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SOUSHINホールディングス|建設×金融で街と経済を回す「地域再創事業」〜Vol.1〜

ハードとソフトの両輪で進める、公民連携のまちづくり

目次

  1. 100年残る建築を創る責任 「次の誰かのために」という理念に込めた想い
  2. 土地と建物の記憶を継承する「再創」 公民連携で育むまちのコミュニティ
  3. 建設×金融の力でまちと経済を動かす「地域再創事業」

北海道札幌市に本社を構える、株式会社SOUSHINホールディングス。同社は、従来の地域ゼネコンの枠組みを超え、建設・不動産・金融の知見を掛け合わせて地域課題の解決に取り組む、まちづくり会社だ。1990年に総合建設業である株式会社創伸建設として創業して以来、着実に事業基盤を拡大。2025年6月には持株会社体制へと移行し、SOUSHINホールディングスを設立した。

創業時から一貫して根底に流れるのは、「地域のために」「次の誰かのために」という強い想いである。なぜ同社は事業の領域を広げ、多様なグループシナジーを追求するのか。今回は、同社の専務取締役であり、グループ会社の株式会社SBO 代表取締役も務める妹尾聡さんへのインタビューを中心に、同社の先進的な取り組みを3回にわたってお届けする。

Vol.1では、同社の事業概要とともに、経営の核である「次の誰かのために」という理念に込められた想いと、建設×金融でまちを再生する「地域再創事業」の全貌を紹介する。

妹尾 聡氏
株式会社SOUSHINホールディングス 専務取締役
電気工事士として働く父の影響で建設業界に興味を持ち、大学卒業後、現SOUSHINホールディングス代表・岡田氏や、創伸建設 常務取締役・佐藤氏と同じ大手ゼネコンに入社。事務職として入社後、現場支援や復興工事に携わりながら約10年間勤務。2022年に創伸建設へ参画。現在は、ホールディングスの専務取締役および、バックオフィス事業を担う株式会社SBOの代表取締役を務めている。
 

100年残る建築を創る責任 「次の誰かのために」という理念に込めた想い

株式会社SOUSHINホールディングスは、北海道を拠点に建設・不動産・金融の3領域を横断しながら、地域社会の課題解決に取り組むまちづくり会社である。創業以来、建設業で培った確かな技術力と、資金調達・金融の知見を掛け合わせ、”地域の未来を再創する事業”を推進している。

同社の歴史は、1990年に設立された創伸建設から始まる。北海道を中心に関東や東北まで幅広い地域で、民間・公共工事を問わず建設工事を請け負ってきた。2020年には現代表の岡田吉伸さんへ事業が承継され、特定建設業許可の取得とともに「第二創業期」へ突入。そして2025年、持株会社体制である「SOUSHINホールディングス」へと再編された。現在は、建設・不動産・電気工事・バックオフィス支援など、多様な事業会社が連携するグループ体制を構築。

それぞれの会社が独自の専門性を持ちながら、「地域の持続可能な発展」という共通の目的に向けて補完し合うことで、一社では成しえないスケールと柔軟性を実現している。

株式会社SOUSHINホールディングス 専務取締役 妹尾聡さん

妹尾さん: 建築案件で大きく業績を伸ばしながら、新規事業や社会貢献にも積極的に取り組むことで会社の価値を高め続けてきました。2025年6月にホールディングス体制へ移行し、現在は5社体制です。「創伸建設」は総合建設業、「創電社」は電気工事、「再創」は再生建築・不動産、「SBO」はグループ内外のバックオフィス支援を担っています。ホールディングスとして、不動産の企画・取得といった川上から、施工、その後のアフターフォローやメンテナンスという川下までを一気通貫で手掛けられる点が、私たちの大きな強みです。

積極的な事業展開の根底にあるのは、創業時から変わらない「地元・北海道のまちと人に必要とされる存在であり続けること」という姿勢である。同社では、経営理念として「次の誰かのために」という言葉を掲げている。

妹尾さん: ホールディングス全体の理念として、「次の誰かのために」という言葉を掲げています。「この事業は次の誰かのためになるのか」という問いにイエスと言えるなら、どんな事業に挑戦してもいいという文化があります。

