非住宅領域の内装工事を請け負う「コンストラクション事業」と住宅用建築資材を販売する「ハウジング事業」の2つを主軸に事業を展開する株式会社タッセイ。福井県福井市に本社を置き、創業より70年以上にわたって地域の発展とともに歩んできた歴史ある企業だ。
コンストラクション事業においては、福井県の恐竜博物館、石川県の金沢21世紀美術館など、地域のランドマークとなる大規模施設の建設プロジェクトに数多く参加。60年以上前に組織化した専属の専門工事職人集団「タッセイ職友会」との連携を強みに、北陸エリアでトップクラスの施工実績を有する。また、同じくハウジング事業においても福井県・石川県でトップクラスのシェアを誇っている。
現在代表取締役社長を務める3代目・田中陽介さんが参画してからは、同社がスローガンに掲げている「『建てる』を応援する会社。」に沿った取り組みが加速中だ。工務店の業務を幅広く支援する「家づくりサポート事業」の推進、自社職人チーム「TAT(Tassay Artisan Team)」の結成、研修用トレーニングセンターの開校、後継者不在に悩む専門工事会社とのM&Aなど、ユニークなアプローチで建設業界に新風を吹き込んでいる。
今回は、果敢に新たなチャレンジを続ける注目企業・タッセイグループを率いる田中陽介さんへのインタビューを中心に、同社の取り組みをVol.1〜3にわたってお届けする。
まずVol.1では、同社の事業内容について詳しく紹介していく。建設業の未来をまっすぐ見据え、自社の知見やノウハウを業界全体へと広げている田中さんの取り組みは、担い手不足に悩む工務店や専門工事会社にとって、前向きな一歩を踏み出すヒントとなるだろう。
株式会社タッセイ 代表取締役社長
福井県福井市で生まれ育ち、青山学院大学に進学。在学中に演劇と出会い、役者の道へ。芸能プロダクションに所属し、テレビCM・ドラマなどに出演する。2007年、家業である同社を継ぐため福井に戻る。資材の販売営業、営業企画室室長を経て、2016年代表取締役副社長就任。2019年より代表取締役社長を務める。
株式会社タッセイ 営業企画室 室長
福井県勝山市出身。建築系専門学校を卒業後、設計事務所に就職。2008年、タッセイへ中途入社、当時新設されたばかりの営業企画室に配属となる。現在は、営業企画室室長としてハウジング事業の営業企画、工務店支援に幅広く取り組む。二級建築士・宅地建物取引士。
北陸エリアトップクラスの実績を誇る「建材商社」兼「内装工事会社」
2019年に創業70周年を迎えたタッセイ。太平洋戦争末期の福井空襲と1948年に発生した福井地震によって甚大な被害を受けた地域の復興を目指し、創業者である田中正義さんがリヤカーを引いてベニヤ板を販売しはじめたのが、同社の原点だ。
田中正義さんは、1949年に「田中正義商店」を創業。当初はベニヤ板とセメントを扱っていたが、いち早く新建材を扱う建材卸へと事業を転換した。1951年には、大手ゼネコンから北陸銀行・福井支店の内装工事施工の依頼を受けたことを機に、内装工事業にも進出。「祖父が創業した建材卸と内装工事業、この2つは今も当社の主軸事業となっています」と、現在社長を務める田中陽介さんは話す。
田中さん: 現在は、公共施設や商業施設、オフィス、マンション、工場などの内装工事を請け負う事業を「コンストラクション事業」と位置づけています。建材商社としての強みを活かし、資材調達から施工まで一括で請け負う責任施工体制を整え、スーパーゼネコンから地場ゼネコンまで幅広いお客様と取引をさせていただいています。

株式会社タッセイ 代表取締役社長 田中 陽介さん
田中さん: 当社が内装工事を手がける建物は、実にさまざまです。博物館や美術館をはじめ、福井駅前再開発にともなう高層ビル・商業施設、外資系ホテルなど、数多くの施工をお任せいただいています。北陸新幹線の開通にあたっては、石川県から福井県までのほとんどの駅舎の工事に携わらせていただきました。施工実績は福井県内でトップクラスですし、当社が組織している専門工事の職人集団「タッセイ職友会」の機動力と施工力は北陸エリア随一だと自負しています。

同社が内装工事を手がけた福井県立恐竜博物館(左)と金沢21世紀美術館(右)
田中さん: もうひとつの柱となっている事業は、住宅用建築資材・設備機器を販売する「ハウジング事業」です。工務店やハウスメーカーのお客様に対して、建築資材や住宅設備、オール電化機器などをトータルコーディネートして提案・販売しています。また、システムキッチンやユニットバスなどの施工もお任せいただける体制を整えています。福井県内でのシェアは35%程度で、福井県・石川県ではトップクラスの建材商社として認知していただいています。
また、外壁資材メーカーからの紹介で、外壁工事も責任施工で請け負っています。福井県・石川県の2県で年間1,000棟の施工を手がけており、この分野でもトップクラスの実績を維持しています。売上構成としては、グループ全体の売上128億円のうち、コンストラクション事業が4割程度、ハウジング事業が3割程度、外壁工事が1割程度となっています。
同社は現在、福井県福井市の本社を拠点に、福井県・石川県に3つの拠点を展開しながら、富山県や滋賀県にも進出。グループ会社7社、従業員305名を有する北陸トップクラスの建材商社・内装工事会社へと発展を遂げている。

