文字サイズ

ライフデザイン・カバヤ|5年で事業規模は10倍、組織は約6倍に成長!若手の挑戦が特建事業を活性化〜前編〜

子育て世代の若手社員が業務効率化を推進

目次

  1. 5年で社員数が約6倍! 地域トップのハウスビルダーが手がける特建事業
  2. 2030年の売上目標を軽々とクリア、リファラル採用に力を入れて組織を強化
  3. 家族を大切にするために転職を決意、若手が事業をつくり上げていく風土に共感
  4. ANDPADではじめてAIを活用、業務全体を見渡して積極的に効率化に取り組む

ANDPADの利用状況をデジタルにスコアリングし、ANDPADを最も使っているユーザーを称賛するANDPAD AWARDのユーザー部門。今回は、2024年の1年間を通して、ANDPAD黒板を最も活用したユーザーを表彰する「ベスト黒板ユーザー賞」において第2位を受賞した、ライフデザイン・カバヤ株式会社の黒木 稜太さんにお話を伺った。

木造住宅販売を主軸に、リフォーム・不動産・エクステリアなど「住まい」に関わる事業を総合的に展開しているライフデザイン・カバヤ株式会社。本社を置く岡山県では、低層住宅着工棟数(住宅産業研究所調べ)において8年連続1位、中国ブロックでは4年連続1位を獲得している地域トップのハウスビルダーだ。
同社は、住宅事業部門で2022年にANDPADを導入。これまで利用していた施工管理ツールをANDPADへ乗せ換え、基幹システムと顧客管理システム、ANDPADの3つを自動連携して業務プロセスを管理する体制を整えた。

また、現在は木造建築で培ったノウハウを活かし、「木造ゼネコン」として中大規模施設の施工にも注力。非住宅分野の建築事業を手がける「特建事業部」が急速に業績を伸ばしている。

今回「ベスト黒板ユーザー賞」第2位を受賞した黒木さんは、この「特建事業部」のメンバーだ。特建事業部では、2024年よりANDPAD施工管理の運用を開始し、その後、ANDPAD請求管理を導入している。
黒木さんは、全国展開するゼネコンで施工管理担当として経験を積んだ後、2024年に同社へ転職。入社とほぼ同時期に特建事業部でのANDPAD運用がはじまり、同社の業務の進め方を理解しながら、業務効率化に向けて主体的にANDPADを活用し、試行錯誤を続けている。

今回のインタビューには、ライフデザイン・カバヤ株式会社 執行役員 特建事業本部長 近藤 晋太郎さんにも同席いただいた。前編では、特建事業部の急成長の軌跡や人材採用戦略、黒木さんの経歴や転職のきっかけを詳しく伺った。

 

5年で社員数が約6倍! 地域トップのハウスビルダーが手がける特建事業

──ANDPAD AWARD 2025「ベスト黒板ユーザー賞」2位受賞、おめでとうございます!まずは貴社の事業内容について教えていただけますでしょうか? 

近藤さん: 当社は、「安心して住み続けられる住宅」を販売する新築住宅事業を主軸に、リフォームや不動産など、「住まい」に関わる事業を総合的に展開している企業です。
2030年までを視野に入れた新中期経営計画では、新築住宅事業を「既存事業」、不動産・リフォーム・エクステリアを「成長事業」、非住宅領域の建築を手がける特建事業・CLTの普及を目指すFC事業・海外事業を「新規事業」と位置づけ、3分野での多角化経営を目指すビジョンを掲げています。2030年に売上高500億円を達成できるように、全社一丸となって取り組みを進めている段階です。

取材に同席いただいた、ライフデザイン・カバヤ株式会社 執行役員 特建事業本部長 近藤 晋太郎さん。大学卒業後、2社のゼネコンで建築・土木の施工管理を20年ほど担当し、同社へ入社している。

──お二人が所属されているのは新規事業に位置づけられている「特建事業部」ですが、事業の詳細を教えていただけますか?

近藤さん: 特建事業部は、低層アパートをはじめ、医療・福祉施設、教育施設、商業施設、分譲マンション、ビルなど、非住宅分野の建築を手がける部門です。事業部自体は10年ほど前に立ち上がったのですが、私が入社した5年前はまだ7〜8名の部門でした。メンバーは新築住宅事業から異動してきた社員が中心で、ゼネコンでの現場監督経験があるのは60代の社員2名しかいない状況でした。2025年現在では、特建事業部全体で48名、現場監督だけで35名を擁する部門に拡大しています。

──近藤さんが入社してから5年で急拡大されているのですね! 特建事業部の現在の人員構成はどのようになっているのでしょうか?

