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樋口組|施工品質向上を目指して。サイディング工事会社の挑戦 

〜前編〜ANDPAD AWARD 2023 ユーザー部門「ベストボードユーザー賞」3位/受賞ユーザーインタビュー

目次

  1. 父の背中を追い兄弟で入社。息子たちも加わり家族3代で会社をけん引
  2. ANDPADボード活用で、遠隔での品質管理が可能に。稼働管理も効率化

ANDPADの利用状況をデジタルにスコアリングし、ANDPADを最も使っているユーザーを称賛するANDPAD AWARDのユーザー部門。本記事では、「ベストボードユーザー賞」3位を受賞した、有限会社樋口組の取締役副社長 樋口聖吾さんと、聖吾さんの兄であり、取締役社長としてともに経営を担う樋口英世さんにお話を伺った。

有限会社樋口組は愛知県蒲郡市に事務所を構える外装工事の会社で、創業は1986年。主に愛知県内の戸建て住宅を中心に、サイディング工事や屋根工事、雨どい工事などの施工を手掛けている。創業者である会長の言葉「誠意・熟練」を合言葉に、いかなる現場においても高品質な施工を追求しているのが特徴だ。

同社は元請企業から招待を受けてANDPADを使用しているほか、自社でもANDPADボードを契約している。職人の稼働管理や品質管理にANDPADボードを活用することで生産性を高め、隔週休二日を実現させている。時代の流れを読み、業務フローや働き方を変化させている同社では、自社の業務とANDPADボードをどのように組み合わせて活用しているのか。前編では、同社のモットーである「誠意・熟練」の実践に向けた取り組みに迫っていく。

父の背中を追い兄弟で入社。息子たちも加わり家族3代で会社をけん引

──このたびはANDPAD AWARD 2023 ユーザー部門「ベストボードユーザー賞」全国3位の受賞、おめでとうございます。まずは受賞の感想を教えてください。

樋口聖吾さん(以下、聖吾さん): ありがとうございます。受賞は嬉しいですが、自分たちとしてはANDPADがないと仕事ができないし、ANDPADボードでいつも通りに仕事をしているだけなので、正直表彰されて驚いています。

有限会社樋口組 取締役副社長 樋口聖吾さん

──いつもご活用いただき、ありがとうございます。はじめに貴社の業務内容や現在までの成り立ちについて教えていただけますか?

聖吾さん: 当社はサイディング工事を主とした外壁工事や屋根工事を請け負っている会社で、案件のうち95%近くは新築の戸建て住宅です。社員は現在10名で、社員職人と協力会社の職人さんとで工事を回しています。

樋口英世さん(以下、英世さん): 会社は先代である父(現会長)が1986年に創業して、もうすぐ40周年を迎えます。創業当時は工場の外壁や屋根などのスレート工事がメインでした。愛知はものづくりが盛んな街なので、当時は工場があちこちにできていた時期だったんです。現在は住宅の屋根や外壁の工事がメインですが、当社で扱う物件を「工場」から「住宅」へシフトチェンジしたころは、世の中的にも住宅の外壁材としてサイディングが主流になりつつあるタイミングでした。

有限会社樋口組 取締役社長 樋口英世さん

──お二人はご兄弟とのことですが、どういう経緯で入社されたのですか?

英世さん: 当社には、私も聖吾も高校を卒業してすぐ、18歳で入社しました。入社後は職人兼番頭という形で現場に出て働いていましたが、2020年に先代が会長となり、私が代表、聖吾が副代表に就任し現在に至ります。

──会社の中でお二人の役割分担は決めてあるのですか?

英世さん: 大まかには、営業は聖吾が、工事まわりは私が、というかたちで役割を分けています。実は私の息子二人も営業として当社に入社しており、社内のブログやインスタグラムを積極的に運用するなど、会社のために一生懸命頑張ってくれています。

──お父様の背中をしっかり見ていらっしゃるのは素敵ですね。創業しても次の世代がいなくてお店をたたんでしまう会社さんもいらっしゃるなか、20代、30代の若い世代にバトンを渡していけるのは素晴らしいと思います。元請企業様側としても、安心してお取引できるのではないでしょうか。

英世さん: そうだとありがたいですね。

──ところで、貴社では2022年よりANDPADボードをお使いいただいていますが、導入の理由や背景を教えていただけますか?

