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坂井建設|成果は最大、時間は最適。協力会社への思いが原動力となる効率化への道〜前編〜

監督の負担を軽減。積算部設立と永島さんの「残業ゼロ」仕事術

目次

  1. 急成長を支えるデザイン住宅と、未経験から挑んだ永島さんの軌跡
  2. 監督の現場集中を実現!積算部設立で変わる業務フローと効率化の秘訣
  3. 業務の優先順位を徹底した時間管理で「残業ゼロ」

ANDPADの利用状況をデジタルにスコアリングし、ANDPADを最も使っているユーザーを称賛するANDPAD AWARDのユーザー部門。今回は、「ベスト受発注ユーザー賞-発注-」で全国第2位を受賞された、坂井建設株式会社 ディテールホーム長岡支店 積算部の永島友子さんにお話を伺った。

坂井建設株式会社は1948年創業。公共工事に加え、2006年からは注文住宅ブランド「ディテールホーム」で年間200棟以上を手掛ける住宅事業も展開する。新潟県全域で多様なニーズに応え、デザイン性と機能性を兼ね備えた住宅を提供し、業績を伸ばし続けている。

受賞者の永島さんは、同社の積算部に所属。業界未経験ながらANDPAD受発注を活用し、請求業務や実行予算入力に尽力している。さらに、時短勤務を活用して、子育てと仕事を両立する彼女の働き方は、建設業界における新しいロールモデルを示している。

永島さんのお話しからは、ANDPADを活用して限られた時間内で最大の成果を出す働き方について、多くのヒントが得られるだろう。特に、煩雑になりがちな月末の請求業務や、年間2,800件にも及ぶ追加発注をいかにしてスムーズに処理しているか、その具体的な工夫と時間の使い方について、多くを学べるはずだ。

今回の取材では、永島さんと共に、積算部長の須佐義彦さんにもお話を伺った。須佐さんは積算業務に約20年の経験を持ち、2017年の入社以来、積算部の機能強化と効率的な分業体制の構築に貢献してきた。前編では、永島さんの日々の業務と、須佐さんが語る同社の分業化への貢献について深掘りする。

 

急成長を支えるデザイン住宅と、未経験から挑んだ永島さんの軌跡

――ANDPAD AWARD 2025 ユーザー部門「ベスト受発注ユーザー賞-発注-」全国第2位の受賞、おめでとうございます!まず、貴社について教えてください。

永島さん: 当社は新潟県全域をカバーし、平屋やコンパクトハウス、リノベーション、アパート経営など、お客様の多様なニーズにお応えできるよう、商品ラインナップを展開しています。造作に手間を惜しまず作り込むことを大切にし、デザイン性や機能性に優れた住宅をご提供できるよう、日々努めております。おかげさまで、現在では年間200棟以上をお客様にお引き渡しさせていただいております 。

――貴社の引き渡し棟数は、年々増加しているのでしょうか?

永島さん: はい。入社した2016年ごろは年間60棟ほどでしたが、昨年実績で207棟、今年は260棟の予定です。

――貴社は目覚ましいご成長を遂げていらっしゃいますが、その原動力となっている強みについてお聞かせいただけますでしょうか。

永島さん: 新潟の暮らしをデザインする住宅ブランドということで「普通の家はつまらない」と考えるお客様向けの、デザインにこだわった家づくりを行っていることだと思います。デザインにこだわった家は30〜40代のお客様、平屋だと高齢のご夫婦などがご購入されることが多いと思います。

須佐さん: 「カッコイイ家を作ろう」というのを、テーマとしています。お客様が周囲の方に自慢したくなるような家を提案しています。そして、お客様からいただく反応からも、そのような提案が出来ている気がします。

――永島さんは、貴社の成長期に差し掛かる2016年に入社されたとのことですが、当時、どのようなきっかけで貴社とのご縁があったのでしょうか?

永島さん: 前職では服の販売をしていたのですが、土日休みを希望していたことと、長期休暇が取りにくいことが理由で転職を考えていました。ただ、パソコンスキルは、全くのゼロでした。派遣会社に登録するためのテストにも落ちるくらいで…。そこから派遣会社に2年勤め、パソコンスキルを習得したので、正社員として働こうと求人票を見つけたのがきっかけです。

――初めての業界ということで、入社してから受発注業務に慣れるまでどのくらいかかりましたか?

永島さん: 2~3年はかかりました。受発注業務を行うシステムの変更もあり、最初は戸惑うことも多かったのですが、周りの方に助けられながら乗り越えました。入社当時は総務部でしたが、現在は積算部に所属しています。

 

監督の現場集中を実現!積算部設立で変わる業務フローと効率化の秘訣

――永島さんが所属されている積算部は何年頃に設立された部署なのでしょうか?

須佐さん: 私が入社した2017年に設立されました。主な理由は、監督たちが現場業務にもっと集中できる環境を整えたかったからです。以前は監督が実行予算の作成も担当していたのですが、彼らは現場業務に注力したいという強い思いを持っていました。そうした背景から、実行予算を専門に担当する部署が必要となりました。

私の前職では監督業務を分業化しており、積算部が実行予算の作成から発注業務まで一貫して担当していたんです。その経験を評価していただき、2017年に入社したという経緯です。

今回取材に同席いただいた積算部 部長の須佐 義彦さんは2017年に同社に入社。

――永島さんは、以前は総務部でご活躍されていたと伺っておりますが、現在は積算部でいらっしゃるのですね。?

