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岩倉建材|現場を知り尽くした元職人が50代でANDPADを使いこなすまで~前編~

サッシ工事のベテランが営業職に挑戦、技能者のキャリアチェンジとDX 

目次

  1. 北海道で40年以上の歴史を持つ建材専門商社
  2. サッシ工事の職人から営業担当へ。40代でのキャリアチェンジ
  3. 年間約400棟のサッシ工事に関する受発注を1人で担当

ANDPADの利用状況をデジタルにスコアリングし、ANDPADを最も使っているユーザーを称賛するANDPAD AWARDのユーザー部門。今回は「ベスト受発注ユーザー賞~請負~」で全国2位を受賞した岩倉建材株式会社 札幌支店 営業二課 係長の松木勝洋さんにインタビューを実施。札幌支店 支店長の石岡政治さんにも同席いただき、お話を伺った。

岩倉建材株式会社は、北海道で40年以上の歴史を持つ建築資材専門商社。株式会社イワクラのグループ会社として、建材卸売業を中心にビジネスを展開するなか、一部で工務店やハウスメーカーへの直販も行っている。直販部門を担う札幌支店では、取引先のANDPAD導入により、業務プロセスが大幅に改善されたという。その立役者の一人である松木さんは、40代で岩倉建材に転職した元職人。デジタルが苦手だった松木さんが、ANDPADを使いこなすまでの軌跡に迫る。


北海道で40年以上の歴史を持つ建材専門商社

── まず、岩倉建材株式会社の事業内容についてお聞かせください。

石岡さん: 当社は1983年に設立した建材専門商社です。株式会社イワクラのグループ会社として北海道内を中心に事業展開を進め、2023年に40周年を迎えました。約300社の取り扱いメーカーさんから、建築資材の販売店さんや工務店さんへ商品をお届けする、BtoBを基本としたビジネスモデルを展開しています。売上のほぼ100%が建材の卸売業です。

本社は札幌市にあり、ここ石狩市にある札幌支店のほか、苫小牧、旭川、釧路に営業所を構えています。商圏は札幌から千歳、苫小牧、岩見沢までと広範囲で、各拠点から高速道路で2時間程度のエリアをカバーしています。

岩倉建材株式会社 札幌支店 支店長 石岡 政治さん

──事業は建材の卸売がメインとのことですが、札幌支店はどういった役割を担っているのでしょうか。

石岡さん: 各営業所は建築建材の販売店などへの卸売を専門としているのですが、札幌支店は工務店さんやハウスメーカーさんへの直販部門を担っています。組織は営業一課と営業二課に分かれており、営業一課が建築資材と外壁工事を、営業二課がサッシを専門に扱っています。一課では羽田という者がANDPADを活用してお取引先様からの発注に対応しています。サッシを担当する松木は二課の所属です。

 

サッシ工事の職人から営業担当へ。40代でのキャリアチェンジ

──改めまして、受賞おめでとうございます! 松木さんのご経歴についてお聞かせください。岩倉建材に入社される前は、どのようなお仕事をされていたのでしょうか。

松木さん: 入社前は、サッシ工事の会社に長らく勤めていました。小さな工事屋で職人として働いており、配送や取り付け工事、アフターサービスなどが主な業務です。ですので、今のような営業の仕事はまったく経験がありませんでした。

石岡さん: 松木とはかなり長い付き合いで、もう30年になります。私も中途入社なのですが、別の会社に勤めていた頃、松木に仕事を依頼していていました。とても几帳面な性格ですので、信頼しています。

岩倉建材株式会社 札幌支店 営業二課 係長 松木 勝洋さん

石岡さん: 私が岩倉建材に転職したのが22年前で、当時から「松木さんのような信頼できる人と仕事がしたいな」と思っていました。その頃ちょうど、当社のサッシの担当に空きができたため、松木に声を掛けました。2011年のことです。

松木さん: 当時40歳ぐらいだったのですが、転職に不安はありませんでした。岩倉建材は道内でも有数の会社だったので、「喜んで行きます」と石岡さんへお返事しました。勤めていた会社も「いいところに決まってよかったね」と、快く送り出してくれました。

──石岡さんは松木さんのお仕事ぶりを信頼して声を掛けられたのですね。松木さんは岩倉建材へ入社されてから、どういったお仕事を経験してこられたのでしょうか。

松木さん: 入社後から2017年までは、サッシの配送やアフター工事を担当していました。その後、新たなお取引先様との取引が始まり、営業事務の手が足りなくなるということで、営業のサポートを担うようになりました。2023年からは営業として外回りも行っていましたが、2025年度から内勤に戻りました。

──40代後半になってから未経験の新しい業務を担当することに抵抗はありませんでしたか?

松木さん: せっかくいただいたチャンスですし、チャレンジしてみたいと素直に思えましたね。ANDPADを使うようになったのは営業担当になった2年後のことでしたが、それも私にとっては新しいチャレンジでした。

──貴社ではロゴスホーム様と豊栄建設様より招待を受けて、ANDPADをご利用いただいています。今回の受賞の連絡を受けたときはどう思われましたか?

