文字サイズ
小
中
大

SOUSHINホールディングス|バックオフィスから新たな価値を創造する「SBO」の挑戦〜Vol.2〜

職人を守り、現場の可能性を広げるパートナー支援とDXの取り組み

目次

  1. 建設業の基礎を再定義。現場の可能性を広げる「株式会社SBO」設立の背景とミッション
  2. 協力会社を大切に。業界課題「事業承継」と「人手不足」に挑むSBOの支援策
  3. 作業をなくし、考える時間を創出。「一元管理」に向けた泥臭い伴走

北海道を拠点に、建設と金融を掛け合わせた独自の「地域再創事業」を展開する株式会社SOUSHINホールディングス。Vol.1では、その多角的なまちづくりの全貌を紹介した。

続くVol.2では、同社のダイナミックな事業展開と現場を根底から支えるバックオフィス部門「株式会社SBO」に焦点をあてる。建設業界が抱える「事業承継」や「人手不足」といった深刻な課題に対し、同社は管理部門としてどのようにアプローチしているのか。現場の事務作業を徹底的に省力化し、職人や協力会社を守り抜くための攻めのバックオフィスの姿と、ANDPADを活用したDX推進のリアルに迫る。

妹尾 聡氏
株式会社SOUSHINホールディングス 専務取締役
電気工事士として働く父の影響で建設業界に興味を持ち、大学卒業後、現SOUSHINホールディングス代表・岡田氏や、創伸建設 常務取締役・佐藤氏と同じ大手ゼネコンに入社。事務職として入社後、現場支援や復興工事に携わりながら約10年間勤務。2022年に創伸建設へ参画。現在は、ホールディングスの専務取締役および、バックオフィス事業を担う株式会社SBOの代表取締役を務めている。
 

建設業の基礎を再定義。現場の可能性を広げる「株式会社SBO」設立の背景とミッション

2025年、創伸建設の管理部が分社化し「株式会社SBO」が設立された。「Soushin Back Office」を社名の由来とする同社は、企業活動を裏側から支える縁の下の力持ちという従来のバックオフィスのあり方を、建設業の基礎として再定義。企業の成長を力強く牽引する部門へと脱皮させることを目指している。

同社の設立の根底には、専務取締役である妹尾さんが前職のゼネコン時代に現場で感じた、バックオフィスの大きな可能性への確信がある。

妹尾さん: 前職のゼネコンでは事務職として、東日本大震災の復興工事現場など最前線で所長や現場監督、職人さんたちを支援していました。「現場の第一線で頑張っている方々の力になりたい」という思いがずっと原動力としてあり、所長を自分のお客さんとして捉え、いかにファンを増やすかを考えて仕事をしていましたね。マイヘルメットやマイ安全靴を持参して現場に通い詰めるうちに、現場監督さんや職人さんから「妹尾さんじゃなきゃ話せない」と言われるまでの人間関係と信頼を築くことができました。

株式会社SOUSHINホールディングス 専務取締役 妹尾聡さん。株式会社SBOの代表取締役も務める。

妹尾さんは前職での経験から、「自分一人で建物を建てることはできないが、裏で支える人間がいれば、現場や職人さんの可能性はどこまでも広がる」という、バックオフィスの本質的な存在意義を確信したのだという。

同社が掲げるミッションは、「一番近くで、一歩先へ」。この言葉の裏には、30年間にわたり愚直に創伸建設の財務や事務を支え続けてきた、現会長の妻である計子さんの姿に対する深いリスペクトがある。地元でものづくりを支えてきた人々の足元を、バックオフィスから守り抜くというSBOのカルチャーの原点だ。

妹尾さん: 私は、SBOの創業者は、会長のそばで30年間ずっと連れ添い、会社を支え続けてきた奥さまの計子さんだと思っています。計子さんの背中から「きっとこういう想いで会社を守ってこられたのだろう」と深く感じ取り、私がその想いを引き継がせていただきました。社員たちにも同じ想いを共有してほしいと考え、現在のミッションを掲げています。

さらにSBOは、ビジョンとして「バックオフィスから新たな価値を創造する」を掲げている。ホールディングスのコーポレート部門としてグループ会社の内部管理を行うだけでなく、“攻め”の役割も担うのが特徴だ。地域再創事業などでまちづくり会社を立ち上げる際、地域住民や出資企業との間で必要となる事務局業務などもSBOが引き受け、事業の推進を強力にバックアップしている。

現在、組織は「管理」「人事広報」「事業企画」「地域再創」「営業」「情報システム」の6つのグループで構成されており、社員の「人間力の育成」を何よりも大切にしているという。

