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ANDPADの利用状況をデジタルにスコアリングし、ANDPADを最も使っているユーザーを称賛するANDPAD AWARDのユーザー部門。今回は、「ベスト工程表ユーザー賞」で全国第2位を受賞した、株式会社平松建工 代表取締役 平松利彦さんと株式会社平松建工 部長 早川竜弥さんにお話を伺った。

株式会社平松建工は、愛知県東海市で三代続くリフォーム会社だ。創業者である先々代が、平松建工の前身となる塗装業を立ち上げたのは1971年。以来50年以上にわたり、「公明正大」「三方喜し」の経営理念を掲げ、お客様に喜ばれる仕事を常に心がけてきた。現在、愛知県下にリフォーム事業を2店舗、塗装事業のショールームを6店舗展開するなど、地域密着型の事業を進めている。
現在、平松建工はリフォーム、外壁塗装、新築注文住宅など9つのブランドを展開し、住まいに関する事業を多角的に展開している。この10年間で売上は約7倍にまで成長。さらに、社員の高い定着率も同社の強みだという。離職率が低く、未経験者が即戦力として活躍できる背景はどこにあるのか。代表取締役の平松利彦さんに話を伺うと、そこには仕事に関わるすべての人々へ誠実に向き合う姿勢と、地域課題への挑戦があった。

10年で売上7倍、「人を大切にする」経営と権限委譲
──ANDPAD AWARD 2026 ユーザー部門「ベスト工程表ユーザー賞」全国2位の受賞、おめでとうございます!はじめに、貴社の事業内容について教えてください。
平松さん: 愛知県東海市に本社を置き、知多半島を中心に住まいに関する事業を多角的に展開しています。「リノベーション」「外壁塗装」「大規模修繕」「水回り」など細かく分類し、9業種9ブランドを展開しているのが特徴です。

──平松さんは貴社の三代目だと伺いました。
平松さん: 創業者の祖父がたった一人で始めた塗装業が、平松建工の原点です。職人だった祖父は「公明正大」であることを何よりも大切にしていました。その実直な姿勢は、創業の精神である「光輝く自分を創る」に深く刻まれています。
二代目である父もその精神を受け継ぎ、リフォーム事業に進出して有限会社平松建工を立ち上げました。経営理念にある「三方喜し」も、父が掲げたものです。「お客様はもちろん、共に働く社員や協力会社の方々、すべての人が心から喜べる仕事でなければ意味がない」という考え方は、現在も私たちのなかに根付いています。
──平松さんは当初から家業を継ぐことを意識していたのでしょうか。
平松さん: そうですね。ただ、継ぐのであれば外の世界で勝てる力をつけてからにしようと思い、就職活動で大手リフォーム会社に入社しました。完全歩合制の訪問販売で最初は苦労しましたが、2年目には営業成績全国1位を達成することができました。そこで3年半ほど経験を積み、改めて家業を継いでいます。バトンを引き継いだ当時、私の胸にあったのは、リフォーム業界の一部に残る不誠実な悪しき慣習を私たちの世代で終わらせるんだという強い正義感と、お客様の心を何よりも優先する「顧客感情主義」の決意でした。

株式会社平松建工 代表取締役 平松利彦さん
──現在の貴社の体制について教えてください。
平松さん: 10年前は社員8名でしたが、現在は50名を超える規模になりました。店舗責任者が早川さんを含め7名おり、彼らが幹部として現場の最前線で指揮を執っています。

株式会社平松建工 部長 早川竜弥さん。プレイングマネージャーとして新築・リノベ・リフォームの3部門3店舗を統括する。実務の要として、ミドルマネージャーの育成と未経験者が活躍できるオペレーション構築、そして工程運用の徹底を担う。
早川さん: 私は複数の事業を兼務して、新店舗の店長を担いながら店長候補のマネジメントも行っています。代表から権限委譲がされているので、各店長が主体性を持って店舗運営やメンバー育成を行える環境です。
──この10年で退職者がわずか3名だと伺いました。この離職率の低さは、どのように実現しているのでしょうか?
平松さん: その人の可能性を信じているところが大きいと思います。前職は会社の規模が大きかったこともあり、人を使い捨てにするような風土を感じていました。でも実際は、仕事内容や環境が変われば目覚ましい活躍をする人もいるわけです。私自身、家業を継いでからそういう社員をたくさん見てきました。
ひとつの仕事で芽が出ないからといって、その人の可能性が閉ざされるわけではありません。「光輝く自分を創る」という創業の精神が、今の平松建工を作ってきたのだと実感していますし、その精神をしっかり受け継ぐのが自分の仕事だと認識しています。

平松さん: また、幹部にはオンラインで月2回の1on1を、幹部候補生には対面で月1回30分の面談を実施しています。組織が急成長し、どれだけ規模が大きくなったとしても、いまだに膝と膝を突き合わせ、目を見てきちんと話すコミュニケーションこそが本質であり、そこは絶対にブレてはいけないと思っているからです。
むしろ、組織が成長している今だからこそ、あえてこうした時間を設けていかないと、組織の歯車はおかしくなっていくという持論が私の中にあります。社長である私が現場を離れる時間が多くなればなるほど、意識的にポイントで時間を作らなければ、心が離れるわけではなくても、少しずつ距離感が生まれてしまうもの。次のフェーズへ全員で向かうためのコミュニケーションとして、絶対に疎かにしてはならない重要な時間だと考えています。

