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大英産業|立場や部署を超えて全員で業務効率化を目指す「人」が主役のDX

〜前編〜ANDPAD AWARD 2023 ユーザー部門「ベスト受発注ユーザー賞〜発注〜」2位/受賞ユーザーインタビュー

目次

  1. 工事担当者や営業担当者を事務面でサポートする「購買課」
  2. 地道なフォローの継続によって早期に利用が浸透

ANDPADの利用状況をデジタルにスコアリングし、ANDPADを最も使っているユーザーを称賛させていただくANDPAD AWARDのユーザー部門。今回は、日々ANDPAD受発注を通じて発注側の業務を行い、最もANDPAD受発注を活用したユーザーに贈呈する「ベスト受発注ユーザー賞〜発注〜」2位を受賞した、大英産業株式会社の小幡香織さんと、同じ建築推進チームのメンバーである中島博之さん、林美由紀さんにお話を伺った。



大英産業株式会社は、福岡県北九州市に本社を置き、マンション事業・戸建事業・不動産流通事業・街づくり事業・再開発事業を幅広く手がけている総合住宅不動産会社だ。創業より50年以上にわたり、時代のニーズに対応した良質な住まいの供給や既存住宅の有効活用を通じて、地方で進行している人口減少・少子高齢化・空地空家問題などの社会活動の解決に寄与している。2023年の新築マンション供給・販売ランキングで九州・山口エリア1位(住宅流通新報社調べ)、戸建着工棟数ランキングで北九州エリア11年連続1位(住宅産業研究所調べ)を誇る地域トップクラスのビルダーだ。

今回は、同社の住まいづくりを支える建築本部 購買課 建築推進チームで働くみなさんにインタビューを実施。前編では、「着工前発注率・オンライン受発注率90%以上」を実現するまでの道のりや、社員とパート社員、協力会社がともに支え合う同社の風土について紹介する。

工事担当者や営業担当者を事務面でサポートする「購買課」

──ANDPAD AWARD2023 ユーザー部門「ベスト受発注ユーザー賞〜発注〜」全国2位の受賞、おめでとうございます!まずは、受賞された小幡さんと、同じチームのメンバーである林さん、中島さんのご経歴を教えてください。

小幡さん: 私は、人材派遣会社の紹介を受けて、当社に就業していた派遣社員でした。前職は保険業界で働いていたため、まずは保険を扱う部署に配属になり、4ヶ月後に直接雇用に切り替えていただいて3年間ほど保険部門で勤務しました。その後、購買課へ異動し、まもなく入社10年目を迎えます。現在は、建築推進チームのフルパート社員として、受発注業務に加え、検査関係、営業請求、電子マニフェスト関連の業務も担当しています。

大英産業株式会社 建築本部 購買課 建築推進チーム 小幡香織氏

林さん: 私も小幡さんと同じ購買課の建築推進チームに所属し、受発注業務やグループ会社の経理業務、大工発注などに携わっています。私は、約20年前に正社員として入社して5年ほど勤め、出産を機に一度退職したのですが、2人目の子どもが2歳になったときにフルパート社員として復帰しました。昔から当社の雰囲気や一緒に働く「人」が大好きだったので、迷わず職場復帰を決めました。

大英産業株式会社 建築本部 購買課 建築推進チーム 林美由紀氏

中島さん: 私は8年ほど前に東京からUターンしました。以前は、大手住宅メーカーのフランチャイズ本部で働いていたのですが、東日本大震災をきっかけに「地元で家族や子どもたちと一緒に暮らしたい」と思い、当社に転職を決めました。入社後は、当社の住宅づくりの流れを把握するために、まずは工事課の現場監督として施工管理を担当しました。その後、前職で工事の仕組み化に取り組んできた経験を活かして、製造プロセスや品質管理、業務フローの見直しに取り組んできました。