近藤さん: 現場監督35名のほかに、営業担当、設計担当、事務担当が在籍しています。また、年齢構成は30〜60代が半分、残りの半分が20代と 、若手世代が中心の組織になっています。現在は、住宅事業から異動してきた人材はおらず、新卒社員2名を除き全員が同業であるゼネコンからの転職組です。

男女比率で考えると、まだまだ男性中心の職場ですが、現在は女性の現場監督も1名活躍しており、昨年は営業担当者として新卒の女性社員を1名採用しています。今後は女性の採用にも積極的にチャレンジしていく考えです。

──貴社は岡山県でシェアトップのハウスビルダーでいらっしゃいますが、特建事業部の施工エリアも岡山県中心なのでしょうか?

近藤さん: そうですね。岡山県を中心に実績を増やしつつ、香川県、山口県でも工事を行っています。現在は14現場が進行中ですが、今後は広島県、島根県といった近県をはじめ、東京都にも施工エリアを拡大していく予定です。私が入社して2年目に特建事業部独自の協力会社会を立ち上げたので、新築住宅事業と同様に、協力会社さんの確保がしやすい体制は整っています。

──木造建築に強みを持つ貴社は、特建事業部のコンセプトにも「木造ゼネコン」を掲げていらっしゃいます。木質構造材「CLT」の普及にも取り組まれているかと思いますが、木造・RC造・S造のなかで、市場のニーズとしてはどれが一番多いでしょうか?

近藤さん: マーケットのニーズとしてはRC造がもっとも多く、その次がS造で、木造はまだこれからといった状況です。特建事業部内に、RC造の分譲マンションを手がけてきた経験者が増えてきたこともあって、現在は分譲マンションの受注が増えています。受注額としては、1億円〜50億円まで幅があり、基本は施工のみを請け負っています。小規模案件の場合は、当社が企画・設計から入る場合もあります。

 

2030年の売上目標を軽々とクリア、リファラル採用に力を入れて組織を強化

──2023年に開催したANDPAD ONE CONFERENCE 2023にて、貴社の窪田社長にご登壇いただき、新中期経営計画の詳細をお話していただきました。当時は、特建事業を含む「新規事業」の社内売上シェアを2030年までに20%にすると目標を掲げられていましたが、現在の状況はいかがでしょうか?

近藤さん: 特建事業部の完工売上高は急速に伸びていて、2024年度は139億円で着地しました。私が入社した5年前と比べると、社員数も大幅に増えていますし、事業規模も10倍以上になっています。
2030年の目標として掲げていた、社内売上シェア20%も十分に超えています。会社全体の売上目標500億円にも、2024年の時点であと少しのところまできています。

──2030年より、かなり前倒しで達成されているのですね!

近藤さん: 私が入社してから1〜2年目は、特建事業部単体では赤字で、3年目にようやく損益がプラスマイナスゼロになりました。その後、2023年に少し利益が出はじめ、2024年に大幅に黒字化できたような流れになっています。社員数を増やし、組織としての先行投資を進めてきたので、まさに蒔いた種が芽吹いてきた状態と言えます。社内でも成長事業として認識されているので、部署全体にも活気が生まれてきています。

あとは、運が良かったのもありますね。現在大手ホテルチェーンが手がけているホテルと賃貸マンションを一体開発する大型プロジェクトに参加させていただいたりと、いろいろと縁がうまくつながって、今の成長があると感じています。


──2024年にはANDPADも導入いただいており、特建事業部の成長過程に花を添えられていることを嬉しく思います。社員数も大幅に増えたとのことですが、人材採用や組織づくりはどのように進められたのでしょうか?