松木さん: 自分ではない、何かの間違いだろうと思っていたのですが、どうやら本当なんだと知ってびっくりしました。

ANDPAD AWARD2025 授賞式には、お取引先である株式会社ロゴスホールディングス 建築技術部 積算購買課 課長の春木 貴博さん(写真左)もかけつけ、松木さんの受賞を共に喜ばれました。

石岡さん: 松木がANDPADを使いこなしていることは知っていたのですが、表彰されるほどだったと知り驚きました。今回の受賞で、松木がやってきたことは間違いではないこと、お取引先様や協力会社の方々にきちんと対応ができていることが証明され、改めて評価する機会になりました。こうした仕事のやりがいは、本来当社から与えなければいけないのですが、本人も受賞を喜んでいましたし、私たちもとてもうれしく思っています。

松木さん: ANDPADの導入が決まったときは対応できるのか不安でしたし、実際、慣れるまで時間もかかりました。しかし、今となってはANDPADなしでの業務は考えられないですね。情報共有や発注業務が円滑になりましたし、効率化されたことで、仕事の精度も向上していると感じます。

 

年間約400棟のサッシ工事に関する受発注を1人で担当

──松木さんはサッシ工事の営業を担当されているとのことですが、改めて、お仕事について詳しく教えてください。

松木さん: 営業二課で、お取引先様から依頼されたサッシ工事の手配を行っています。ロゴスホーム様と豊栄建設様の2社を担当しており、合わせて年間400棟ほどの工事の手配に1人で対応しています

具体的な業務内容としては、見積もり、発注、工程管理、請求といった一連の流れを担当しています。また、工事完了後のアフターメンテナンスも業務の範囲です。ガラスの修繕やサッシ交換など、売って終わりではない、地域に密着した継続的な対応を心がけています。

──工程管理や資材の手配において、サッシ工事ならではの決まりごとや配慮が必要なことなどはあるのでしょうか。

松木さん: 工事の工程を見計らいながら、サッシの手配を進めるところですね。北海道では、断熱性能が高い「付加断熱工法」が主流です。建物内に資材を置いて作業をすることになるため、断熱の施工中はサッシを建物内に置くスペースがありません。

松木さん: サッシを早く持って行っても置く場所がなく、遅く持って行けば工事が遅れてしまう。ですので、私たちは現場の作業進捗を見ながら、大工さんがサッシを取り付けるタイミングに合わせて、資材を手配しなくてはなりません。お取引先様によっては、「○日の午後に持ってきてほしい」と指定されることもあります。

──工程管理がとてもシビアなんですね。発注はどのタイミングで行っているのでしょうか。

松木さん: 基本的に、1棟につき3回の発注作業があります。上棟が終わったあとのサッシの取り付けと、外壁に設置するタラップ工事、仕上げに網戸の取り付け、この3つです。これに加えて、イレギュラーのアフター工事や、点検のタイミングで工事が発生することもあり、メーカーさんや職人さん、配送業者さんなどに発注をしています。

発注の際は、現場の大工さんそれぞれの仕事の進め方を踏まえて、納品のタイミングや配置を見極めます。そうして基礎工事以降の工程の見通しを立てたうえで、メーカーさんへ発注をかける必要があるわけです。大工さんの手が止まらないように、上棟を終えたらすぐに手配できるよう常に備えています。

──サッシの在庫はどのように管理されているのでしょうか。

松木さん: 当社にも物流倉庫はあるのですが、サッシはかさばるため、在庫を抱えると倉庫がパンクしてしまいます。単価も高いので、なるべく在庫は持っておきたくありません。加えて、メーカーさんはこのエリアに物流倉庫を持っていないため、サッシの生産後に納品まで待ってもらうこともできません。ですので、現場への納期に合わせてメーカーさんに生産してもらうよう、取り決めています。ほぼ受注生産のような形です。

石岡さん: 当社では、自社の物流倉庫に加えて、協力会社さんの倉庫も借りています。保管の経費を考えると、倉庫に長くサッシを置くことは避けたいので、松木が適切なタイミングで発注してくれてすごく助かっています。

岩倉建材株式会社 札幌支店

サッシ工事の職人として長年現場経験を積んできた松木さんは、40代後半から営業担当へとキャリアチェンジ。年間約400棟という膨大な数のサッシ工事の手配を一手に担う松木さんの業務は、工程を見通した緻密な資材発注を必要とする。そこには現場で培った経験が活きているのだろう。後編では、具体的なANDPAD受発注の活用方法や、ANDPADの導入による変化について迫っていく。

岩倉建材株式会社
URLhttps://www.iwakurakenzai.co.jp/
代表者代表取締役社長 馬詰 尚人
設立1983年
所在地北海道札幌市豊平区豊平6条8丁目1番11号
取材・編集: 平賀豊麻
編集:原澤香織、金子結乃 
執筆: 井上マサキ
デザイン: 横井香南、岩佐謙太朗
お客様担当: 久本雅人
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