大英産業株式会社 建築本部 購買課 建築推進チーム 課長 中島博之氏

──みなさんが所属するチームが担っている役割も教えていただけますか。

中島さん: 購買課には大きく分けて2つのチームがあります。原価コントロール・コストダウン・納材確保・積算の役割を果たす「購買チーム」に2名、実行予算・受発注・請求などの役割を果たす「建築推進チーム」に6名がいて、小幡や林は建築推進チームに所属しています。社内の各部門だけではなく、一緒に工事を進めるBP(Business Partner)さんとのやりとりも非常に多いチームです。

──御社では、協力会社さんのことを「BP」さんと呼んでいるんですね。

中島さん: 当社は、地域の方々が求める住まいや、暮らしを豊かにするサービスを提供し、地域に必要とされる企業になる「地域愛着経営」を経営方針に掲げています。この経営方針の実現には、土地仕入れや建築に一緒に取り組んでいくBPの皆さんの力が欠かせません。ですから、元請け・下請けといった関係を想起させる「業者」という言葉ではなく、お互いに対等であることを表現するために「ビジネスパートナー」と呼ぶことにこだわっています。BPさん、社員、パート社員、全員が平等に意見を言い合い、より良い住まいづくりに取り組んでいくのが、私たちが目指す姿です。

──御社には、住まいづくりに関わる「人」との関係性を大切にする風土が根づいているのですね。林さんが「会社や人が好きだったから迷わず職場復帰を決めた」とお話しされたのも納得です。ANDPADについても、BPさんと一緒になって運用されていらっしゃるかと思いますが、今回入賞の知らせを受けたときはどのように思われましたか?

小幡さん: 当社には私以外にもANDPADを利用しているメンバーがたくさんいるので、「なぜ私が?」と感じたのが正直なところです(笑)。

中島さん: たしかに、小幡さんに入賞を伝えたらキョトンとしていました(笑)。建築推進チームは、誰が入賞してもおかしくないほど全員のANDPADの利用度が高いので、小幡さんも「私が?」と驚いたのだと思います。関係部署からは「全国2位はすごい!」と言われましたし、昨年ANDPAD ONE CONFERENCEに登壇した建築本部 本部長の宇留嶋も「入賞できたのは会社として良いこと」と喜んでいました。

 

地道なフォローの継続によって早期に利用が浸透

──御社は、着工前に発注をしている案件の比率が96.81%と非常に高いです。着工前発注に取り組む目的や、この数字を実現するために工夫されていることがあれば教えてください。

中島さん: 発注の8割程度をまとめて行って発注頻度を減らし、発注業務にかかる時間や手間を省くことと、事前に資材を確保することを目的に、当社では着工前発注に取り組んでいます。

着工前発注をスムーズに進めるために、工事部門にはなるべく早い段階で担当するBPさんを決めてほしいと伝えています。BPさんの差配を行う工事部門がスピーディーに判断ができるように、工事をお願いするBPさんはエリアごとにある程度ルール化しています。

クロス施工や外構工事などの後工程は、着工段階でいつ現場に入っていただくかを読むのが難しいので、工事日程が確定したらBPさんに発注をしています。

林さん: 工事の進行にともなって、工事部門がBPさんの現場配置やローテーションを組んでいくので、私はそれをもとにANDPADで発注をします。BPさんや商品によって発注金額が異なりますので、間違いがないように気をつけながら発注を進めています。

──現在は電子受発注率も90%以上となっており、ANDPADを活用していただいていることがよくわかります。2023年には、株式会社イワイホーム・有限会社小岩井ドリーム(熊本県熊本市)とM&Aをされていますが、M&A後も全社でこの数字を実現しているのは素晴らしいです。ANDPAD受発注の運用をここまで浸透できた秘訣や工夫があれば教えてください。

中島さん: BPさんに対して、ANDPADを利用したときのメリットを伝えることは意識しました。紙でのやりとりがなくなるので郵送の手間が省ける、請書の印紙代や郵送にかかる封筒代、切手代も必要なくなる……といった細かな点もしっかりと伝えていきました。

小幡さん: 当社の工事担当者が協力的だったことも、ここまでスムーズに切り替えが進んだ理由のひとつだと思います。BPさんから「どのボタンを押せばいいかわからない」といった問い合わせを受けたら、「ちょうど今から行くので一緒にやりましょう」と現場に向かってくれた工事担当者もいました。工事担当者の地道なフォローもあって、BPさんにも徐々に利用が浸透していったと感じています。

