟以上の注文住宅を手掛けるほか、リフォーム・リノベーションや、近年では店舗や介護・福祉施設といった木造の非住宅建築を手掛ける地域密着の工務店です。

2006年4月の設立で、2026年で20周年という大きな節目を迎えます。社員数は51名で、名古屋の本社オフィスをはじめ、モデルハウスやスタジオといった拠点を展開しながら、「地域に価値を残す建設」という考え方のもと事業を展開しています。 

――20周年を迎えられたのですね。長年地域で支持され続けてきたなかで、会社として大切にされている家づくりの想いについてお聞かせください。 

山田さん: 会社として大切にしているのは「家族の笑顔が絶えない家」をつくることです。単に住むための建物を提供するのではなく、ご家族が集まって楽しく過ごし、温かい思い出を重ねていける空間であってほしいという強い想いがあります。だからこそ、お客様とのコミュニケーションを何より大切にし、お客様の気持ちをしっかり汲み取りながら、プロとしての視点で理想の暮らしをご提案することを心掛けています。


オオトリ建設株式会社 工務部 山田裕子さん

――性能におけるこだわりも非常に強いと伺いました。

山田さん: 住宅の性能面では、快適性、耐震性、耐久性の3つにこだわっています。

快適性の面では、1年中快適に過ごせる高い断熱性・気密性を追求しています。断熱性能はHEAT20のG1〜G2レベルを有しており、気密性を示すC値は0.7(±0.2)(※1)を自社基準として設定しています。この高い断熱性・気密性によって冷暖房効率が飛躍的に高まり、日本が推奨する基準値の住宅と比べても1カ月の光熱費を約1万円節約(※2)できる住まいを実現しています。

(※1) 住宅の気密性はC値(相当隙間面積)という指標で表され、床面積あたりの隙間面積を示す。C値の数値が小さいほど、隙間が少なく気密性に優れた住宅となります。

(※2) https://www.ootori8.com/insulation

――東海エリアは南海トラフ地震の発生も懸念される地域ですね。耐震性や耐久性についても教えていただけますか。

山田さん: 耐震性に関しても非常に重きを置いています。当社では、全棟で構造計算を実施し、最高ランクである耐震等級3を獲得しています。さらに、制震装置を標準仕様にすることで、繰り返しの地震による建物へのダメージ蓄積を最小限に抑える工夫をしています。

また耐久性においても、土台には強いヒノキ材を採用し、ホウ酸処理による防蟻・劣化対策を施しているほか、外装材には耐久性と意匠性に優れたSGL(※)、透湿防水シートには50年相当の耐久テストをクリアした製品を採用しています。

(※) Super GalvaLume。ガルバリウム鋼板を改良させたメッキ鋼板。サビに強く、ひび割れしにくいのが特徴

――お引き渡し後のアフターメンテナンスも充実した体制を整えておられるとお伺いしています。

山田さん: 引き渡し後の定期点検は「半年、1年、2年、5年、10年、以降10年ごと」というサイクルで継続的に行っています。急なメンテナンスやトラブルが発生した際にも、スピーディーで手厚いフォローが届くよう、施工エリアは片道2時間圏内に絞って地域密着体制を徹底しています。

――近年注力されている非住宅分野やリフォーム事業についても教えていただけますか。

山田さん: 店舗や医療施設、福祉施設など幅広く対応しており、木造ならではの温かみと高いデザイン性を生かした空間提案を行っています。現在は代表を軸に現場を回しており、地域の暮らしや産業を支える建築を通して価値を残せるよう、事業領域を拡大しています。

一方リフォーム事業に関しては、これまで建てていただいた既存オーナー様からのご紹介を中心にお受けしています。お引き渡しして終わりではなく、永続的な関係性とメンテナンス対応を徹底することを軸に据えているからです。

「仕事を楽しむ」から始まった異業界からの挑戦

――山田さんのご経歴についてお聞かせください。貴社にはどのような経緯で入社されたのでしょうか。

山田さん: 前職は全国展開するリラクゼーション業界の会社におりまして、店舗勤務を経て、最終的には約50名のスタッフをマネジメントするエリアマネージャーを務めていました。予実管理や店舗運営、お客様対応などさまざまな経験を積ませてもらいました。

ただ、娘がまだ小さかったこともあり、育児と仕事をしっかり両立できる環境を暮らしの土台にしたいと思い、転職を考えるようになりました。エリアマネージャーの仕事も非常にやりがいがありましたが、休日の急な対応や不定期なスケジュールも多く、家族に心配をかけてしまっていたんです。

――そこからなぜ、建築の分野に興味を持たれたのでしょうか?