英世さん: もともとお取引先様の多くがANDPADを導入されていて、私どもも元請企業様から招待を受けるかたちでANDPADを使っていたんです。元請企業様がDXを進めていくなかで、当社としてもDXに対応し、より効率的に業務を行っていく必要があるだろう、ということで、馴染もあったANDPADボードを導入することに決めました。

ANDPAD導入以前に抱えていた課題としては、工事に関する資料や写真などの情報をPCで保管しており、それを職人さんに都度伝えることに手間がかかっていた、ということです。職人さんとはメッセンジャーアプリや電話でやり取りをしており、情報の受け渡しが非効率でした。工事に関する情報を一元的に管理し、作業工数を減らして効率化していきたいというのが導入の目的です。また、元請企業様からご指摘や注意を受けた内容を、社内でしっかりと共有し、会社全体として施工品質を向上させたいという理由もありました。

 

ANDPADボード活用で、遠隔での品質管理が可能に。稼働管理も効率化

──ここからは、実際にANDPADをどのように使っていただいているのかについて伺います。まず、お仕事が発生してから工事完了までの流れを教えてください。

聖吾さん: 元請企業様から工事の依頼が来たら、私のANDPADアカウントが元請企業様の環境のなかの対象の案件に招待されます。そこで資料や工程表を確認した上で、今度は自社のANDPADボードに案件を作成していきます。「屋根が10日間、壁が14日間、雨どいが2日間」という感じで予定情報を追加していくイメージです。その後、ANDPADボード上の案件に入っている情報をもとに、各営業担当が職人さんを手配していきます。

工事が始まってからは、職人さんがANDPADボード上で報告を上げてくれます。そこに添付されている写真を私と英世が確認し、問題がなければ、元請企業様から招待を受けたANDPADの案件内で、私から報告を上げる、という流れです。

──元請企業様のANDPAD上で報告を実施する前に、自社のANDPADボード上に上がってくる写真を確認することで自主検査を行っているんですね。

英世さん: そうです。元請企業様のチェックの前に、まずは私たちが施工のプロとしての目で見て確認します。例えば「壁つなぎ」といって、足場を設置した際に建物と足場をつなぎ止める部材があるのですが、その際に建物側にできる穴を最終的にシーリング材などで埋める必要があります。ANDPADボード上に上がった写真を確認した際に穴が残っていれば「ここの補修作業をお願いします」という具合に、職人さんに指摘することが可能です。

当社の工事が完了して納品したにも関わらず、その後になって元請企業様の監督さんからご指摘いただくことがないように、自社で検査・是正することまでを徹底しています。最終的に目指しているのはお施主様や元請企業様からの「ご指摘ゼロ」ですが、やはり実際はそれらがゼロになることはない。ただ、限りなくゼロの方向に近づけるのに、ANDPADボードが大いに役立ってくれているので、私たちとしては大変ありがたく感じています。

聖吾さん: ANDPADボードを活用する前までは、職人さんが良かれと思って現場の工事を進めてしまい、後で施工ミスが見つかるということもありました。だからこそ、私たち管理者側が現場に行かずとも写真を見て、要所要所でしっかりチェックできる体制づくりが必要だったんです。

──ANDPADボードを活用いただくことで、品質管理を徹底されていらっしゃるんですね。

英世さん: 会長の言葉であり、弊社のモットーでもある「誠意・熟練」を実践しています。自主検査をすることで元請企業様に喜んでいただき「樋口組に任せておけば安心して終わらせてくれるよね」となるのがベストだと思っています。一度弊社をご利用いただければ技術や品質、誠意などをご理解いただけると思っています。

──品質を高めるために、写真撮影においても定めているルールなどがあるのでしょうか。

聖吾さん: 隠ぺい部の写真を撮るように、ということは、現場の職人さんたちによくよくお願いしていますね。「使用している部材や、内部がわかる写真を撮ってください」と指示しています。完成したものは現場に行けば見られますから、やはり隠れて見えなくなる部分の写真が大事です。自分たちの工事品質の証明としても、写真は重要だと考えています。

英世さん: 竣工検査などの最終段階で不具合が発覚した際、原因が判然としない場合には、元請け・下請け間や協力会社同士で責任のなすり合いになったり、是正工事にかかるお金を「現場に入っている人たちで折半しましょう」なんてことになったりします。そんな時に隠蔽部まで含めた写真があれば、元請企業様にも「うちはきちんとこういう仕事をしています」と証明できる。また、見えなくなる部分まで含めて写真を撮ることを当たり前にしておくことで、職人さん自身の「しっかり仕事をしなければ」という意識の向上にもつながると思います。

 

元請企業に納品する手前で社内での検収をしっかりと行い、徹底した品質管理を行なっている同社。その根本には、会長の言葉であり、同社のモットーでもある「誠意・熟練」という信念とも言えるものがあった。続く後編では、同社においてANDPADボードがどのように活用されているのか、また隔週休二日など働き方の改善に向けてどのように取り組んでいるのか、深堀りしていく。

 

有限会社 樋口組
URLhttp://higuchi-gumi.jp/
代表者樋口 英世
設立1986年
本社愛知県蒲郡市形原町細田29-3
取材・編集:平賀豊麻
編集:原澤香織、田中萌菜
執筆:野岸泰之
デザイン:森山人美、安里和幸
お客様担当: 小森紗智子、渡邉光
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