トップシェアの原動力。ストーリーを提供する「おせっかい見積もり」と分業制
──9業種9ブランドを地域密着型で展開するにあたり、貴社ではどのような営業活動を行っているのでしょうか。
平松さん: 当社の営業は、営業業務とともに施工管理における4大管理や現場接客はもちろんのこと、ストーリー(理念)をお客様に届ける役割も担っています。そこで重要になるのが、お客様のニーズの濃度に合わせた最適なマッチングです。当社ではお客様からの反響を、検討度合いに応じて4種類に分類して管理しています。それぞれのフェーズに合わせて、最も本質的な課題解決を提供できる適切な営業担当をアサインすることで、お客様に寄り添った密度の高い提案を可能にしています。
早川さん: お客様から特に要望されていない内容も、リフォームのプロとして必要と判断すればあえて見積もりに入れるようにしているんです。私たちは「おせっかい見積もり」と呼んでいます。お客様が気づいていない住環境の課題を、プロの視点で見つけだして提案しています。もちろん、お客様の不安を解消するのも営業の仕事ですので、丁寧な説明を心がけたり、判断ポイントをホームページに公開したりもしています。

──事業の内容によって、営業の立ち回り方も異なるのでしょうか?
早川さん: 水回り等のリフォーム事業では、営業が施工管理までを担う「営工一貫」のスタイルが基本です。前線に立つ営業が接客やストーリーの伝達に集中できるように、見積もり作成・積算は専門部署が担当するなど、一部業務の分業制によって営業効率を高めています。
一方で外壁塗装事業では、施工管理業務にボリュームがありますので工務部を置き、見積もり作成・積算を営業が担当する形をとっています。
平松さん: ただ、これが正解と決めているわけではなくて。外壁塗装事業では最適なオペレーションを見極めるために、複数の運用モデルを同時並行で検証している段階です。
例えば、見積もりや積算を専門に管理する部署を作ってみたり、あえて現場監督がそれらの業務まで担ってみたりと、各パターンのメリット・デメリットをあらゆる視点から洗い出しています。形は模索中ですが、根底にあるのは「営業担当者や現場監督が、それぞれのコア業務に集中できる強い仕組みを作りたい」という思いです。
──エリアや事業特性に合わせて、最適なオペレーションを模索しているわけですね。
平松さん: そうですね。他のケースだと、たとえばリノベーションなどの大型案件の場合は金額が大きいですし、技術的な難易度も高まるため、営業1人に一任させていません。一定以上のランクのメンバーが担当することを基本にしつつ、商談や施工のプロセスでは周囲がフォローに入るバックアップ体制を構築しています。

オフィスに掲げられた創業の精神。「光輝く自分を創る。『三方喜し』」
──先ほど「営業担当はストーリーをお客様に届ける役割」という話がありました。なぜ貴社は理念やストーリーを重視されているのでしょうか?
平松さん: 我々のようなリフォーム事業は、商品で差別化をすることができません。他社との違いを打ち出すには、技術力の高さや接客の丁寧さに加え、会社が大切にしている思いを伝えることが重要だと考えています。創業からどのような思いで私たち親子三代が仕事に向き合ってきたのか、単なる社史に留まらない”上位概念”のストーリーを作り込んでいるのもそのためです。
──いかにお客様に「ここにお願いしたい」と思っていただけるかが不可欠だということですね。
早川さん: 社員も会社のストーリーをしっかり理解しています。もっとも、理解が浅く、お客様にストーリーを伝えられないうちは、一人でお客様のところへは行かせません。
平松さん: 1~2年目の若手社員が結果を出せているのも、「うちはこういう会社です」「こういうところに強みを持っています」と、自分の言葉でお客様に説明ができるからなんですね。お客様に「雰囲気が良かったし、次も頼もうかな」と思っていただけるように、社内の仕組みづくりや社員教育には力を入れています。

──若手が活躍するための仕組みや教育とは、具体的にどのようなものなのでしょうか?
早川さん: たとえば、お風呂やトイレなどの水回りなど、チラシ系のパッケージ商品はすべてANDPAD引合粗利管理を活用し、見積もりをテンプレート化することで仕様を揃えています。建築の知識がまだ浅い新卒や中途採用のメンバーであっても、平米数や個数を打ち込むだけで、一定水準以上の見積もりをすぐに作成できる仕組みを構築しています。
また、見積もりを早く出すことだけが正解ではない大型案件や、見極めが必要な商談といったテンプレート化が難しいものについては、週2回開かれる社内会議での壁打ちを経て、最適なタイミングで見積もりを提出できるようにマネジメントをしています。

