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〜前編〜広範囲に渡る職種を経験したDX人材が取り組む 融和的デジタル変革のプロセス

目次

  1. 長年地道に積み重ねてきた実績によって、地元の信頼を獲得
  2. 「安くて良いもの」をモットーに、地に足着いた家づくり
  3. マニュアルやデジタルツールを駆使して、異なる職種の相互理解を深める

昭和43年に香川県高松市でスタートしてから半世紀にわたり地域の住まいづくりを行なってきた株式会社日進堂。2012年以来、着工棟数は10 年連続で香川県トップ(住宅産業研究所調べ)と、長年の信頼と豊富な施工実績をもつ地元密着型企業だ。現在は、香川県に加え岡山県でも事業展開しており、同社の家づくりは、間取りはもちろんのこと、希望に合わせて仕様も選べる完全自由設計が強み。ホームアドバイザーやインテリアコーディネーター、設計士、現場監督がチーム一丸となって理想の家づくりをサポートしている。今回は、企画部兼経営企画室・山田真美氏にインタビューを実施。前編では香川県トップを維持し続けるための商品企画や組織体制について紹介する。

山田 真美 氏
入社16年目。企画部で広報企画、経営企画室で商品企画・総合企画を兼務。
入社後は営業・コーディネーター・設計・現場監督と、あらゆる職種を経験し、リフォームやアフターメンテナンス、テクノストラクチャーの事業部に携わった後、現職。

長年地道に積み重ねてきた実績によって、地元の信頼を獲得

元々は菓子製造店としてスタートした同社は、不動産や住宅建築など地域の暮らしを支える事業に転換し、現在は香川県トップの着工棟数を誇るまでに成長を遂げてきた。地場ビルダーが強いエリア特性もあり、創業120年以上の歴史ある会社として、地元では高い信頼を得ていることが、同社にとって大きな強みとなっている。

「社長の言葉を借りますと、県内の不動産に長年携わり深く精通している社員が多く在籍しているため、不動産業者からの紹介や売り主から直接に売却相談も受けられるのが当社の強み。また、多くの土地情報の中から分譲地に適した物件の選別を行うことができるので、宅地分譲で培ったノウハウや地元とのつながりを大切にしながら、注文住宅も受注しています。

県内の競合他社も特徴的で取り組みも素晴らしく、そんな強豪ぞろいの中で、「商品では絶対に負けない!」と言いたいところですが、当社は「みんな違ってみんないい」の精神で、「日進堂の強み」は当社だけの強みではないと思っています。ただ、地道に積み重ねてきた香川県No.1という実績は、やっと「日進堂の強み」と自信をもって言えるようになったような気がしていますね」(山田氏、以下同)

山田 真美 氏 株式会社日進堂 企画部  部長 商品企画室

「安くて良いもの」をモットーに、地に足着いた家づくり

地道な積み重ねから、着実に着工棟数を増やして成長し続けている同社だが、地域の方々に選ばれる商品企画の秘訣とはどのようなものだろうか。

「当社の注文住宅は完全フリープランですが、売りたい家より、つくり手が欲しがる家を建てるということを強く意識しています。当社社長は建築関係の出身ではないので、デザイン重視で建物を「作品」として考える発想はなく、独りよがりな提案はしません。お客様のニーズやトレンドはもちろん意識はしていますが、そこに安易に手を出さずにお客様にとってリスクを最小限に抑えるという、ある種怖がりで慎重な「石橋を叩きまくって渡る」商品企画ですね。たくさんの方の家づくりに携わらせていただく以上、危ない橋は渡らない。どうしても渡らないといけない場合は、慎重に検討して補強しまくって渡るようにしています。

また、当社の社員自身も住宅建築経験者が多く、自分の経験を基にお客様にプラン提案をしたり、職人さんにフィードバックしているので、リアルな家づくりができるのも強みの一つです」