近藤さん: 採用市場から人材を募るのではなく、リファラル採用に力を入れてきました。私が声をかけた10人ほどが入社してくれていますし、そのメンバーが同じ想いを持つ仲間に声をかけてくれて、中途入社者がどんどん増えていきました。実は、黒木も私が声をかけて入社したメンバーが連れて来てくれたひとりです。

組織づくりは最初が肝心と考えていたので、全員が一体感を持って仕事に取り組めるような組織にするためにも、技術だけではなく当社の企業文化や理念に共鳴できる「人格」を重視して採用活動を進めました。結果として、現在の主力メンバーは、ライフデザイン・カバヤの一員として共に事業を築いていける、信頼できる社員がほとんどなので仕事がしやすいです。人材採用においても良いメンバーと縁があって、運が良かったと感じています。

 

家族を大切にするために転職を決意、若手が事業をつくり上げていく風土に共感

──ここからは、トップユーザーである黒木さんにお話を伺いたいと思います。まずは、これまでのご経歴と、貴社に入社した経緯を教えていただけますか?

黒木さん: 私は大学卒業後、全国展開しているゼネコンに就職し、香川県で7年ほどRC造の物件をメインに施工管理を担当していました。転職のきっかけは、3人目の子どもの誕生です。私は宮崎県出身で、妻は広島県出身なのですが、香川県はお互いの実家を頼って子育てができる立地ではなかったので、「もっと家族のことを大事にできる環境で働きたい」と考えはじめました。

そこで、勤務地の候補として岡山県を考えたときに、紹介されたのが当社でした。岡山県内で急速に特建事業を拡大している成長企業で、なおかつ働きやすい環境づくりが進んでいると知り、入社を決めました。

──貴社は、社員全員が参加する運動会が2年に1度開催されていたり、社員旅行もありますよね。昔ながらの「人のつながり」を大切にする、温かい企業文化が貴社の特徴だと感じてますが、黒木さんはカルチャーショックは受けませんでしたか?

ONE編集部より
社員旅行、運動会をはじめ、同社では会社全体の一体感を醸成するためにさまざまな取り組みを行っている
社員の結束を高める「カバヤイズム」がDX戦略・人材育成を成功に導く
https://one.andpad.jp/magazine/11638/

黒木さん: たしかに驚きました(笑)。前職は全国規模のゼネコンだったため、会ったことのない社員がたくさんいるのが当たり前だったので、全員参加で運動会をすることがシンプルにすごいなと思いました。私も運動会に参加しましたが、人と人とのコミュニケーションを大切にする意識がとても高い会社だと実感しています。

──貴社に入社して良かったことがあればぜひ教えてください、

黒木さん: 以前勤めていたゼネコンは、50代〜60代の施工管理担当者が多く、どうしても昔からの慣習や固定概念、ルールに縛られた状態で仕事を進めなければならない感覚がありました。その点、当社は中途入社の若手社員が多いので雰囲気が全く違います。「今から事業を成長させていこう」と全員が意識を揃えて仕事ができているのが、すごく良いですね。

ライフデザイン・カバヤ株式会社 工事部 特建工事課 黒木 稜太さん


ANDPADではじめてAIを活用、業務全体を見渡して積極的に効率化に取り組む

──黒木さんは、黒板AI作成機能の利用率が高く、今回ANDPAD黒板のベストユーザー賞全国2位を受賞されています。普段からANDPAD黒板を活用されているかと思いますが、受賞時の社内の反応はいかがでしたか?

近藤さん: 特建事業部のメンバーの前で発表したのですが、拍手が起きたよね。

黒木さん: そうでしたね。私は日々の業務で使っていただけなので、「なぜ全国2位?」と正直驚きました(笑)。私がANDPADに触れたのは当社に入社してからだったのですが、入社当時は特建事業部でもANDPADを導入したばかりで、全員がまだANDPADの利用に慣れていない状況でした。ですから、誰かに聞くというよりは、まずは自分で使ってみようと試行錯誤をしていたので、黒板作成数が多くなったのかもしれません。

近藤さん: 黒木が担当している現場は、RC造の高層マンションのため、配筋写真の撮影枚数が非常に多いです。他の施工管理担当よりも、黒板AI機能や豆図キャプチャーを利用する機会が多かったことも受賞につながった要因と言えるでしょう。

──とはいえ、2024年から初めてANDPADを利用し、トップユーザーに輝いたのはすごいです。黒木さんは前職のゼネコンでは、どのような方法で黒板写真を撮影し、管理されていたのでしょうか?