──電子受発注への切り替えにともなって、進行中の工事もすべてANDPADで発注し直していただいたと伺っています。

中島さん: そうですね。情報戦略課(*)の協力を得ながらすべての案件を2日間で発注し直したので、当時は正直大変でした。ANDPADで発注をし直したのに紙の請求書が返ってくるケースもあって、請求が二重になることもありました。そんなときは、「ANDPADでも発注しているのでANDPADからお願いします」とBPさんに丁寧に伝えて、切り替えていっていただきました。

*編集部注…同社の情報戦略課では、IT戦略策定から実行までを担っている。

同社の購買課及び情報戦略課は、IT化によるメリットを伝えることと、人に寄り添い操作ハードルを下げること、その両方に精力的に取り組んだ。ITツールとヒューマンな部分、そのバランスが肝要と言える。

──紙で発注した分をあらためてANDPADで発注し直したことで、BPさんも「結局いつから電子発注なんだ?」と迷うことなく、スムーズにANDPAD受発注に移行することができたのではないでしょうか。

中島さん: ただ、ANDPADに切り替えた初月は、発注金額の間違いが多くあったんです。金額の誤りに気づかずに検収を完了してしまうと、そのまま請求まで進んでしまい取り下げができなかったので、金額に間違いがあった場合、まずマイナスの金額で発注をたてて一度請求を取り消し、正しい金額で再度発注をし直す作業が多く発生しました。私たちが作業するだけならまだしも、BPさんにも何度も承認作業をしていただく必要があり、手間をかけてしまって申し訳ないと感じていました。そこで、アンドパッドの牛島さんに「検収を取り下げる機能をつけられないか」と相談し、実装していただきました。現在は、発注金額に間違いがあったときは、当社側の作業だけで修正できるようになって助かっています。

ANDPAD ONE編集部より

中島さんからの声を受け、また他社様からも同様のお声を多く頂戴していたため、2023年9月に、「検収取り下げ」の機能がリリースされました。これにより、検収完了後に金額の誤りに気がついた場合などに検収の取り下げを行うことが可能になりました。

──試行錯誤があった上で、現在の運用が実現できているのですね。御社には、ANDPAD受発注の機能をフル活用しているトップクラスのユーザーが多くいらっしゃいますが、特に小幡さんは発注数が非常に多いだけではなく、納品から検収までの期間がずば抜けて早いです。

小幡さん: 納品検収のスピードが早い理由は、住宅性能評価の検査を依頼している機関からの請求処理を私がすべて担当しているからだと思います。検査関係の請求書は月末にまとめて紙で届くため、私が検収完了まで一気に進めて、請求へ回しています。①基礎配筋工事の完了時、②躯体工事の完了時、③下地張りの直前工事の完了時、④竣工時と、1棟あたり4回検査がありますが、毎月40〜50棟分ほどANDPAD受発注上で発注処理を行っていることを考えると、処理する請求は160〜200件ほどになります。それが発注数の多さと納品検収の早さに表れているのかもしれません。

小幡さん: また、私は追加発注の処理も担当しています。当月内に処理するために、月末に工事担当者に届いた見積もり分をまとめて発注していることも、私の発注数が多い要因のひとつだと思います。

地域への価値提供をともに進める仲間として、社員とパート社員、協力会社が互いに支え合っている同社。そうした組織風土が培われてきたことの上に、ANDPADの早期運用定着が成り立っているように見える。

続く後編では、ANDPAD受発注の導入による働き方の変化について紹介する。

 

大英産業株式会社
URLhttps://www.daieisangyo.co.jp/
代表者一ノ瀬謙二
設立1968年
本社北九州市八幡西区下上津役4丁目1番36号
 福岡証券取引所 本則市場2974
取材・編集: 平賀豊麻
編集: 原澤香織
執筆: 保科美里
デザイン: 森山人美・安里和幸
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