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建設業界の未来を担う「技と志」の継承

東京大工塾主催 第10期入塾式・10周年記念式典イベントレポート

目次

  1. 【第10期入塾式】基本を重んじ、一棟を建てられる職人へ
    1. 「速さよりも、まずは丁寧な仕事を」理事長が語る職人としての心構え
    2. 「この人に建ててもらってよかった」と思われる大工へ。6名の決意表明
    3. 第1期生2名に贈られた技能継承の証
  2. 【10周年記念式典】工務店と流通が一体となる「持続可能な大工育成の仕組み」
    1. 工務店と流通が一体で築いた、大工入職者の不安を解消する「3つの方針」
    2. 大工のキャリアプランを可視化する独自のCCUS(建設キャリアアップシステム)
    3. 逃げずに現場と向き合った若手大工の成長と指導者の葛藤
    4. 能登半島地震支援から木工チャレンジまで、広がる大工の魅力発信
    5. 胸を張って「大工技能士です」と言える社会を創る

一般社団法人東京大工塾主催の「第10期入塾式・10周年記念式典」が、4月24日(金)に当社ANDPAD STADIUMにて開催されました。

建設業界の深刻な人手不足が叫ばれる中、10年にわたり若手大工の育成と技術継承に尽力してきた東京大工塾。設立から10年という大きな節目を迎えた本式典にて、未来を担う新たな大工技能者の入塾を祝うとともに、これまでの歩みを振り返った当日の様子をご紹介します。

 

【第10期入塾式】基本を重んじ、一棟を建てられる職人へ

本式典の司会進行は、東京大工塾事務局(株式会社タカキ)の時計俊介さんが務めました。

一般社団法人東京大工塾 事務局 時計俊介さん

 

「速さよりも、まずは丁寧な仕事を」理事長が語る職人としての心構え

開会に際し、佐藤義明理事長(株式会社ハウステックス)より、賛助会員への謝辞と第10期入塾生への祝辞が述べられました。

一般社団法人東京大工塾 佐藤義明理事長

佐藤理事長は、大工の目標を一棟丸ごと建てられるようになることとし、特に「丁寧な仕事」を心がける重要性が語りました。「速さを追い求める必要はありません。しっかり丁寧な仕事をしていれば、速さは後からついてきます」と、これから歩みを始める入塾生へ、基本を重視する姿勢を伝えました。

さらに、国内の大工人口がこの10年で10万人以上減少し、ボリュームゾーンが60代後半から70代前半となっている現状に触れ、「設計はAIで代替できるかもしれないが、一つ一つのものづくりで家を建てる大工の仕事はAIにはできない」と、職人が持つ技術の専門性と価値が強調されました。

 

「この人に建ててもらってよかった」と思われる大工へ。6名の決意表明

続いて、第10期生として入塾した6名の若き塾生が紹介されました。

新入塾生は「形に残り人の生活を支える仕事がしたい」「歴史がある技術をしっかりと継承して、より多くの人に『この人に建ててもらってよかった』と思っていただけるような大工になれるように精進します」「一つ一つの仕事を丁寧に行い、同時に楽しみながら取り組んでいくことと、技術と人として信頼される職人になりたい」など、それぞれの決意表明とともに塾生証が交付されました。

第10期入塾生の6名

 

第1期生2名に贈られた技能継承の証

また、「10年顕彰式」も執り行われ、第1期生として入塾し10年間にわたり大工技能の研鑽に励んだ2名が表彰を受け、記念品として鉋が贈呈されました。

 

【10周年記念式典】工務店と流通が一体となる「持続可能な大工育成の仕組み」

入塾式に続いて行われた記念式典では、来賓の方々から祝辞が寄せられました。

ジャパン建材株式会社の小川明範社長は、持続可能な住宅環境づくりにおいて大工が不可欠であることを語り、「知識はAIで代替できても、それを現場で実装する作業はデジタルにはできない」と、現場を支える大工の普遍的な価値と未来へのエールを送られました。

ジャパン建材株式会社 代表取締役社長執行役員 小川明範さん

 

また、首都圏建設産業ユニオンの清水致子さんからは、職業訓練校と連携した教育体制への評価と、持続可能な産業構築に向けた連携への期待が述べられました。

首都圏建設産業ユニオン 書記長 清水致子さん

 

工務店と流通が一体で築いた、大工入職者の不安を解消する「3つの方針」

続いて髙木裕理事(株式会社タカキエステート)より、東京大工塾設立当初の構想から現在に至るまでの10年の歩みが語られました。

一般社団法人東京大工塾 髙木裕理事

長期優良住宅推進事業をきっかけに、若手が業界に入る際の「不安」を解消したいという有志が集まり発足した同塾。

「工務店での正社員採用による処遇改善」「OJTによる見通しを持った教育」「職業訓練校での共通の学び」という3つの方針を掲げ、工務店と流通・メーカーが資金面も含めて協力し合う仕組みを構築してきた歴史が紹介されました。

 

大工のキャリアプランを可視化する独自のCCUS(建設キャリアアップシステム)