こうした地に足着いた家づくりは、クチコミを重要視しているところからも伺える。香川県の住宅マーケットは若年層が多いことから収入面や自己資金など資金面が厳しいケースが多く、ローコスト志向が強い。そのなかで、何十年も住む家を建てるとなると「安価で良いもの」であることは絶対条件だと言う。住宅品質のバリューは現場の職人ほどよくわかっているため、彼らに「日進堂の家は安いけどボロい」と言われるようなものであってはならないからだ。「安価で良いもの」を提供することで、お客様はもちろん、現場の職人から紹介に繋がるケースも多い。クチコミを後押しする立ち位置で、SNSやWEB広告、TVCM、ポスティングなどを組み合わせたプロモーションを行っている。

また、アフターメンテナンスでは、半年、1年、2年、5年、10年のタイミングで定期点検を行っている。半年点検は営業担当と現場監督が訪問し、1年以降は営業担当がフォローしながらメンテナンス専門会部署が行うことで、地域の方々の信頼を生み出しているのだ。さらには、親子代々同社で家を建てるといった信頼の連鎖に繋げている。



マニュアルやデジタルツールを駆使して、異なる職種の相互理解を深める

同社はインテリアコーディネーターの人数が営業職の次に多く、着工後も顧客窓口として現場監督との架け橋になっているのが大きな特徴だ。

「よく言う『女性目線でのご提案』というのもメリットとしてあるのかもしれませんが、当社のインテリアコーディネーターは、営業、設計、現場監督や職人、そしてお客様を繋ぐハブのような役割を担っています。ANDPADの使用頻度もインテリアコーディネーターが一番多く、インテリアコーディネーターが設計と現場監督の中間のような立ち位置で双方を行き来する役割を担っている。そうすることで現場監督は現場に集中し、設計担当は設計に集中するというように、建築にかかわる場面を分担することで満足度の高い家づくりを提供しています。支店を越えてコミュニケーションを取らなければならないので、全員に同じ密度の情報を共有できるANDPADチャットは欠かせないものになっていますね」

また、施工業務、コーディネーター業務、引渡し業務など、それぞれのセクションの業務内容を明確にするためのマニュアルを制作。新入社員の教育や業務の効率化が主目的ではあるものの、異なる職種の業務内容を相互理解するためのツールとして位置付けている。各部署のミーティングの議事録も含めてANDPADに社内共有用の案件を作成し、案件内の[資料]に社員に知ってほしい情報を格納し、いつでも確認でき、フォローし合える環境を整えた。

「当社は商品や広告だけで売上を上げてきた会社では絶対にない。地元の方とのつながりや社員の人柄が一番だと思っています。個々の能力ややり方を尊重しながらたくさんの社員がうまく折り合いをつけて職務に励んでいるので、社員が同じ方向を見られるように、どんなツールを使うか、どうやってより社外とのコミュニケーションに充てる時間を捻出するかを考え、マニュアル作成を行っています。100人近く社員がいますが、一人ひとりの顔を思い浮かべながら提案しています。画一化されたものを提案するほうがラクですが、ダメだと思ったらすぐ方向転換できる柔軟性があるほうが強いと思っているので『絶対こうしないといけない』ということは決めずにやっています」

地元とのつながりを大切にしてマーケットのニーズを捉え、つくり手が欲しがる実直な家づくりとをしている同社。そして、営業・設計・コーディネーター・現場監督など全ての部署がお互いを気遣い合いながら、フォローし合える企業文化こそ、お客様に選ばれる最大の理由かもしれない。

また、山田氏が中心となり、ANDPADを社内の情報ポータルとして活用し、各セクションのミーティングの議事録やマニュアルの情報整理を積極的に行い、お客様や社内における円滑なコミュニケーションを実現している。

香川県、高松市商圏、高松周辺商圏、丸亀商圏、丸亀市、坂出市等の地域での2019年度住宅販売においての総合部門第一位の認定証(株式会社住宅産業研究所発行)

後編ではANDPAD導入の背景、導入後社内コミュニケーションの質がどのように向上したのか、今後の展望について紹介する。

株式会社日進堂
URLhttps://nissindo.net
代表者代表取締役 喜久山 知哉
設立1968年12月
所在地〒761-8071 香川県高松市伏石町2037-18 
取材・編集:平賀 豊麻
ライター:金井 さとこ
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