60年以上前に専門工事の職人集団「タッセイ職友会」を結成
コンストラクション事業とハウジング事業、2本の柱を着実に育ててきた同社。この同社の成長を語るうえで欠かせないのが、「タッセイ職友会」の存在だ。
タッセイ職友会は、同社が1961年に結成した専門工事の職人集団である。天井・壁の鋼製下地工事、ボード仕上げ工事、クロス仕上げ工事、床仕上げ工事、断熱工事、外壁仕上げ工事、住宅設備工事、木・家具工事など、内装・外装施工に関わる専門工事の職人が集まっており、現在は約150名が在籍している。
田中さん: タッセイ職友会に所属している多くは一人親方で、法人化している協力会社はごくわずかです。タッセイ職友会に加入していただく1番のメリットは、1年を通して安定した仕事を得られること。最大300日仕事を切らさずに受注いただけるため、職友会の職人さんは営業活動をせずに施工に専念できます。また、健康診断の受診やインフルエンザ予防接種を推奨したり、資格取得のサポート、材料・備品の購入支援なども実施したり、福利厚生の充実化も図っています。

田中さん: 創業者である私の祖父は、大手ゼネコンの発注工事を網羅的に受注できるように、タッセイ職友会をいち早く結成しました。父の代になってからも、専門工事職人の数をどんどん増やし、組織化していきました。この取り組みが北陸エリアトップクラスを誇る施工力の礎となり、今の実績につながっています。

現在の社長である田中陽介さんの父であり、株式会社タッセイ 会長を務めている田中 猛雄さん(左)。2022年には旭日双光章受章を授与されている。
各種申請書作成からアフターフォローまで、工務店の経営をトータルに支援
今では増えつつある自社専属の職人組織を約60年前に結成するなど、常に時代の先を読んだ取り組みを続ける同社。ハウジング事業においても、地域の工務店を支える「家づくりサポート」に関する事業をいち早く開始し、高い評価を得ている。この事業をリードしているのが、営業企画室 室長の松山さんだ。
松山さん: 営業企画室は、当社の専務が営業活動のなかで実践してきた「工務店支援」を事業化するために立ち上げた専門部署です。2008年、営業企画室の発足にともなって社長の田中が室長を務めることになり、私も同時期に営業企画室に配属になりました。
営業企画室は、ハウジング事業の得意先である工務店さんのお困り事解決をミッションに掲げています。「これからもタッセイと付き合っていきたい」と思っていただけるように、他社にない付加価値のあるサービスを提供して、工務店さんのお役に立ちたいと考えています。

株式会社タッセイ 営業企画室 室長 松山 嘉臣さん
松山さん: 営業企画室が最初にはじめたサービスは、住宅瑕疵担保保険の取次です。2009年に瑕疵保険加入が義務化された当初から、工務店さんに制度の概要を詳しくお伝えし、加入をサポートしてきました。
また、2010年には「設計事務所Clas」を設立しました。Clasでは、長期優良住宅やフラット35適合証明の申請書類作成、省エネ住宅ポイント・すまい給付金の申請、構造・省エネの計算書作成など、専門的な業務を引き受けています。煩雑な申請書類の作成や難解な計算業務をサポートし、工務店さんが家づくりに専念できる環境を整えています。そのほか、設計・プランニングのサポートや気密測定の技術支援、工務店さんの現場監督・設計・営業の方々のスキルアップにつながる勉強会を企画したりと、人材育成のお手伝いもしています。

さらに、同社は工務店向けの営業サポートに加え、家を建てた後のアフターフォローを支援する「家まもり事業部」も立ち上げている。
「家まもり事業部」は、日々多忙な業務に追われる工務店に代わって、工務店のOB顧客宅を訪問して住宅の点検を実施したり、要望をヒアリングしたりする役割を担う。点検やヒアリングの結果は報告書にして工務店へ共有し、リフォームニーズの吸い上げや知人・友人の紹介など、次の仕事につなげている。この事業が誕生した経緯を松山さんに伺った。
松山さん: 私たちが取引をさせていただいていた工務店さんが残念ながら廃業することになり、「あとをタッセイに任せたい」と200組ほどの顧客データを引き継いだのがはじまりです。当時、工務店さんの意向に沿ってOB顧客の訪問を続けていたものの、当時はリフォームの依頼が少なく、収益化はできていませんでした。
その後、社長の田中が知人からオフィスのリニューアル工事を引き受けてきたり、役員が施設の改修工事の依頼を受けたりと、徐々にリフォームニーズが高まっていきました。そこで、住宅・外構のリフォームを手がけるグループ会社「タッセイエンジニアリング」による工務店さんのアフターフォロー支援と、そこで生まれたリフォーム案件に対応する体制を整え、「家まもり事業部」を発足しました。

「家まもり事業部」の取り組みに加え、工務店支援の知見を活かしたサービスが派生している。
そのひとつが、地域の高齢者に各分野の専門家や企業を紹介する「うちのこと」プロジェクトだ。「住まい・不動産」「相続・税金対策」「医療・介護」の課題解決にワンストップで対応できるように、同社は福井県内の士業や企業と団体を立ち上げ、地域の老後生活を支援している。
また、土地探し・土地の売却を検討しているお客様をサポートする「タッセイ不動産」も立ち上げた。長年ハウジング事業で培った知見をもとに、お客様のニーズに合った工務店・住宅会社の紹介も行い、地域でのシナジーを生んでいる。

建材卸と内装工事の2つを柱に据え、地域の発展のために力を尽くしてきた同社。タッセイ職友会の結成、工務店支援の充実化など、時代に先駆けた新しいチャレンジによって、北陸エリアでの地位を確固たるものにしている。Vol.2では、担い手不足の課題に真摯に向き合う同社独自の取り組みについて詳しく紹介していく。
| URL | https://www.tassay.co.jp/ |
|---|---|
| 代表者 | 代表取締役社長 田中 陽介 |
| 創業 | 1949年 |
| 所在地 | 〒918-8218 福井県福井市河増町30-20 |





















