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圧倒的紹介受注を維持し続ける、経営DXに迫るvol.2|古川製材株式会社

〜vol.2〜デジタル化に伴う社内の組織体制の構築

1919年に創業し、岐阜県飛騨高山エリアでトップクラスの新築住宅建築実績を誇り、幅広いエリアで事業を展開する古川製材株式会社。製材業にルーツを持ち、寒冷地ならではの地域特性を踏まえた性能とデザイン性が両立した家づくりは、業界からも注目されている。同社は断熱リフォームにも注力しており、地域に笑顔いっぱいの暮らしを提供し続けている。

今回は、代表取締役 倉坪 茂親さん、取締役 水本 善暢さん、工務部 部長 大矢 廣之さんに実施したインタビューを全3回でご紹介。Vol.1では、製材業から製販一体型工務店への業態転換した経緯、商圏やターゲットについて、同社がDXに取り組む背景と実現したいことについて伺った。Vol.2では、同社の強みである寒冷地の地域特性を踏まえた断熱リフォームについて、生産性を向上させるために行ったデジタル化に伴う社内の組織体制の構築について迫る。

倉坪 茂親氏
古川製材株式会社 代表取締役
2001年に家業に入り、2007年には注文住宅を手掛ける「望ほーむ」事業部を設立。2013年に四代目代表取締役に就任。2021年にNOZOMI GROUP HOLDINGS を設立。現在に至る。

水本 善暢氏
古川製材株式会社 取締役
ビルダーで現場監督及び設計業務を経験後、妻の実家の工務店で大工として活躍。2012年に同社に入社し、営業・設計・現場監督業務全てを担当。2019年より現職。

大矢 廣之氏
古川製材株式会社 工務部 部長
地場のゼネコンで17年間現場監督を経験する。父が地元の大工棟梁だった影響から住宅業界に関わりたいと思い、2013年同社に入社。現場監督として活躍後、2015年に部長に就任。同年からリフォーム事業を兼任し、現在に至る。

INDEX

 

寒冷地における断熱リフォーム年間売上3億円を実現

製材業をルーツに持ち、製販一体型工務店として成長を続けている同社は、寒冷地というエリア特性を踏まえて意識的に断熱リフォームに注力し、新築同様の高い断熱レベルを標準仕様にしている。また、住み心地に投資する価値があるかを顧客に理解してもらえるかどうかが断熱リフォーム提案の難しさでもあるが、同社は早くから体験型施設をつくり断熱性能を体感してもらう場を設け、セミナーや紹介接客などでも積極的に断熱リフォームを提案している。性能の高さだけでなく意識的に断熱リフォームの価値を伝えることが他社との差別化にも繋がり、同社の強みのひとつとなっている。

同社が手掛けるリフォームのほとんどはフルスケルトンの大規模改修であることから、大工工期は約2ヶ月、平均単価は2,400万円と、新築に匹敵するほどの高単価で、とあるコンサル会社が主催するリフォームの売上単価ランキングでトップを獲得したことも。基礎や構造材は既存物件のものを活用するため、サスティナブルな資材の活用でもあり、同じ規模の新築を建てるよりもリーズナブルに住み繋ぐことができる。財布にも環境にもいいソーシャルグッドな点も顧客から支持されるポイントだ。

大矢さん: 現状からの模様替えではなく、間取り変更という夢をお客様にご提供することができます。ウッドショックの影響で資材も高騰しているので、しっかりとした構造体が残っているのであればその分のコストは安くなりますし、エコにも繋がります

通常、リフォーム時の断熱というと簡易的な工事にとどまることも多いですが、それだけでは住み繋いでいくのに十分な住宅性能に高めていくことは難しい。クロスの張り替えであれば後からでも気軽にできますが、本格的な断熱工事となればそうもいきません。だからこそ、住宅性能を高めることで暮らしの豊さを提供したい。価格は当然上がってしまいますが、目に見えない品質も上げることで、ここで住んでいることの価値、豊かさ、暖かさ、幸せを感じていただきたいと考えています。

こうした豊かな暮らしを実現するための住宅性能を体感する施設として、当社は耐震・断熱・収納に特化したモデルハウス「丸ごとリフォーム」を2棟ご用意しています。築50年の断熱リフォーム展示場は2021年10月にオープンし、エアコン一つで暖かい家を体験していただけます。畳6枚分の壁はスケルトンにしていて、そこで耐震・断熱の施工見本をご覧いただけるようになっています。

また、住宅グリーンポイントなどの地方自治体や国からの補助金制度もしっかりと利用しながら、お客様と同じ感度で最大限のものを提供していきたいと考えています。

古川製材株式会社 取締役 水本 善暢氏(左)と、工務部 部長 大矢 廣之氏(右)

デジタル化に伴う社内の組織体制の構築

同社は、工務店として成長していく過程で品質も担保していくために、5年前からデジタル化を進め、生産性向上を図っている。それに伴い組織体制の見直しも行った。従来、営業や設計、工務それぞれの職種は同社が展開している4ブランドを横断して担当していたが、ブランドごとにナレッジが異なることや、細かな仕様の違いが多いためミスにつながりやすいという課題があった。棟数の増加に伴いその課題が顕著になったことから、責任範囲を明確にし、それぞれのブランドの仕様を熟知したスペシャリストが責任を持って対応できるよう、2年前からブランドごとに担当分けを行い、職責と職能の範囲を融合した組織設計にしている。

工事領域においては、現場監督、施工管理、工務事務の3つに細分化。監督業務の棚卸しを行い、現場監督は現場の品質管理及び安全管理業務、施工管理は工程及び原価管理、工務事務はサポート業務としてANDPADへの資料格納などルーティン化された業務を担当し、それぞれの役割を明確にすることによって生産性を向上させた。

大矢さん: 年間20棟前後の時までは最終図面の承認前にお施主様を交えて四者面談を実施していましたが、現在は年間棟数が75棟を超えておりお施主様との日程調整が難しくなってきたことから、営業・設計・現場監督の三者面談を行っています。工務事務も交えて図面に不備がないか現場目線で確認してからお施主様にご提出し、最終承認をいただくフローになっています。

また、住宅性能を担保するために、年に何物件かをランダムに抜粋して第三者機関による検査を実施しています。自社の検査のレビュアーとしての立ち位置で第三者検査に入ってもらうことで、そこで得た知見や検査基準をANDPAD検査に反映し、自主検査にも活かしています。自社だけではどうしても先入観で見てしまうので、第三者機関にしっかりと○×を判断してもらうことは非常に大切。こうした取組みによって、弊社は施工基準を高めています。

住宅性能を高めることで暮らしの豊さを提供したいという想いから、新築同様の高い断熱レベルを標準にした断熱リフォームを強みに、他社との差別化を図っている同社。新築価格に匹敵する大規模改修を手掛けることで、売上規模も非常に大きく、同社の事業の中核を担っている。

住宅品質を担保していくためにデジタル化に着手して生産性向上を図り、それに伴い組織体制も見直し、今後更に成長を加速させていく基盤を整えた。

Vol.3では、社外ユーザーの高い利用率を実現しているANDPAD浸透に向けた同社の取組みと、高い紹介率を維持する顧客接点強化について紹介する。

古川製材株式会社
URLhttps://nozomihome.com
代表者代表取締役 倉坪茂親
創業1919年
所在地〒506-0052 岐阜県高山市下岡本町1357-1 
取材・編集:平賀豊麻
編集・デザイン:原澤香織
ライター:金井さとこ
デザイン:森山人美、安里和幸
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