「自分たちの利益や身の回りだけでなく、次にこのまちを訪れる人々、そして次の世代に誇れるものを残す」という精神は、創業時からのDNAとして脈々と受け継がれている。

その想いの背景にあるのは、建設業の本質に対する強い危機感と責任感だ。建物という構造体は、50年、100年と未来へ残り続ける。だからこそ、建物を創った企業が目先の利益だけに囚われて会社を存続させられなくなったり、まちから姿を消してしまったりすることは、あまりにも無責任であるという考えが根底にある。企業として存続・成長し、徹底的にこのまちと人に投資すること。今という時代に責任と誇りを持ち、得られた価値を次の世代へ繋ぐことこそが、同社の哲学なのだ。

「人は一人では何も成し遂げられない。だからこそ、優れた技術や想いを持つ者同士が繋がり、組織としてまちの未来を創り出す」──代表の岡田さんをはじめとする経営陣の思想が、同社のあらゆる事業やグループシナジーの強力な礎となっている。

今回取材に対応いただいたSOUSHINホールディングス専務取締役の妹尾さんは、代表の岡田さんに誘われ、2022年に同社へ参画した。妹尾さんのキャリアの背景には、現場の「人」に対する強いリスペクトが存在する。

妹尾さん: 父が電気工事士として働いていた影響で、昔から建設業に興味を持っていました。大学生の頃、実家に帰省し父の仕事を手伝った際、職人さんの下で働いたのですが、サポートしかできない自分が悔しくて、電気工事士の資格を取得したんです。その経験を経て、建設業への関心からゼネコンへ入社しました。

大手ゼネコンに事務職として入社した妹尾さんは、東日本大震災の復興工事現場など最前線で約10年間勤務。宮城県や福島県の現場を担当し、現場所長や監督たちをバックオフィスから支援する業務に従事した。

妹尾さん: 施工事務として現場の所長たちと日々やり取りしながら支援する立場だったのですが、当時同じゼネコンにいた当社の代表である岡田が所長の現場を担当することも何度かありました。私は月1回は必ず現場に行くことを大事にしていたため、現場に行った際に岡田ともよくコミュニケーションを取っていたんです。岡田は所長として勤めていて、いつも快く対応してくれていました。

その後、2018年にゼネコンを退職して創伸建設へ入社していた岡田から、「創伸建設へ入らないか」と熱心な誘いがありました。当時は北海道に縁がなかったこともありすぐに応じる状態ではなかったのですが、同じく前職の同僚であった佐藤(現・創伸建設常務取締役)が創伸建設に入社したこともあり、岡田が掲げるミッションへの共感や、「このチームなら間違いなく面白いことができる」と感じたことから、入社を決めました。

 

土地と建物の記憶を継承する「再創」 公民連携で育むまちのコミュニティ

SOUSHINホールディングスが掲げる事業思想の核にあるのが、単に古い建物を壊して新しく建てる「スクラップ&ビルド」ではなく、土地や建物の記憶を受け継ぎ価値を磨き直す「再創」の考え方だ。同社は建物やまちに残る文化や歴史、人々の想いを受け継ぎながら、新たな価値を創造する取り組みを全国各地で60以上展開してきた。

妹尾さん: もともと私たちは建設会社として「ハード(建物)」しか作っていなかったのですが、「ハードはソフト(使われ方やコミュニティ)があってこそ活きる」ということに気がつきました。極論、使う人がいなければ建物は必要ありません。人がいて初めて建物が必要になる以上、「まちをつくるのは人だ」という結論に至りました。そのため、建設会社としてもソフト面を生み出していかなければならないと考え、地域の方々と協働しながら、土地や建物に込められた想いを紡ぎ、ハードとソフトの両面からまちづくりを推進するようになりました。