妹尾さん: バックオフィスは、何か形あるモノを作っているわけではありません。私たちがお客様や現場と接する時間、提供するサポートそのものが価値になるため、人に対してしっかりと向き合う必要があります。そのためには、自分たちの人間力を高め、本当に「自分ごと」としてお客様に関わらなければなりません。社員には日々コミュニケーションのフィードバックを重ねながら、人間力の向上に努めています。

 

協力会社を大切に。業界課題「事業承継」と「人手不足」に挑むSBOの支援策

自社の協力会社とのパートナーシップを何より大切にする風土が、SOUSHINグループには根付いている。その背景には、「自社だけでは何一つ建物を建てることはできない」という現場への強いリスペクトがある。同社は第二創業時に「創伸建設パートナーシップ(協力会)」を立ち上げたが、代表の岡田さんには前職の現場所長時代から、協力会社を大切にする確固たる姿勢があったという。

妹尾さん: 岡田が創伸建設に入社して間もない頃、前職で繋がりのあった協力会社さんへ仕事を依頼した際、「岡田さんの仕事ならやるよ」と、信頼して受けてくれた会社さんがありました。そうやって看板も実績も少なかった頃から支えてくれた協力会社の方々が、今も創伸建設パートナーシップの役員を務めてくださっています。協力会社の方々が、当社の成長を一緒に喜んでくれるのが私たちも本当に嬉しいです。 

そうした協力会社への感謝と恩返しの思いから、SBOでは自社の協力会社に向けたバックオフィス支援サービスも展開している。経理・労務・法務などの企業運営基盤をサポートし、協力会社が本業に集中できる体制を整備することが目的だ。

この取り組みの背景には、建設業界全体が直面している構造的な課題への強い危機感がある。

妹尾さん: 全国の中小建設会社や専門工事業者において、「事業承継」や「後継者不足」は深刻な課題です。社長が営業や経理を一手に担っており、後継者となる現場の職人やナンバー2に経営事務の経験がないケースが非常に多いのです。もし社長が倒れたり急な事業承継が行われたりした場合、優れた技術や現場力があっても決算や財務の経験がなく、対応できないために黒字廃業に追い込まれ、技能を持った職人さんたちが建設業界から離れていってしまうという悲劇が起きています。SBOのバックオフィス支援は、そうしたリスクを未然に取り除き、職人さんと技術をそのまま地域に残すための「防波堤」としての役割も担いたいと考えています。

さらに同社は、地域の専門工事会社を悩ませる「人手不足」に対しても、直接的な支援を行っている。北海道の建設業界に特化した求人サービス「X_CONSTRUCTION(クロスコンストラクション)」の展開だ。

妹尾さん: SBOを立ち上げた理由の一つに、協力会社さんを支援したいという想いがありました。各社に足を運んでお話を伺っていると、「求人媒体にお金を払っても若手が採れない」という人手不足の悩みが必ず共通課題として挙がります。この問題を解消するため、現在は自社の協力会社さんを主な対象に、X_CONSTRUCTIONを通じて採用広報をアウトソーシングで引き受け、求人票の作成から選考オペレーションまでをSBOが伴走支援しています。

求職者がLINEを通じて手軽に最新情報を受け取り、検索や応募ができる仕組みを整備。職種や地域に合わせた最適な求人を紹介することで求職者の不安を軽減し、企業にとっても効率的な人材確保を可能にしている。

「X_CONSTRUCTION」のホームページ。北海道の企業に絞って求人を探すことができる。(HP: https://xconstruction.jp/)

同社では、現場環境の改善や建設業特有の「3K」のイメージを払拭するための独自の取り組みにも力を入れている。

妹尾さん: 地域の方々にとって建設現場が身近な場所になるよう、札幌で人気のパン屋さん「どんぐり」さんとコラボレーションし、建設現場へ「冷凍パン自動販売機」を設置しています。現場で働く職人さんのモチベーション向上やフードロス削減、地域の方々が立ち寄りやすい現場づくりを同時に実現しています。 

また現場の繁忙期には、職人さんに温かい食事を食べてもらえるよう、自社で所有しているキッチンカーを派遣することもあります。

作業をなくし、考える時間を創出。「一元管理」に向けた泥臭い伴走

SOUSHINグループの事業が多角化し、急成長を遂げる裏側で、管理部門を担うSBOでは新たな課題が生じていた。「原価管理の属人化」や「紙・Excelに依存した売掛確認」といった管理体制の限界である。