CCUS委員長の吉田薫理事(株式会社創建舎)からは、現在構築を進めている「東京大工塾版CCUS(建設キャリアアップシステム)」制度について説明がありました。

一般社団法人東京大工塾 吉田薫理事(CCUS委員長)による「東京大工塾版CCUS(建設キャリアアップシステム)」制度のご説明

東京大工塾版CCUSでは、木造住宅建築に特化した独自の技能評価基準を設け、大工の技能だけでなく社会人としての基礎能力も可視化し、レベル1からレベル4まで体系的に評価を行います。

「能力評価基準シート」にある評価点数に基づき、実務における技術力を詳細に数値化。そこに「+α」として必要な資格や講習を組み合わせることで、現場で活躍できる技能を客観的に評価する仕組みとしました。

単に評価をつけることが目的ではなく、大工自身が自分の現在地と目標を明確にし、技術の成長と報酬の向上につなげるモチベーションとすることを狙いとしています。

■東京大工塾の能力評価基準
レベル1:塾生大工技能者(仕事を知り、理解し、上司指導のもと作業を学ぶレベル)
・就業日数目安:0日〜
・賃金目安:300万円〜
・資格・講習等:丸のこ等取扱い作業従事者教育、フルハーネス型墜落制止用器具特別教育

レベル2:見習大工技能者(指導を受けながら、基本的な作業を正確に行うことができるレベル)
・就業日数目安:430日〜
・賃金目安:350万円〜
・資格・講習等:足場の組立て等作業従事者特別教育、玉掛け(技能講習修了者)、石綿取扱い作業従事者特別教育

レベル3:標準大工技能士(木造在来工法の主要な工程を理解し、一人で一棟の施工を任せられるレベル(1人で5棟経験あり))
・就業日数目安:1,075日
・賃金目安:500万円〜
・資格・講習等:2級大工技能士、木造建築物の組立て等作業主任者

レベル4:上級大工技能士(現場全体の管理・指導ができる、職人の核となるレベル)
・就業日数目安:2,150日〜
・賃金目安:700万円〜
・資格・講習等:1級または2級大工技能士、職長・安全衛生責任者教育、木材加工用機械作業主任者技能講習

 

逃げずに現場と向き合った若手大工の成長と指導者の葛藤

式典の後半では、第1期生、現役塾生代表、そして指導にあたる大工たちによるスピーチも行われました。17名の塾生、2名の指導大工が登壇し、社員大工として現場で経験した喜びや苦労、失敗から学んだ成長の記録を語る姿に、塾生全員が現場で奮闘し、成長している様子が伝わりました。

「自分が関わった建物が形になり、人が生活していくことが一番のやりがい。うまくいかない時ほど逃げずに向き合ってほしい」という後輩への熱いメッセージや「どれだけ緻密な図面があっても、最後に建物に命を吹き込むのは大工の仕事」という大工職の尊さに改めて気付いたエピソードが披露されました。

指導大工からは、「自分で何でもできるように挑戦していく大工さんになってほしい」という期待や、「最初はできないことばかりに目が向き厳しく接してしまったが、個人の成長スピードの違いを理解し、できたところを言葉にして褒めるように意識を変えた」と、指導者としての苦悩と成長も赤裸々に語られました。

指導大工の野村大工

 

能登半島地震支援から木工チャレンジまで、広がる大工の魅力発信

式典の終盤では、「10年の軌跡」と題したスライド上映が行われました。2016年の設立総会から始まり、第1期生の入塾や他県での先進的な取り組みの視察など、10年間の歩みが写真とともに紹介されました。

また、近年では社会貢献や魅力発信にも力を入れており、2024年の能登半島地震における木造応急仮設住宅の建設支援や、小学生向けの「夏休み木工チャレンジ」での上棟式体験や鉋がけ体験を通じた子どもたちへの大工魅力発信など、社会とのつながりを深める活動も紹介されました。

 

胸を張って「大工技能士です」と言える社会を創る

式典の最後は、岡庭伸行副理事長(岡庭建設株式会社)による閉会の挨拶で締めくくられました。

一般社団法人東京大工塾 岡庭伸行副理事長

岡庭副理事長は、工務店側が労働環境や賃金体系をさらに改善し、CCUS制度による技術評価を確立していく決意を述べました。「将来的に『私は〇〇工務店の社員で、大工技能士です』と胸を張って言えるようになってほしい。それが建設業界を良くしていくことにつながる」と語り、大工職の社会的地位向上に向けた一層の努力を誓い、式典を締めくくりました。

アンドパッドは、これからも東京大工塾の賛助会員として、若手大工の育成と建設業界のさらなる発展を支援してまいります。
東京大工塾の10周年、ならびに第10期生の皆様のご入塾、心よりおめでとうございます。

一般社団法人 東京大工塾(株式会社タカキ 東京設計事務所内)
URLhttps://www.tokyo-daiku-jyuku.com/
代表者理事長 佐藤 義明(株式会社ハウステックス)
設立2016年
本社東京都東大和市中央1-1-5 3F
執筆・編集: 山内美南
デザイン: 岩佐謙太朗
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