山田さん: もともと自分の家の間取りを考えることが好きだったんです。そのため、働き方を見直そうと決意した際、「せっかくなら、自分が好きなことや興味を持てる住宅に関わる仕事がしたい」と思いました。

転職先を探す中でオオトリ建設のホームページを見たとき、代表の「まず、仕事は楽しんでやってほしい。その先にお客様の笑顔や満足につながる」という言葉が深く心に刺さりました。私自身、楽しいということは夢中になれることだと思っています。夢中になるからこそ興味が広がり、もっと知りたい、学びたいという気持ちが生まれて自分の知識や経験になっていく。そうやって仕事を楽しめる環境で働きたいと思い、入社を決めました。

――「楽しい=夢中になって学ぶ」という思いが、未経験から飛び込む原動力になったのですね。現在、山田さんはどのような役割を担われているのでしょうか。また、1日の業務の流れについても教えてください。

山田さん: 現在、私が所属する工務部は11名の体制です。現場に出て施工管理やお客様対応を行う現場監督が9名、現場の安全や清掃ルールなどを守る品質管理担当が1名、そしてバックオフィスからサポートを行う私が1名となっています。品質管理の担当者は、自社ルールが守られているかをチェックするため、毎日エリアごとに現場を4〜5件巡回しています。

私の役割は、現場監督が現場での施工管理やお客様対応に専念できるよう、バックオフィスから各種手配や受発注管理を一手に引き受ける「現場の裏方」です。

1日の仕事は、朝一番の連絡確認から始まります。チャットツールやメール、FAXなどを確認し、全現場の状況や連絡事項を把握します。その後、道路使用許可や瑕疵保証の申し込み、各種検査の依頼、クレーン車やガードマンの手配、受発注管理、定期点検やアフターメンテナンスの依頼対応などを、全体の工程表を見ながら先回りして手配し、現場が滞りなく進むようサポートしています。

――多くの業務を担いながら、見事に管理されていて、本当に素晴らしいです!「現場の裏方」としてお仕事されるなかで、どんなときにやりがいを感じますか?

山田さん: ありがとうございます。私は自分の役割を、野球で言えばホームランバッターのような派手なポジションではなく、チームを陰で支えるスコアラーだと思っています。私自身、工事中にお客様と直接お会いしてお話しする機会はほとんどありません。それでも、私が先回りして手配や管理を行うことで、現場監督の仕事がスムーズに進んだり、業務の効率化につながったりしたときに「誰かの役に立てた」と大きなやりがいを感じます。

また、ANDPAD引合粗利管理(※)を導入してからは、実行予算と発注金額の明細が可視化でき、会社全体で利益やコストに対する意識が高まりました。お引き渡し前の振り返り会で現場監督と発注金額や実行予算の確認を行う中で、現場監督たちのコスト意識の高まりや成長を間近で感じられることも、私にとって大きなモチベーションになっています。

(※) 同社では、2024年からANDPAD引合粗利管理も導入している。

未経験から検収作業を担うまで——挑戦と成長を後押しした高め合う組織風土

――現場のサポート業務からスタートされ、今では工事写真をもとに完了判定と支払いを通す「検収作業」まで対応されています。専門知識が必要とされる難度の高い業務ですが、未経験からどのように知識を身につけ、検収を担えるまでに成長されたのでしょうか?

山田さん: 入社当時は、本当に右も左も分からない状態でした。図面の見方も分からなければ、現場監督や職人さんが話している専門用語すら理解できず、「〇〇図面って何だろう?」というレベルからのスタートだったんです。そんな状況が変わるきっかけになったのが、ANDPADの導入でした。ANDPADの日報に工事写真が集約されるようになり、学びの環境が一気に整ったんです。

それからは、日報に届く写真を1件ずつ自分の目で確認し、「この写真はどこの何の工事だろう?」と分からない点があればチェックしておきました。そして夕方に現場監督が帰社したタイミングで対面で直接質問する、というプロセスを毎日コツコツ積み重ねていきました。