永島さん: はい。私が2016年に入社した当初は総務部に配属され、月末に協力会社さんから届く請求書の処理を行っていました。そして、2017年に積算部が新設された際に、私がその部署で受発注業務を担当することになりました。以前総務部で請求業務を行っていたので、その経験が受発注業務にも活かせるということで、異動となりました。具体的には、須佐などが作成した実行予算に基づき、私が受発注業務を行うという役割分担になりました。

 

業務の優先順位を徹底した時間管理で「残業ゼロ」

――普段から業務でANDPADをご活用いただき、ありがとうございます!このご受賞について、今のお気持ちをお聞かせいただけますでしょうか?

永島さん: ANDPADは普段から当たり前のように使っていたので、受賞の連絡をいただいたときは驚きました。ただ、改めて考えると、本当に楽になったなと実感していますし、以前のように紙で一枚一枚発注書と請求書を突き合わせて確認する業務にはもう戻れないですね。

――紙の請求書チェックは、当時かなりご苦労が多かったのではないでしょうか?

永島さん: そうですね。以前は、現場監督や営業担当が、紙で届いた請求書の金額や内容を一枚ずつ目視で確認していたので、その負担は非常に大きかったと思います。引渡棟数が年々増加しており、現在の請求書の量は当時の2倍近くになっているはずです。一部デジタル文書で送られてくるものもありましたが、当時はシステムが十分に整っておらず、使い勝手も決して良いとは言えませんでした。本当に大変な作業でしたね。

――そうした大変な状況を経験されてきた永島さんが、現在積算部でどのようなお仕事をされているのか、詳しく教えていただけますか?

永島さん: 私の主な業務は、積算部の各エリア担当が行う通常の実行予算入力や発注業務とは異なり、追加で発生した工事に関する発注処理や、締め日前に届く請求書の対応といった、イレギュラーな事案を担当することです。

須佐さん: 本来、これらの追加発注などの業務も積算部の各エリア担当が対応していました。しかし、着工前の、営業・設計・ICの各担当がお客様と詰め切れずに着工前定義が甘くなってしまうことや、現場監督の先行発注の精度のばらつきなどによって発生する追加発注が、各エリア担当の業務量を均等に均したり、予測して平準化することが難しい要因となっていました。結果として、各担当の業務量には大きなばらつきが生じていました。そこで、業務の平準化を図るために、永島が追加発注分を一手に担当する体制に変更したのです。

永島さん: その他にはホームセンターなどで購入された資材のレシート一枚一枚を、どの工事のどの部分に使われたのか特定してシステムに紐付けていく作業があります。先月は約50件ほどのレシートを処理しました。また、ANDPAD引合粗利管理を活用して、完成見学会で使用する自宅のガス工事費などの都度発生する費用や、引き渡し前に発生した公共料金といった原価計上も行っています。

――多くの業務を担いながら、見事に管理されていて、本当に素晴らしいです!これだけ多岐にわたる業務をご担当されているとのことですが、残業は発生していませんか?

永島さん: ありがとうございます。現在は子育て中で、時短勤務制度を活用しているので、残業はしていません。以前の総務部でも残業時間はゼロでしたが、2018年のANDPAD導入以降、売上成長を継続している中でも、残業なしでの業務遂行を継続できています。

これは、会社が働き方に対して深い理解を持ち、私たち一人ひとりに配慮してくれている結果だと強く感じています。そして、この成長を支えながら業務を効率的に処理し、残業なしで業務を漏れなく遂行することは、ANDPADなしでは不可能だったでしょう。その日にやるべきことに集中し、ANDPADを最大限に活用することで、定時退社を実現しています。

――永島さんの1日の仕事の流れについても教えていただけますか?

永島さん: はい。午前中は、ANDPAD引合粗利管理を活用して、その都度発生する費用の原価計上を行っています。午後は、主に実行予算の入力や、公共料金の計上などを行っています。

――多岐にわたる業務を効率的に進めるために、他に何か工夫されていることはありますか?

永島さん: 協力会社様宛にメールで送る定型のコメントを毎回入力するのは大変なので、「この月までに納品の完了をお願いします」など、よく使うコメントのパターンをメモなどにコピー&ペーストできるように準備しています。こうすることで、入力時間を短縮でき、スムーズに業務を進められています。

 

前編では、坂井建設株式会社の目覚ましい成長背景と、永島さんが、未経験からどのように業務を習得し、会社の成長を支えてきたかを深掘りした。

永島さんの「残業ゼロ」を実現する効率的なワークスタイルは、ANDPAD導入による紙の請求書業務削減や、積算部設立による現場監督の負担軽減といった業務フローの変革が大きく影響している。須佐さんの経験に基づく分業体制の構築と、永島さんの細やかな業務遂行が、会社の生産性向上に貢献していることが明らかになった。

後編では、この効率的な体制の中で、永島さんが特に注力する重複発注防止のための具体的な工夫や、同社の堅実な発注ルール、そしてANDPADへのさらなる期待について詳しく紹介する。

坂井建設株式会社
URLhttps://sakaikensetsu.jp/
代表者代表取締役社長 坂井義栄
創業年1948年4月
本社新潟県長岡市上塩1400番地3
取材・編集: 平賀豊麻
編集・執筆: 齋藤夏美
編集:原澤香織
デザイン: 森山人美、岩佐謙太朗
お客様担当: 添島孝太
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