その取り組みの一つが、札幌市内を流れる豊平川を活用した公民連携プロジェクト「川見(かわみ)」だ。

妹尾さん: 札幌には豊平川という素晴らしい河川があるのですが、全然使われておらずもったいないと感じていた方々が集い、そこで、春に桜を眺める花見のように「川を見ることを文化にしたい」と考え、「川見」というイベントを実施しています。元々は青年会議所が主催で約10年前に始まった取り組みですが、コロナ禍の中断を経て、岡田も役員として携わっている株式会社川見という法人が設立され、現在は当社で運営・協賛に携わっています。手ぶらで楽しめるバーベキューやキッチンカー、幌平橋のライトアップなどを行い、5〜6年継続した今では札幌の夏の風物詩としてメディアにも取り上げられるようになり、今年の8月に開催した際には10日間で9万人以上の方に来場いただきました。

「川見」の様子。川のせせらぎをBGMに思い思いの過ごし方ができる。

また、都心部の一等地にある未利用地の活用スキームとして手掛けたのが、仮設型複合拠点「SAPPORO CULTURE FARM(サッポロ・カルチャー・ファーム) 凹場 anaBa」である。

妹尾さん: 札幌の一等地にあったビルが解体され、地下まで解体されたことで、まるで大きな穴が空いたような状態になっていました。再開発が始まるまでの2〜3年間、仮囲いで閉ざされたまま放置されるのはもったいないと感じたのがスタートです。そこで、都市の中心にある開放的な空間を活用し、農・文化・アート・観光など多彩なテーマで地域や企業、市民が交わる実験拠点として、2025年9月に開業しました。

このプロジェクトの特徴は、「企業版ふるさと納税」を活用した独自の財務スキームです。北海道・札幌市を舞台に開催される、テクノロジー、エンターテインメント、クリエイティブの領域を横断した大型イノベーションフェスティバル(コンベンション)「No Maps(ノーマップス)」のSAPPORO CULTURE FARM事業として凹場が選定され、札幌市のまちづくり事業に共感し、寄付いただいた企業様のふるさと納税寄付金の一部を整備・運営費に充てています。企業様にとっては税制上のメリットがあり、まちにとっても賑わいが生まれる。都心部の一等地で再開発待ちとなっている土地に対する、新しい活用スキームの選択肢になればと考えて取り組んでいます。

「凹場」の活用イメージ図(左)と、凹場を活用した実際のイベントの様子。

さらに同社は、札幌市で第1号となるPark-PFI事業も手がけている。

妹尾さん: 「百合が原公園」という大きな公園の一角に、カフェ・交流スペース・学びの場などを備えた新施設「LiLiLi」を手がけました。運営会社である「YURIGAHARA PARK FUTURE LAB」の構成企業の一社として、施設の施工・整備に携わり、札幌市民に長年愛されているベーカリー「株式会社どんぐり」さんや「丸美珈琲店」さんなどとともに、運営を担っているプロジェクトです。

施設自体は新築ですが、企画・建設プロセスの段階から地域の幼稚園の先生や町内会の方々に集まっていただき、対話を重ねながら形にしていきました。施工中にもイベントを開催したことで、完成後には地域の方々が「これは私が作ったんですよ」と愛着を持って話してくれるようになったんです。また、近隣にある高等支援学校の生徒さんが授業で作った器をカフェで使わせていただくなど、地域に深く根ざした施設です。

同社がPark-PFI事業のPMと店舗の内装デザイン設計を担当した、百合が原公園「LiLiLi」。

建設×金融の力でまちと経済を動かす「地域再創事業」

これまでの「再創」の発想と、公民連携の実績をさらにスケールアップさせるため、現在同社がグループ全体で注力しているのが「地域再創事業」だ。これは、祖業である「建設」に「金融」の知見を掛け合わせ、人と経済が持続的に循環するまちへと再創する取り組みである。

単に空き家などの遊休不動産を利活用するだけでなく、まち全体のグランドデザインからコミュニティ運営までを一貫して担う。この事業には、大きく分けて2つの柱があるという。

妹尾さん: 一つ目の柱は「地域再創プラットフォーム」です。これは単に建物を建てるのではなく、日常的な対話やワークショップを重ねることで、地域住民や行政、企業が主体的に参画する公民連携の土壌をつくる取り組みです。北海道には179の市町村がありますが、地域ごとに抱える課題も特色もまったく異なります。私たちは、地元の方々と世間話をするような地道な対話からスタートし、そこから見えてきたまちの未来の実現に向けたワークショップを開いたり、実証実験を行ったりしています。

 