――ANDPADが山田さんの成長を後押しできたこと、私たちとしても大変嬉しく思います。そのなかで、対面で直接聞くことにこだわられた理由は何でしょうか。

山田さん: 現場監督は日中、現場での指示出しやお客様対応で本当に忙しく働いています。作業中に電話をかけたりチャットで何度も確認したりすると相手の時間を奪ってしまいますし、現場監督へのリスペクトを欠いてしまうと思ったんです。

だからこそ、監督が夕方に帰社したタイミングを見計らい、写真を見せながら「今日のこの写真は引き込み工事が終わった状態ですか?」などと対面で確認するようにしました。自分の建築知識を増やすための学びの機会にすると同時に、直接対話することで現場監督たちと仲良くなり、コミュニケーションを取りながらモチベーションケアを図る意図もありました。

また、さまざまなデータがANDPADに集約されていたからこそ未経験の私でも対話の質と質問の精度を高め続けることができ、検収作業までを任せてもらえるようになったのだと感じています。

――ANDPADのデータ活用と現場へのリスペクトがあったからこそ、学びと信頼を重ねて検収作業まで任されるようになったのですね。そうした山田さんの挑戦を後押ししたのは、貴社の社風や行動指針の影響も大きかったのでしょうか。

山田さん: まさにその通りで、会社の風土や行動指針には本当に助けられてきました。当社には、仕事を進める上で大切にしている3つの信念があるんです。

1つ目は「認め合う」こと。自分が出来ること・出来ないことを自覚し、仲間がお互いの役割や強みを理解して認め合うことです。

2つ目は「支え合う」こと。設計や施工、管理など役割が分かれる中で、任せっぱなしにするのではなく、チーム全体で課題の解決に向かう姿勢です。

3つ目は「高め合う」こと。何か失敗やミスがあった時も誰かを責めるのではなく、未来に向けた改善を繰り返し、個人とチームのスキルを引き上げていく文化です。

当社は社員もパートさんも含めて全員が「いい家をつくる」という同じ目標を向いていて、分からないことがあればすぐに教え合い、困っている人がいれば自然と手を差しのべる温かさがあります。このオープンな風土とチームワークがあったからこそ、未経験の私でも引け目を感じることなく挑戦し、成長することができたのだと思っています。

――ANDPADのデータ活用と温かな組織風土のなかで、未経験から成長されてきた歩みが本当に素晴らしいです。今回の受賞についてのお気持ちもお聞かせいただけますでしょうか?

山田さん: 最初にお話をいただいた時は、本当にびっくりしました! そして同時に、とても嬉しい気持ちが込み上げてきました。私は異業種からの転職だったため、入社当時は建築の専門知識が足りないことに引け目や不安を感じる場面もありました。ですが、「知識が足りない分、これまでの管理能力や対話力を活かして、導入したシステムを定着させていこう」と意識して取り組んできました。

今回の賞は、私一人の力ではなく、日々ご協力いただいている協力会社様や現場監督をはじめ、周りの方々の支えがあったからこそいただけたものだと思っています。改めて感謝の気持ちでいっぱいです。

また、私には高校生になる娘がいるのですが、車で当社のオフィスの前を通るたびに「ママの会社、おしゃれでかっこいいよね」「ここで働いていてすごいね」と言って自慢に思ってくれています。私が楽しそうに働いている姿を、子どももしっかり見て応援してくれているのが本当に嬉しいですね。

異業種から建設業界へ挑戦し、オオトリ建設の現場をバックオフィスから支える山田さん。知識ゼロからスタートしながらも、ANDPADに集まるデータと現場監督との対話によって検収作業までを担う存在へ成長を遂げた。その根底には、個人を責めずに高め合う同社の温かいチームワークが存在している。

後編では、約150社に及ぶ協力会社を巻き込んだANDPAD受発注の定着プロセス、「着工前発注率93.15%」を実現する運用ルール、そして引合粗利管理がもたらした現場監督のコスト意識改革などについて、さらに詳しく掘り下げていく。

オオトリ建設株式会社
URLhttps://www.ootori8.com/
代表者木下 昌俊
設立2006年
本社
愛知県名古屋市中川区富田町榎津布部田485-1
企画・取材: 平賀豊麻
執筆・編集: 山脇皓一朗
デザイン: 横井香南、岩佐謙太郎
お客様担当: 加藤駿
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