同社は2021年より現場業務でANDPADを利用していたが、これらの課題を抜本的に解決するため、2025年からは「ANDPAD引合粗利管理」「ANDPAD受発注」を新たに導入。見積もりから実行予算の作成、発注、そして支払査定に至る一連の業務プロセスを、ANDPAD上で一元管理する体制へと移行を進めている。

情報がシステム上で繋がることで、旧来の原価管理ソフトの制約や重たい入力作業から解放される。そのため、工事部の現場監督たちからも「実行予算の構築や状況把握が圧倒的に楽になる」と高い期待が寄せられているという。

しかし、現在は「まだ道半ば」だと同社は語る。この全社的なDX推進をリードしているのが、株式会社SBO 情報システムグループ 課長の関 倫啓さんだ。導入の壁を乗り越えるため、アンドパッドの担当者である小野寺と都築が伴走し、強力なサポート体制を敷いている。

関さん: 新しいシステムを現場に定着させるためには、どうしてもわかりやすい業務マニュアルが必要でした。そこでアンドパッドの小野寺さん、都築さんが、一緒に管理画面のスクリーンショットを貼り合わせたり、手作業で矢印を入れたり、本当に泥臭く伴走してくれたんです。

一緒に作っていただいたマニュアルを社内の説明会で配布し、「このマニュアルに沿って操作をしてください」と伝えることで、現場のメンバーに明確なゴールを示すことができました。説明会で出た質問は翌日にはマニュアルに追加してアップデートするなど、スピーディな対応にも協力していただきました。単なるツールの提供だけでなく、「どうやって現場に使ってもらうか」を理解し、一緒にゴールを作ってくれる姿勢は本当に力強かったです。

株式会社SBO 情報システムグループ 課長 関倫啓さん

ANDPADの活用による受発注の電子化やデータ連携を通じて、同社が目指している本質的なゴールはどこにあるのか。妹尾さんは次のように語る。

妹尾さん: 現場とバックオフィスの単純作業にかかる時間や二重入力を省力化することが第一の目的です。そして一番重要なのは、ツールによって浮いた時間で、現場監督はバリューエンジニアリングや品質管理に集中し、バックオフィスは現場を支えるための一歩先の提案と伴走する時間を創出することです。

営業や現場で働く人たちが、家に帰ってから夜遅くに事務処理をするような状態は無くすべきで、もっと楽になっていいと思うんです。省力化できる事務作業は、極論、無くなってしまってもいい。そしてバックオフィスは単なる「作業」をするのではなく、「自分たちが支えている人が何を求めているか」を考えることや、現場を導くことにこそリソースを割くべきだと考えています。だからこそ、ANDPADで受発注の電子化を進め、より作業を簡単にしていく必要があるんです。

ゆくゆくは自社で培ったバックオフィスのDXのノウハウを、地域の専門工事業者へ横展開していく構想を描いている。建設業界全体のパフォーマンス最大化と持続可能性を目指す展望だ。

左から、アンドパッド小野寺、関さん、妹尾さん、アンドパッド都築。創伸建設の事務所「TONTSUKI」(事務所の所在する「東月寒」の愛称)前で撮影した一枚。

SBOが推進するバックオフィスと現場のDXは、単なる業務の効率化ツールではない。それは、職人たちの技術と会社を未来へ残し、現場で戦う人々が安心して本来の仕事に没頭できるようにするための強固な土台である。

作業をなくし、生み出した時間で「一番近くで、一歩先へ」の提案を行う。このバックオフィスの変革こそが、SOUSHINグループの急成長と地域貢献を持続可能なものにしているのだ。

次回のVol.3では、これまでに培ったグループシナジーの真価と、「売上高1兆円」というさらなる目標に向けたSOUSHINホールディングスの新たな挑戦に迫る。

株式会社SOUSHINホールディングス
URLhttps://k-soushinhd.co.jp/
代表者代表取締役 岡田 吉伸
設立2025年
本社北海道札幌市豊平区月寒東4条18丁目2番6号
企画・取材: 平賀豊麻
執筆・編集:  金子結乃
デザイン:  森山人美、岩佐謙太朗
お客様担当: 小野寺裕也、都築峻
リンクをコピー
Facebook
X
【サイド】ANDPAD AWARD 2027 【サイド】ANDPAD AWARD 2026 20社まとめ記事 【サイド】APN 【サイド】DXトリセツ
  1. ホーム
  2. ゼネコン・オーナー
  3. SOUSHINホールディングス|バックオフィスから新たな価値を創造する「SBO」の挑戦〜Vol.2〜
  1. ホーム
  2. ゼネコン・オーナー
  3. SOUSHINホールディングス|バックオフィスから新たな価値を創造する「SBO」の挑戦〜Vol.2〜