現在、全国で60ほどの地域と関わりながら地域課題の解決に取り組んでいますが、私たちが目指しているのは、あくまで「コミュニティを形成し、地域の担い手を発掘すること」です。なぜなら、私たちがずっとそのまちに入り込んで主導し続けることはできないからです。最終的にはそのまちの人たち自身の手で、まちを動かしていけるよう、孤立させずに伴走支援するプラットフォームを全国に展開していきたいと考えています。

妹尾さん: 二つ目の取り組みは、「地域再創ディベロップメント」です。これは、地域に眠る空き家や空き地といったアセット(資産)の活用からアプローチする手法です。地域ファイナンスを活用して不動産を取得・改修し、SOUSHINホールディングスが建設・不動産・運用までを一貫して担うことで、高い収益性と安定運用を実現します。そして、その運用益の一部をまちに還元し、社会的リターンと経済的リターンを両立させるという仕組みです。

例えば、美しい山々など豊かな資源を持つ京極町では、私たちがグランドデザイン策定業務に携わらせていただき、プラットフォーム構築の面から入り込んでいます。まちの人たち自身が地域の魅力に気づいていないことも多いため、対話を通じて少しずつ魅力を掘り起こし、地域の資源を活かした新たな拠点づくりや、民泊への改修などを通じてスケールアップを図っていく構想です。

また、「バカロレア教育」という先進的な教育プログラムを取り入れている鹿追町には、学ぶために全国から人が集まり、保育園留学などのニーズもあります。しかし、訪れる人に対して深刻な住居不足という課題がありました。そこで、現在使われていない教員住宅などを私たちが買い取り、移住者や滞在者が泊まれる場所へと再生する計画を進めています。

妹尾さん: 北海道は人口約500万人のうち、半分の250万人が札幌近郊に集中しています。地方は過疎化が進み、空き家ばかりという危機的な状況です。しかし、北海道には美味しい空気や食べ物など、道外の人たちを惹きつける圧倒的な魅力があります。私たちは二地域居住を推進し、道外の人たちに「もう一つの居場所」を北海道に作ってほしいと本気で考えています。

単に住居を提供するだけではない。同社が見据えるのは、交流拠点や住環境の整備、さらには自前での交通インフラの構築までを含めたトータルプロデュースだ。一時的な観光にとどまらず、夏場に避暑地として過ごしたり、「そこにいる人に会いに行く」というコミュニティを形成することで、関係人口の継続的な流入を促していく。

また、そうした拠点は「フェーズフリー」の役割も果たす。平時は地域のコミュニティ拠点として活用し、災害などの有事の際には避難や支援の拠点となることで、人々の心理的安全性を高めることができるのだ。

これまで培ってきた建設の技術を活かしながら、「あるもの」の価値を再構築する。地域の場作りからプラットフォーム形成、生活インフラの整備までを一手に担うSOUSHINホールディングスの姿は、まさにこれからの時代に求められる新しい地域の総合建設会社の在り方を示している。

 

建設×金融という独自の手法を組み合わせ、札幌市内から北海道各地へと広がりを見せるSOUSHINグループの「地域再創事業」。ハードだけでなくソフトの創出までを手掛ける同社の取り組みは、これからの地域建設業における一つの理想形と言えるだろう。

しかし、こうした「攻めのまちづくり」や事業の多角化を持続可能なものにするためには、足元を支える現場の生産性向上と、強固なバックオフィス基盤の存在が不可欠だ。

次回のVol.2では、2025年に管理部を分社化して誕生した株式会社SBOにフォーカスを当てる。職人さんや協力会社さんを守り、パフォーマンスを最大化するために、バックオフィスからできることは何か。属人化やアナログな管理からの脱却を目指す、同社のバックオフィス変革とDXの取り組みに迫る。

株式会社SOUSHINホールディングス
URLhttps://k-soushinhd.co.jp/
代表者代表取締役 岡田 吉伸
設立2025年
本社北海道札幌市豊平区月寒東4条18丁目2番6号
企画・取材: 平賀豊麻
執筆・編集:  金子結乃
デザイン:  森山人美、岩佐謙太朗
お客様担当: 小野寺裕也、都築峻
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