──創業以来、地域課題の解決に努めてきたこともひとつのストーリーとなるわけですね。
平松さん: そうですね。地域貢献という意味では、私の父である平松幹尋会長が2022年にグループホーム事業を立ち上げています。2018年に愛知県でスペシャルオリンピックス(知的障がいを持つ方の競技会)が開催されたとき、平松会長はライオンズクラブの会長としてトーチリレーに参加しました。その際、親御さんから障がいを持つ子どもの未来を心配する声を聞いたことをきっかけに、事業を立ち上げました。現在は東海市でグループホーム「carina house」(※)を運営しています。


「三方喜し」を形にする。協力会社への「ANDPAD表彰」とデータ経営への一歩
──貴社の経営理念に「三方喜し」があります。お客様と社員、そして協力会社さんの「三方喜し」を実現するには、協力会社さん側の理解も不可欠ではないでしょうか。
早川さん: その通りです。協力会社さんに発注する際は、技術力だけでなく「公明正大」「三方喜し」の理念に共感できているかを重視しています。クオリティや理念の共有が一定レベルに達していない場合は、どんなに付き合いが長くても発注量を調整するよう取り組んでいます。より良いパートナーに優先的に仕事を依頼することで、健全な競争意識と信頼関係を維持するようにしています。
──協力会社さんに経営理念を理解してもらうために、どのような取り組みをされているのでしょうか。
早川さん: 年2回行われる協力業者会でストーリーを伝える動画を流すなど、小まめに発信を続けています。協力会社さんは200社ほどありますが、多くの職人さんが弊社の経営理念を答えてくださるほど浸透していますね。
また、私たちはビジネスだけの関係ではなく、共に「知多半島を守る」家族として職人さんをお迎えする姿勢を大切にしています。その一環として、私たちの店舗には職人さんの写真を載せたパネルを大きく掲示しているんです。こうした日頃の関わりがあるからこそ、私たちの想いが職人さん一人ひとりの心に深く根付いているのだと感じています。

早川さん: さらに協力業者会では、社員が協力会社さんを表彰する「ANDPAD表彰」を実施しています。表彰理由を明確に伝えることで、職人の皆さまのモチベーションや品質水準が向上するだけでなく、好事例の共有にもつながっています。
たとえば以前、「調査報告書」について表彰をしたことがありました。ANDPADで写真付きの報告書を作成する場合、現場写真を職人さんにお願いすると、「施工箇所をアップにして写してしまう」など工務店や作業者の視点から撮影をしがちです。調査報告書は最終的にお客様に渡すものなので、部屋全体なども撮影しないと撮影箇所も作業内容もそうですが、調査報告書の意味や目的が伝わりません。そこで、全景と細部を使い分けて写真を撮影してくださった協力会社さんを表彰しました。お客様体験を高めた会社を称賛することで、他の会社にも真似してもらえるようになります。

ANDPAD ONE編集部より
ANDPAD Analyticsは、ANDPADに蓄積されたデータを自動で集計し、ダッシュボードでわかりやすく可視化できます。特定の協力会社への依存度や発注バランス等をリアルタイムで数値化でき、事業の状況把握や問題点の早期発見に役立てられます。
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(左から)平松建工 平松さん、アンドパッド平賀
業界をクリーンに。2026年4月始動の「次世代リフォーム経営者クラブ」への展望
──貴社は2026年4月にコンサルティング事業「THE FORWARD(次世代リフォーム経営者クラブ)」を新たにスタートされています。事業内容など詳しくお聞かせください。
平松さん: 前職では、お客様に対して不誠実な態度をとる企業に憤りを覚えたこともありました。その経験から、クリーンなリフォーム業界を目指すべく始動したのが「THE FORWARD」(※)です。平松建工の経営メソッドを6ヵ月間かけて直接指導するプログラムで、対象は、売上高はあっても利益が残っていない、人が定着しないといった課題を持つ売上高1億5000万~10億円の全国のリフォーム事業者、特に30代40代の後継経営者や次世代リーダーを想定しています。
当社は「日本中の奥様を笑顔にする」をビジョンに掲げています。「THE FORWARD」により、正しい経営をする地域一番店が全国に広がっていけば、不誠実な企業が減り、奥様たちの笑顔も増えていくはずです。リフォーム業界の未来を見据えて、私たちの仲間を広げていければと考えています。

「おせっかい見積もり」をはじめ、公明正大を原点としたお客様本位の姿勢。社員の可能性を信じた人事を心がけ、若手や幹部候補を育成する社内制度。200社に及ぶ協力会社の品質やモチベーションを保ち、「チーム平松建工」として理念を共有する仕組み。平松さんと早川さんの言葉からは、お客様・社員・協力会社の「三方喜し」を実現させる取り組みが端々に感じられた。
さらに、グループホーム事業による地域貢献や、「THE FORWARD」による業界への貢献など、同社の視線は未来にも向けられている。その足元では日頃の業務がいかに確実に、効率的に遂行されているのか。後編ではANDPADの具体的な活用法をはじめ、平松建工の「仕事の本質」に迫る。
| URL | https://www.reformwing.jp/ |
|---|---|
| 代表者 | 代表取締役 平松 利彦 |
| 創業 | 1971年 |
| 本社 | 愛知県東海市大田町畑間71-1 |


















