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〜前編〜地域に根付いた工務店として、 サスティナブルな暮らしを提案

目次

  1. 「暮らしを楽しむ」をコンセプトに ライフスタイルに合った家づくりを提供
  2. 自社の多能工育成や 若手職人育成に注力
  3. ANDPADで可視化された問題に対して 解決策を全員で考えるように

不動産業をルーツとし、現在は輸入建材を用いたカントリーテイストの住宅を得意とする株式会社ヤマダタッケン。『すべての社員のアイディアと行動の結晶ですべての社員の幸せを追求し地域社会に貢献する』という経営理念で、注文住宅事業をはじめ、リノベーションやカフェ運営など、ライフスタイルの提案を行っている。今回は、代表取締役社長・澤野恵氏と、現場監督としてだけでなくさまざまな事業で活躍している新築工務・工事担当の敷村孝之氏にインタビューを実施。前編では、同社の家づくりのこだわりや、それを実現していくための社員や職人育成についての取り組み、ANDPAD導入の背景について伺った。

澤野 恵 氏
株式会社ヤマダタッケン 代表取締役社長

敷村 孝之 氏
株式会社ヤマダタッケン 新築工務・工事担当

「暮らしを楽しむ」をコンセプトに ライフスタイルに合った家づくりを提供

白山麓ふもとの河内村にログ村をつくったことをきっかけに建築業をスタートしたヤマダタッケンは、「暮らしを楽しむ」をコンセプトに、ただ住むためだけの箱ではなく、お客様一人ひとりの趣味やライフスタイルに合った家を提供している。

「ターゲットは一次取得層が中心なので、ママ主体の家づくりを手掛けています。従来は完全フリープランの注文住宅をベースに展開していましたが、お客様にとってわかりやすくお求めやすいものをつくろうと、2009年、規格商品『Ayu-m Maman(アユームママン)』が誕生しました。お客様の満足度も高く、現在では、全国にアユームママンの加盟店様は90社までに拡がっています」と語るのは、アユームママンの商品企画に携わった澤野氏。女性ならではの感性とお客様の意見を取り入れながら、商品を形にしていった。自邸を建てた時も商品開発に充てる研究開発の目的も兼ねてさまざまなエイジングを施すなど、カントリースタイルの家づくりへの探究心は目を見張るものがある。

澤野氏: 「昨年からはアユームママンのモデルハウスを展開。分譲後の将来的な資産価値も考えて、区画一体を同じテイストに揃えてランドスケープとして街並みをつくっています。ただ海外テイストの住宅をつくるだけでなく、海外のライフスタイルも輸入して伝えていきたい。だから、定期的に社員とともに海外研修を行い、実際に体験する機会を設けています。お客様と話す社員が本物を知らないと説得力が違いますからね」

オーストラリアでの社員研修のエピソードを語る澤野氏。温かみのあるエピソードに一同笑みが溢れた。

自社の多能工育成や 若手職人育成に注力

将来的にアフターサービスの充実を図る目的と、不動産事業の知見を活かして、8年前から手掛けるようになったというリフォーム・リノベーション事業。5年前からは、自社の多能工育成もスタートさせた。

澤野氏: 「塗装やエイジングなど当社にしかできない仕上げができる職人を育成し、他社との差別化に繋げるのが狙いです。アメリカではフレーマーやフィニッシャーなど工程ごとの分業制になっているのを参考にしました。現在はフィニッシャーとペインターが活躍しており、アパートリノベーションであれば、ほぼ自社の職人で完結させることが可能になっています」

また、Team Great Vision(チーム グレート ビジョン)という、未来の職人を育むためのコミュニティをつくり、パートナーの若手職人がチームとなって情報交換や関係性構築の場としてコミュニケーションを図っている。

澤野氏: 「工務店は、地域のなかでは井の中の蛙なので、『グレートビルダーズ』という全国の有志の工務店コミュニティで定期的に情報交換をしています。実は、ANDPADもここで教えてもらったんですよ。TGVは、若い職人でチームをつくっている他社事例を参考にしました。当社のパートナーである職人は創業当初からずっと変わりませんが、二代目、三代目にあたる若手の職人が目上の職人に意見しづらい環境だったので、若手の職人の意見を吸い上げて現場を活性化させる目的で立ち上げました」

敷村氏: 「職人の方々が意見を言いやすい風土ができたことで、ANDPADなどのツール利用も積極的に協力してくれていますし、運用面の提案をいただくことも。より良い仕事をするために意見をはっきり言ってくださるので、良い関係性が築けています」



ANDPADで可視化された問題に対して 解決策を全員で考えるように

社内外でのコミュニケーションが活発に行われている同社に、ANDPADの導入の背景と浸透している理由について伺った。

澤野氏: 「ANDPADを導入したのは、安心材料としての意味合いが大きいですね。お客様からクレームがあって初めて現場で起きたことを知るのは恥ずかしいですから。全棟管理できることで、特にリノベーションの細かいところまで目が届くようになりました。あとは、個人的には現場に立ち寄る際の差し入れを買うためにコンビニも探せるので、マップが重宝しています」

敷村氏: 「元々、サイボウズを利用していて職人の方々もデジタルツールに慣れていたため、ANDPADへの移行はスムーズでした。より直感的に操作ができるようになって使いやすくなったと好評です。年配の職人も使いこなしていることで、周りも刺激を受けて相乗効果に繋がっていますね。特に、リフォームは工程が細かく分かれているので、こまめに報告を上げてくれるようになって非常に助かっています。

また、今まで施主報告には3G通信機能付きデジタルフォトフレームを利用していましたが、更新がうまくできずお施主様に見ていただけないこともあり、一方通行になっているのが課題でした。ANDPADは日報に画像をアップすれば自動的にストックされていくので手間も省けますし、お施主様からのレスポンスもいただけるので安心です」

澤野氏: 「何かトラブルや問題が起きた時に、当事者同士が電話で解決してANDPAD上に履歴が残らないケースも。そのため、毎週月曜日の朝礼後の工程管理の進捗共有時に、ANDPAD内で議論になっていることについての共有や確認を行い、全ての現場の状況を把握しています」

敷村氏: 「基本的に社長が全ての案件に参加していることを、職人の方々も皆さん知っていますので、上手に活用して職人の方々から問題提起されることも。今までは担当社員がその場で解決してブラックボックス化していた課題が可視化されることで、今後の対策を全員で考えるようになりました。もちろん、現場は何事もなくスムーズに流れていくのがベストですが、うまくいかない部分をしっかり正していくのは大事なことですからね」

携わる人間がいかに同じ想いをもって家づくりに対峙できるかどうかが、クオリティを左右する。それを知っているからこそ、多能工育成や若手職人育成などに注力し、ライフスタイルも含めたこだわりの家づくりを追求してきた同社。元々、創業者である会長の山田氏がITを積極的に活用していたこともあり、ITの利用については抵抗感のない土壌をもっていたが、さらにANDPADを活用することで社内外のコミュニケーションがより円滑になり、風通しの良い風土が育まれている。それは、ANDPADの工程表へ進行報告、完了報告の約8割がパートナーである職人からしっかり上がってくる運用状況からも伺える。こうした社外も巻き込んだデジタル化が進んだのは、TGVのようなコミュニティをつくり、特に若手のパートナー職人でも意見を出しやすい空気づくりを行ってきたことが功を奏している。

株式会社ヤマダタッケン
URLhttps://www.yam21.com
代表者代表取締役 澤野恵
設立1987年9月
所在地〒921-8164 石川県金沢市久安1丁目411番地
取材・編集:平賀豊麻
ライター:金井さとこ
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