黒木さん: 前職では、専用カメラと事務所のPCを連携する配筋検査システムを利用していました。ベンダー(システム提供会社)に構造図を送ると検査に必要な豆図をデータ化して専用カメラにセットしてくれるサービスがあり、私たち施工管理担当者は、豆図と黒板情報が入った専用カメラを持って現場に行って配筋写真を撮影し、その後PCとつないでデータを取り込んで、Excelで写真台帳を作成していました。

──以前もデジタルツールを活用されていたのですね。以前のシステムからANDPADに変わり、ギャップや戸惑いはありましたか?

黒木さん: 以前の職場では、豆図や黒板の作成自体をベンダーが対応してくれていたため、ANDPADで各監督が自分でデータを作成し、保存しなければならない環境に当初は手間を感じました。しかし、これは私自身がANDPADを使いこなせていないからだと考え、まずはこの新しい環境に慣れるために徹底して使ってみることにしたんです。

──自分で豆図データを作らなくてもいい環境から自分で作る環境に変わり、面倒だと感じられたこともあったかと思いますが、なぜANDPADでの黒板作成にトライし続けられたのでしょうか?

黒木さん: 事前準備だけを考えれば負荷を感じることもありましたが、写真の整理や台帳作成まで含めた業務全体を見たときに、ANDPADを活用した方が絶対に自分のためになると確信しました。というのも、以前利用していたシステムでは、写真台帳を作成する際に、Excelのフォーマットに自分で配筋情報を打ち込み、専用カメラで撮影してきた写真を挿入する手間がありました 。その点、ANDPADは、撮影した配筋写真を選択するだけで台帳作成ができ、黒板内容やコメントも一括で反映できるからです。

黒木さん: この期間、とにかくANDPADを使いこなそうと、AIでの黒板作成も様々なパターンを試しながら、自分にとって最適な形を追求しました。その結果、豆図作成、写真撮影、台帳作成の流れが今までに比べて格段に楽になり、写真台帳作成にかかっていた1日1〜2時間の残業を削減することができました。

私は家族との時間を大切にしたいと当社へ転職しましたが、ANDPADがなければ家族との時間を削る必要があったのではないかと思っています。こうして業務効率化を追求し、ベスト黒板ユーザー賞2位を受賞できたのは、徹底的に使いこなそうとした結果だと感じています。

(左から)コミュニティマネージャーの平賀、ライフデザイン・カバヤの近藤さん、黒木さん、アンドパッド林。黒木さんへ、ANDPAD AWARD 2025 授賞式の招待状をお渡ししました

地域トップのハウスビルダーとして積み重ねてきた実績を基盤に、2020年からは特建事業に注力し、組織拡大と業績アップを実現した同社。「人と人のつながり」を大切にする風土が、人材採用にも事業にも良い影響を及ぼし、現在も成長のスピードを加速している。

黒木さんは、前職で利用していたシステムとの間にギャップを感じつつも、少しでも早くANDPAD黒板を有効活用できるようにトライ&エラーを繰り返してきた。従来のシステムではベンダーが提供していた豆図データの作成などを、ANDPADでは自ら行う必要があったため、当初は手間がかかると感じる場面もあった。しかし、業務全体を見渡したとき、ANDPADを活用した方が絶対に効率的になり、最終的には格段に楽になるという確信があった。その確信と、効率化を追求する意識があったからこそ、今回黒木さんが「ベスト黒板ユーザー賞2位」を受賞したのだろう。

後編では、黒木さんたち若手社員のノウハウを水平展開していく同社の「若手会議」の詳細や、ANDPAD図面の活用方法などに迫っていく。

ライフデザイン・カバヤ株式会社
URLhttps://lifedesign-kabaya.co.jp/
代表者代表取締役社長 窪田 健太郎
設立1972年
所在地岡山県岡山市北区中仙道二丁目9-11
取材・編集:平賀豊麻
編集:原澤香織、田中萌菜
執筆:保科美里
デザイン:森山人美、安里和幸
お客様担当: 林哲郎
リンクをコピー
Facebook
X
  1. ホーム
  2. ゼネコン・オーナー
  3. ライフデザイン・カバヤ|5年で事業規模は10倍、組織は約6倍に成長!若手の挑戦が特建事業を活性化〜前編〜
  1. ホーム
  2. ゼネコン・オーナー
  3. ライフデザイン・カバヤ|5年で事業規模は10倍、組織は約6倍に成長!若手の挑戦が特建事業を活性化〜前編〜